計画・監督と派遣への適用
派遣で働く人については、安衛法上の義務を派遣元と派遣先のどちらが負うのかが項目ごとに決められています。ここは重要度が高く、表がそのまま択一の材料になります。
丸暗記に見えますが、実は太い軸が1本通っています。現場の危険を握っているのは派遣先、雇用主として健康を管理するのは派遣元。この軸で説明できない項目だけを例外として覚えれば、負担はぐっと軽くなります。
簡単にいうと
表を丸暗記する前に、なぜそうなるのかを掴んでおきましょう。
労働者派遣において、安衛法の規定は派遣元事業者と派遣先事業者のそれぞれに適用されます。どちらが負うかを決めているのは、次の考え方です。
・現場の設備や作業を実際に管理しているのは派遣先です。だから機械の危険や作業の指揮に関わるものは派遣先が負います。
・雇用主として労働者の健康を継続的に把握できるのは派遣元です。だから一般的な健康管理に関わるものは派遣元が負います。
もっとも、両方に適用される項目も少なくありません。事業者の責務そのもの(安衛法3条1項)は派遣元・派遣先の双方に適用されます。健康診断実施後の措置や作業内容変更時の安全衛生教育も、双方が行います。
この軸で説明しにくい例外が2つあります。
・総括安全衛生管理者の選任は派遣元・派遣先の双方
・労働時間の状況の把握は派遣先のみ
労働時間の状況の把握が派遣先なのは、実際に働かせて時間をコントロールしているのが派遣先だからです。面接指導そのものは派遣元が行うのに、時間の把握だけ派遣先という組み合わせが問われやすいところです。
具体例
派遣スタッフのなつみさんが工場で働く場合、フォークリフトの特別教育は派遣先が、毎年の定期健康診断は派遣元が実施します。健診の結果を受けて配置を見直すときは、両方が関わります。
試験のポイント
簡単にいうと
安全系は派遣先だけ、衛生系は両方。委員会も同じ分かれ方です。
安全衛生管理体制に関する人数要件の適用は、次のとおりです。
・総括安全衛生管理者の選任 ― 派遣元・派遣先の双方
・安全管理者・作業主任者の選任 ― 派遣先のみ
・衛生管理者・産業医・安全衛生推進者の選任 ― 派遣元・派遣先の双方
・統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者の選任 ― 派遣先のみ
・安全委員会の設置 ― 派遣先のみ
・衛生委員会の設置 ― 派遣元・派遣先の双方
並べてみると規則性が見えます。名前に「安全」が付くもの(安全管理者、作業主任者、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全委員会)は派遣先だけ。「衛生」に関わるもの(衛生管理者、産業医、安全衛生推進者、衛生委員会)は両方。そしてトップである総括安全衛生管理者は両方です。
ここで「双方に適用される」とはどういう意味かを確認しておきましょう。派遣労働者の人数を、派遣元でも派遣先でも常時使用する労働者の数に算入して選任要件を判断する、ということです。1人の派遣労働者が両方でカウントされます。
簡単にいうと
雇い入れるのは派遣元、危険な機械を触らせるのは派遣先。役割どおりに分かれます。
安全衛生教育の適用関係は次のとおりです。
・雇入れ時の安全衛生教育 ― 派遣元のみ
・特別教育・職長教育 ― 派遣先のみ
・作業内容変更時の安全衛生教育 ― 派遣元・派遣先の双方
雇い入れるのは派遣元なので、雇入れ時教育は派遣元です。一方、危険有害な業務に実際に就かせ、現場のリーダーとして指揮させるのは派遣先なので、特別教育と職長教育は派遣先になります。
作業内容変更時の教育が双方に課されているのは、変更のきっかけが派遣元側の異動でも派遣先側の配置換えでも起こり得るためです。
教育の節で学んだ内容と重なるので、そちらとセットで確認しておくと定着します。
具体例
派遣会社に採用された時点で雇入れ時教育を受け、派遣先の工場でアーク溶接を担当することになった時点で特別教育を派遣先から受ける、という流れになります。
簡単にいうと
健康の話はほぼ派遣元。ただし有害業務の健診と労働時間の把握だけは派遣先です。
健康管理の分野は、原則として雇用主である派遣元が担います。ただし例外があります。
健康診断については次のように分かれます。
・一般健康診断(医師からの意見聴取・結果の記録の作成・保健指導を含む)― 派遣元のみ
・歯科医師による健康診断・特殊健康診断(医師又は歯科医師からの意見聴取・結果の記録の作成を含む)― 派遣先のみ
・一般健康診断・歯科医師による健康診断・特殊健康診断の結果の通知 ― 派遣元のみ
・健康診断実施後の措置 ― 派遣元・派遣先の双方
有害な業務に就かせているのは派遣先なので、特殊健診と歯科医師による健診は派遣先が行います。ただしその結果を本人に通知するのは派遣元です。実施と通知で担い手が分かれる点が、この分野で最も間違えやすいところです。
面接指導等については次のとおりです。
・長時間労働に関する面接指導 ― 派遣元のみ
・研究開発業務従事者に係る面接指導 ― 派遣元のみ
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常時40人の自社社員に加えて15人の派遣スタッフを受け入れている製造業の事業場は、合計55人として衛生管理者・産業医の選任義務を判断します。派遣元の側でも、その15人を自社の労働者数に含めて判断します。
試験のポイント
試験のポイント
・ストレスチェック結果に基づく面接指導 ― 派遣元のみ
・労働時間の状況の把握 ― 派遣先のみ
いずれも意見聴取・記録の作成・結果通知・実施後措置を含みます。面接指導は一貫して派遣元、しかし労働時間の状況の把握だけが派遣先、という組み合わせを確実に覚えてください。
そしてストレスチェックそのものは派遣元のみが行います。
具体例
有機溶剤を扱う工程に派遣されたそうたさんの特殊健康診断は派遣先が実施しますが、その結果をそうたさんに通知するのは派遣元です。時間外労働が月90時間になったときの面接指導も派遣元が行い、その前提となる労働時間の状況の把握は派遣先が行います。
試験のポイント
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