徴収法のしくみと事業の区分
労災保険と雇用保険をまとめて1本で処理するのか、それとも別々に処理するのか。事業の性質によってこの扱いが変わります。
ほとんどの事業は「まとめて1本」で済みますが、5つの類型だけは別々になります。その5つを覚えるのがこの節のゴールです。
簡単にいうと
こちらが原則です。大部分の事業がこれにあたります。
一元適用事業とは、労災保険に係る保険関係と雇用保険に係る保険関係とを1つの事業についての労働保険の保険関係として取り扱い、保険関係の適用及び保険料の徴収等の事務を両保険につき一元的に処理する事業をいいます。
このような一元的な取扱いが、徴収法における基本的な考え方です。そして、大部分の事業が一元適用事業に該当します。
徴収法がそもそも「労災保険料と雇用保険料を1本にまとめて効率化する」ために作られた法律ですから、一元適用が原則になるのは自然な帰結です。
実務的には、労災保険と雇用保険の保険料をまとめて1枚の申告書で申告し、1回で納付することになります。保険関係成立届も1枚で済みます。
一元適用事業であっても、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しているかどうかによって、保険関係成立届の提出先が変わります。この点は次の節で詳しく扱います。
具体例
一般的な製造業の工場や商店、事務所は一元適用事業です。労災保険と雇用保険の保険料を合算して1回で納めます。
試験のポイント
簡単にいうと
例外です。5つを丸ごと覚えてしまうのがいちばん早い。
二元適用事業とは、本来1つの事業ではあるが、徴収法の適用上、労災保険に係る保険関係と雇用保険に係る保険関係ごとに別個に2つの事業とみなして、保険関係の適用及び保険料の徴収等の事務について当該2つの事業ごとに二元的に処理する事業をいいます。
該当するのは次の5つです。
・都道府県及び市町村の行う事業
・都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業
・港湾労働法の適用される6大港(東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・関門)における港湾運送の行為を行う事業
・農林の事業、畜産、養蚕又は水産の事業(船員が雇用される事業を除く)
・建設の事業
6大港は、東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・関門の6つです。この並びも問われることがあります。
なぜ別々に処理するのかというと、これらの事業では労災保険の適用単位と雇用保険の適用単位がずれるからです。たとえば建設の事業では、労災保険は工事現場ごとに適用されるのに対し、雇用保険は労働者を雇う本社などの事業所ごとに適用されます。ひとまとめにできないわけです。
簡単にいうと
建設業は徴収法でいちばん特別扱いされる業種です。性格を整理しておきます。
建設の事業は、二元適用事業であり、かつ有期事業でもあります。この2つの性格を同時に持つ点が重要です。
試験では、徴収法において建設の事業は二元適用事業であり、かつ有期事業である、という記述が正しいものとして問われています。
この二重の性格から、建設の事業には固有のルールが数多く用意されています。
・有期事業の一括 … 小規模な工事をまとめて処理する(建設の事業と立木の伐採の事業のみ)
・請負事業の一括 … 元請と下請をまとめて元請負人のみを事業主とする(建設の事業のみ)
・労災保険関係成立票 … 建設の事業に係る事業主は見やすい場所に掲げなければならない
・請負金額×労務費率 … 賃金総額を正確に算定できない場合の特例
・有期事業のメリット制 … 請負金額1億1,000万円以上などが要件
これだけ特別扱いされるのは、工事ごとに保険関係が成立し、元請・下請が重層的に関わるという建設業の実態に合わせる必要があるからです。
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具体例
建設会社は二元適用事業です。労災保険は工事現場ごと、雇用保険は本社の事業所ごとに保険関係を処理します。
試験のポイント
具体例
道路工事を請け負う建設会社は、工事ごとに労災保険の保険関係が成立し、その工事が終われば保険関係も消滅します。雇用保険のほうは本社で継続して成立し続けます。
試験のポイント
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