不服申立てと雑則
健康保険法の締めくくりは、時効・保健事業・罰則です。地味に見えますが、時効の起算日は表そのものが選択肢になるため、確実に得点しておきたい分野です。
時効はすべて2年。違いが出るのは「いつから数え始めるか」です。給付ごとに起算日を確認していきます。
簡単にいうと
保険料も給付も2年。健康保険はここが統一されています。
【条文】健康保険法193条
保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使できる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。
健康保険では、徴収する側の権利も、給付を受ける側の権利も、いずれも2年で統一されています。労災保険が給付によって2年と5年に分かれるのとは対照的です。
覚え方としては「健康保険はすべて2年」と押さえたうえで、次のテーマで見る起算日の違いに集中するのが効率的です。
なお、書類の保存期間も2年でした。事業主は健康保険に関する書類を完結の日より2年間保存しなければなりません。時効と保存期間がそろっているので、あわせて覚えられます。
具体例
3年前に受けた治療について、あとから療養費を請求しようとしても、すでに2年を経過しているため時効により請求できません。
試験のポイント
簡単にいうと
「日ごとにその翌日」と「翌月の1日」が引っかけどころです。
時効の期間は一律2年ですが、起算日は給付ごとに異なります。
負傷・疾病に関するもの
・療養費 … 療養に要した費用を支払った日の翌日
・移送費 … 移送に要した費用を支払った日の翌日
・傷病手当金 … 労務不能であった日ごとにその翌日
・高額療養費 … 診療を受けた月の翌月の1日
・高額介護合算療養費 … 基準日(計算期間の末日)の翌日
出産に関するもの
・出産育児一時金 … 出産の日の翌日
・出産手当金 … 労務に服さなかった日ごとにその翌日
死亡に関するもの
簡単にいうと
保健事業は努力義務。罰則は1年と6月の2段階です。
保険者は、特定健康診査等を行うものとするほか、特定健康診査等以外の事業であって、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者及びその被扶養者の自助努力についての支援その他の被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければなりません。
語尾が「努めなければならない」となっている努力義務規定です。特定健康診査等については「行うものとする」ですが、それ以外の保健事業は努力義務にとどまります。
罰則は2段階です。
・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 … 保険者の役員・職員である(であった)者が、秘密保持義務の規定に違反して秘密を漏らした場合
・6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 … 事業主が、正当な理由なく、被保険者資格の得喪の確認又は標準報酬の決定若しくは改定について被保険者又は被保険者であった者に通知をしない等のとき
重いほうが秘密の漏えい、軽いほうが事業主の通知義務違反や届出義務違反です。賞与支払届をせず又は虚偽の届出をしたときも、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金にあたります。
事業主は、保険者等からの標準報酬月額等の決定の通知があったときは、速やかにこれを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければなりません。
具体例
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・埋葬に要した費用に相当する金額(埋葬費) … 埋葬を行った日の翌日
注意点は2つです。第一に、傷病手当金と出産手当金は「日ごとに」その翌日から進行します。1日ごとに別々の権利として時効が進むということです。第二に、高額療養費だけが「翌月の1日」であり、他のように「翌日」ではありません。
試験では、月間の高額療養費の起算日を「診療月の末日」とする誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは診療を受けた月の翌月1日です。ただし、診療費の自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日になります。
具体例
4月に受けた診療についての高額療養費は、5月1日から2年で時効になります。同じ4月に労務不能だった日の傷病手当金は、その各日の翌日からそれぞれ2年で時効が完成します。
試験のポイント
会社が年金事務所から届いた標準報酬月額の決定通知を社員に知らせないまま放置していた場合、正当な理由がなければ6月以下の懲役又は50万円以下の罰金の対象になります。
試験のポイント
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