費用の負担と不服申立て
厚生年金保険法の締めくくりは、不服申立て・時効・罰則です。テキストも「特に不服申立てについては、健康保険法や国民年金法との共通点や相違点を意識的に比較しよう」と案内しています。
実際、保険料に関する処分をどこに持ち込むかは3科目で分かれます。時効も、健保が一律2年なのに対し、厚年は保険給付5年・徴収金2年です。並べて覚えるのが最も効率的な分野になります。
簡単にいうと
資格・標準報酬・保険給付は審査官。それ以外は審査会です。
厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができます。
厚生労働大臣による保険料や脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができます。
3科目を並べると次のようになります。
・健康保険 … 資格・標準報酬・保険給付は審査官、保険料等の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分は審査会
・国民年金 … 資格・給付・保険料はすべて審査官、脱退一時金だけ審査会
・厚生年金保険 … 資格・標準報酬・保険給付は審査官、保険料と脱退一時金は審査会
国民年金だけが保険料も審査官ルートになっています。ここが3科目でいちばん狙われるところです。
試験では「第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者は社会保険審査官に対して審査請求をすることができる」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。厚年では保険料の処分は社会保険審査会が窓口です。
具体例
標準報酬月額の決定に不服があれば社会保険審査官へ、その標準報酬月額に基づいて課された保険料の処分に不服があれば社会保険審査会へ、と窓口が分かれます。

3科目の横断表。国年だけ保険料も審査官、健保だけ時効が一律2年という2点が最大の狙われどころです
試験のポイント
簡単にいうと
3月以内と2月以内。保険料の処分はいつでも提訴できます。
不服申立ての期限は次のとおりです。
・審査請求 … 原処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内
・再審査請求 … 決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月以内
いずれも文書又は口頭ですることができます。この期限は健康保険・国民年金と共通です。
訴訟との関係を整理すると次のようになります。
資格・標準報酬・保険給付に関する処分
・審査請求 → 社会保険審査官
・そのあとは自由選択で、再審査請求(社会保険審査会)に進むか、直接処分取消しの訴えを提起する
・ただし処分取消しの訴えは社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起できない(審査請求前置)
脱退一時金に関する処分
簡単にいうと
健保は一律2年でした。厚年は給付5年・徴収金2年に分かれます。
厚生年金保険法の時効は次のとおりです。
・保険給付を受ける権利 … 5年
・保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を徴収し、又は還付を受ける権利 … 2年
3科目を並べると次のようになります。
・健康保険 … 保険給付も保険料も一律2年
・国民年金 … 年金給付5年、徴収金2年、死亡一時金だけ2年
・厚生年金保険 … 保険給付5年、徴収金2年
試験では、障害手当金の給付を受ける権利について「支給すべき事由が生じた日から2年を経過したときは時効によって消滅する」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。障害手当金は一時金ですが保険給付なので5年です。国民年金の死亡一時金が2年であることと混同しないよう注意が必要です。
罰則についても押さえておきます。事業主が正当な理由なくして「被保険者の資格の得喪並びに報酬月額及び賞与額に関する事項について届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき」は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
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保険料その他徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分
・自由選択で、審査請求(社会保険審査会)をするか、直ちに処分取消しの訴えを提起する
保険料等の処分には審査請求前置がかからないので、いきなり裁判所に行けます。この構造は健康保険と同じです。
審査請求前置がかかる場合でも、必要なのは審査官の決定であって審査会の裁決ではありません。再審査請求まで経る必要はないということです。
具体例
老齢厚生年金の裁定に不服がある人は、まず社会保険審査官に3月以内に審査請求をします。決定が出れば、審査会を飛ばして裁判所に訴えられます。
試験のポイント
・国民年金 … 不正受給で3年以下の懲役又は100万円以下の罰金
・健康保険 … 秘密漏えいで1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
・厚生年金保険 … 事業主の届出義務違反で6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金
国民年金が突出して重く、厚生年金保険が最も軽いという並びになります。
このほか、事務の円滑な実施を図るための措置として、政府等は厚生年金保険に関し教育及び広報を行うことができ、また電子情報処理組織の運用を行うものとされています。国民年金と同じ規定です。
具体例
5年前に受け取り忘れていた老齢厚生年金は請求できますが、6年前の分は時効で消滅しています。保険料の還付なら2年です。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥7,800/ 購入日から1年間有効(税込)
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