社会保険労務士法と労務管理・労働経済
労働経済は、実際の試験では最新の統計数値も出されます。数値そのものは毎年変わるため、いま固めておくべきは「変わらない用語の定義」です。テキストも同じ方針で、試験で注意を要する用語をピックアップして解説しています。
ここで押さえた定義は、白書や統計の読み方の土台にもなります。数字を追う前に、何を数えている数字なのかを正確にしておくということです。
簡単にいうと
分母と分子を取り違えると意味が逆になります。
有効求人倍率とは、有効期間内の有効求職者数に対する有効求人数の割合をいいます。
式にすると次のようになります。
有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数
分母が求職者、分子が求人です。1以上だと求職者1人あたり1件以上の求人がある状態なので、景気は良好といえます。
「有効期間内」とは、原則として、公共職業安定所に申し込んだ月を含めて3か月有効という意味です。申し込んだ月を「含めて」3か月という数え方に注意が必要です。
有効という言葉が付いているのは、その月に新規に出た求人・求職だけでなく、前月以前から持ち越されて有効期間内にあるものも含めて数えるからです。新規求人倍率とは別の指標になります。
公共職業安定所の窓口を通した数字なので、民間の職業紹介やハローワークを使わない転職は反映されません。景気の代表的な指標ではあるものの、労働市場全体を映しているわけではないという性質も押さえておきます。
具体例
有効求職者が100人、有効求人が130件の地域では有効求人倍率が1.3となり、人手が足りない状態を示します。
試験のポイント
簡単にいうと
働いていないだけでは完全失業者になりません。
労働力人口とは、15歳以上人口のうち就業者と完全失業者を合わせたものをいいます。
全体の構造は次のようになります。
15歳以上人口
・労働力人口
・就業者 → 自営業主・家族従業者/雇用者
・完全失業者
・非労働力人口
総務省が行う労働力調査において「完全失業者」とは、次の3つのいずれにも該当する者をいいます。
❶就業者ではなく、仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった者
❷仕事があればすぐに就くことができる者
❸調査週間中に就職活動を行っていた者
簡単にいうと
実質賃金は、名目賃金を物価水準で割った値です。
賃金の2つの見方を区別します。
・名目賃金 … 貨幣単位、つまり市中に流通している通貨の単位で表した賃金のこと。貨幣賃金ともいう
・実質賃金 … 労働者がその労働の対価として受け取る報酬である名目賃金を、その時点での物価水準で除した、実際の購買力を示す賃金のこと
計算の向きが重要です。実質賃金は名目賃金を物価水準で「除した」ものです。掛けるのではありません。
物価が上がっているときは、名目賃金が増えていても実質賃金は減ることがあります。給料の額面が2%上がっても物価が3%上がれば、買えるものは減っているということです。ニュースで「実質賃金がマイナス」と言われるのはこの状態を指します。
最後に労働組合の推定組織率です。推定組織率とは、労働組合を組織している労働者の数が雇用者総数の何割に当たるかを推定したもので、単一労働組合の組合員数を「労働力調査」(6月分)の雇用者数で除して算出します。
分母が「労働力調査の6月分の雇用者数」である点が問われます。労働力人口ではなく雇用者数です。労働力人口には自営業主・家族従業者も含まれますが、組合を作るのは雇われている人なので、雇用者数で割るのが筋だということになります。
「推定」と付いているのは、組合員数と雇用者数が別々の調査から取られており、厳密に対応していないためです。
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・働く意思がない人 … ❸を満たさないので非労働力人口
・介護などですぐに働けない人 … ❷を満たさないので非労働力人口
・週に数時間でも働いた人 … ❶を満たさないので就業者
就業者と完全失業者を足したものが労働力人口で、それ以外が非労働力人口です。学生や専業主婦・主夫、高齢で働く意思のない人などが非労働力人口に入ります。
完全失業率は、完全失業者数を労働力人口で除して求めます。分母が15歳以上人口ではない点に注意が必要です。
もうひとつ、M字型カーブも押さえておきます。年齢階級別の女性の労働力人口比率の推移が示す曲線のことで、出産、育児期に低下し、育児終了後に高まる傾向がみられます。近年では女性の労働力率の上昇に伴い、その曲線がM字から台形に近づきつつあるといわれています。
試験では、これを「N字型カーブ」とする誤りの選択肢が出題されたことがあります。
具体例
求職活動をしていない専業主婦は完全失業者ではなく非労働力人口に入ります。

労働力人口等の構成図。完全失業者の3条件と、有効求人倍率・実質賃金・推定組織率の計算も添えています
試験のポイント
具体例
名目賃金が1%増えても物価が2%上がっていれば、実質賃金は下がったことになります。
試験のポイント
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