社労士になる子ちゃん
労働者災害補償保険法令和6年度第4問

令和6年度 第4問 解説

問題文

▼ 次の問いに答えてください。 〔問 4〕 複数事業労働者(事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者)の業務災害に係る保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、A・Bにおいて、休業補償給付は、①「療養のため」②「労働することができない」ために③「賃金を受けない日」という三要件を満たした日の第4日目から支給されるものである(労災保険法第14条第1項本文)。 また、C・Dにおいて、複数事業労働者につき、業務災害が発生した事業場を「災害発生事業場」と、それ以外の事業場を「非災害発生事業場」といい、いずれにおいても、当該労働者の離職時の賃金が不明である場合は考慮しない。 (出典)第56回(令和6年度)社会保険労務士試験 択一式 労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) 問4/全国社会保険労務士会連合会試験センター

A休業補償給付が支給される三要件のうち「労働することができない」に関して、業務災害に被災した複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において当該業務災害に係る通院のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には、「労働することができない」に該当すると認められることがある。
B休業補償給付が支給される三要件のうち「賃金を受けない日」に関して、被災した複数事業労働者については、複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう。)の60%以上の賃金を受けることにより「賃金を受けない日」に該当しない状態でありながら、他の事業場において、当該業務災害による傷病等により無給での休業をしているため、「賃金を受けない日」に該当する状態があり得る。
C複数事業労働者については、その疾病が業務災害による遅発性疾病である場合で、その診断が確定した日において、災害発生事業場を離職している場合の当該事業場に係る平均賃金相当額の算定については、災害発生事業場を離職した日を基準に、その日(賃金の締切日がある場合は直前の賃金締切日をいう。)以前3か月間に災害発生事業場において支払われた賃金により算定し、当該金額を基礎として、診断によって当該疾病発生が確定した日までの賃金水準の上昇又は変動を考慮して算定する。
D複数事業労働者については、その疾病が業務災害による遅発性疾病である場合で、その診断が確定した日において、災害発生事業場を離職している場合の非災害発生事業場に係る平均賃金相当額については、算定事由発生日に当該事業場を離職しているか否かにかかわらず、遅発性疾病の診断が確定した日から3か月前の日を始期として、当該診断が確定した日までの期間中に、非災害発生事業場から賃金を受けている場合は、その3か月間に非災害発生事業場において支払われた賃金により算定する。正解
E複数事業労働者に係る平均賃金相当額の算定において、雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号。以下「改正法」という。)の施行日後に発生した業務災害たる傷病等については、当該傷病等の原因が生じた時点が改正法の施行日前であっても、当該傷病等が発生した時点において事業主が同一人でない2以上の事業に使用されていた場合は、給付基礎日額相当額を合算する必要がある。

解説

誤っているものを選ぶ問題で、正答はD。複数事業労働者の給付基礎日額は、事業場ごとに平均賃金相当額を出して合算しますが、その算定の基準日はどの事業場についても同じ算定事由発生日でそろえます。遅発性疾病で災害発生事業場を既に離職している場合、基準になるのは離職の日であり、非災害発生事業場だけを診断確定日から3か月前を始期に計算し直すことはありません。 Cは正しい記述で、災害発生事業場については離職の日を基準に3か月間の賃金で算定し、そこから診断確定日までの賃金水準の変動を考慮します。CとDを並べて、非災害発生事業場だけ基準日をずらす形に作り替えたのがこの問題の仕掛けです。 Aは正しい。一方の事業場では働けていても、他方の事業場について通院等で所定労働時間の全部または一部を働けない場合は「労働することができない」に当たることがあります。 Bは正しい。一部の事業場で平均賃金相当額の60%以上の賃金を受けていても、他の事業場で無給の休業をしていれば「賃金を受けない日」に当たり得ます。AもBも、休業補償給付の3要件を事業場ごとに見るという発想が根にあります。 Eは正しい。改正法の施行日後に発生した傷病等であれば、原因が生じた時点が施行日前でも合算の対象になります。 ▶ テキスト: 労働者災害補償保険法「3つの給付基礎日額とスライド制」「休業補償給付」

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