問題文
▼ 次の問いに答えてください。
〔問 3〕 労働契約法等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(出典)第56回(令和6年度)社会保険労務士試験 択一式 労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 問3/全国社会保険労務士会連合会試験センター
A労働契約は労働者及び使用者が合意することによって成立するが、合意の要素は、「労働者が使用者に使用されて労働すること」、「使用者がこれに対して賃金を支払うこと」、「詳細に定められた労働条件」であり、労働条件を詳細に定めていなかった場合には、労働契約が成立することはない。
B労働基準法第106条に基づく就業規則の「周知」は、同法施行規則第52条の2各号に掲げる、常時各作業場の見やすい場所へ掲示する等の方法のいずれかによるべきこととされているが、労働契約法第7条柱書きの場合の就業規則の「周知」は、それらの方法に限定されるものではなく、実質的に判断される。正解
C労働基準法第89条及び第90条に規定する就業規則に関する手続が履行されていることは、労働契約法第10条本文の、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果を生じさせるための要件ではないため、使用者による労働基準法第89条及び第90条の遵守の状況を労働契約法第10条本文の合理性判断に際して考慮してはならない。
D労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、期間の定めのある労働契約(以下本問において「有期労働契約」という。)は、試みの使用期間(試用期間)を設けることが難しく、使用者は労働者の有する能力や適性を事前に十分に把握できないことがあることから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、同法第16条に定めるいわゆる解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも広いと解される。
E労働契約法第18条第1項によれば、労働者が、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下本肢において同じ。)の契約期間を通算した期間が5年を超えた場合には、当該使用者が、当該労働者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の申込みをしたものとみなすこととされている。
解説
正答はB。労基法106条の周知は施行規則52条の2に挙げられた方法(各作業場の見やすい場所への掲示など)のいずれかによる必要がありますが、労契法7条の周知はそれらの方法に限られず、労働者が知ろうと思えば知り得る状態にあったかを実質的に判断します。同じ「周知」でも、手続の適否を問う労基法と、契約内容になるかを問う労契法とで見方が違うという点がポイントです。
Aは誤り。労働契約は「使用されて労働すること」と「これに対して賃金を支払うこと」の2点について合意すれば成立します。労働条件を詳細に定めていなくても成立します。
Cは誤り。労基法89条・90条の手続の履行は労契法10条本文の効果が生じるための要件ではないものの、合理性の判断に際して考慮することは差し支えありません。「考慮してはならない」と言い切る点が誤りです。
Dは誤り。有期労働契約の期間途中の解雇に必要な「やむを得ない事由」は、解雇権濫用法理で問われる場合よりも認められる範囲が狭いと解されています。期間を約束した以上、途中で切るにはより重い理由がいる、という理屈です。「広い」としている点が逆です。
Eは誤り。無期転換は労働者が申込みをして初めて動きます。条文は、労働者が申込みをしたときに使用者が承諾したものとみなす、という組み立てです。使用者が申し込んだとみなすわけではありません。
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