就業前に必要な教育と資格
教育を受けさせればよい業務と、資格がなければそもそも就かせてはいけない業務があります。後者が就業制限です。
この節の主役は数字の境界線です。同じフォークリフトでも、1トン未満なら特別教育、1トン以上なら就業制限。この「境目」を機械ごとに押さえることが、そのまま得点になります。
簡単にいうと
教えれば済む話ではなく、免許や技能講習がなければアウト、という強い規制です。
【条文】労働安全衛生法第61条第1項
事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。
この規定の趣旨は、作業を行う労働者だけでなく、一般公衆にまで広範に被害が及ぶ危険がある業務については、一定の資格を有する者等でなければ就業させてはならない、というものです。街中でクレーンが荷を落とせば、通行人にも被害が及びます。だからこそ社内教育では足りず、公的な資格を求めているわけです。
資格として認められるのは次のいずれかです。
・都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者
・都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者
・その他厚生労働省令で定める資格を有する者
そして見落としやすいのが、個人事業主自らが当該業務を行う場合にも、この就業制限の規定が適用されるという点です。試験では「個人事業主である事業者自らが当該業務を行うことについては制限されていない」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。自分ひとりでやるなら自由、ということにはなりません。
具体例
つり上げ荷重6トンの移動式クレーンを、資格のない従業員に運転させることはできません。会社を1人で営んでいる個人事業主が自分で運転する場合も同じで、資格が必要です。
試験のポイント
簡単にいうと
覚えるべきは数字。前の節の特別教育の数字と、隣り合わせで出てきます。
就業制限の対象となる業務には、次のようなものがあります。
・発破の場合におけるせん孔、装てん、結線、点火並びに不発の装薬又は残薬の点検及び処理の業務
・ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの業務
・つり上げ荷重が5トン以上のクレーン、デリックの運転の業務
・つり上げ荷重が1トン以上の移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務
・最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務
・作業床の高さが10メートル以上の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務
「道路上を走行させる運転を除く」という括弧書きが繰り返し出てきます。公道を走ること自体は道路交通法の運転免許の問題であり、安衛法が規制するのは荷役や作業としての運転だからです。
ボイラーの取扱いだけはトン数ではなく、小型ボイラーかどうかで線が引かれています。
具体例
簡単にいうと
同じ機械で数字の上下だけが違う。この対比は毎年のように狙われます。
特別教育と就業制限は、同じ機械について「小さいものは教育、大きいものは資格」という形で連続しています。境目の数字を機械ごとに並べて覚えるのが最短です。
フォークリフトの場合はこうなります。
・最大荷重1トン未満 ― 特別教育の対象
・最大荷重1トン以上 ― 就業制限の対象
移動式クレーンも1トンが境目です。
・つり上げ荷重1トン未満 ― 特別教育の対象
・つり上げ荷重1トン以上 ― 就業制限の対象
クレーン(移動式を除く)とデリックは5トンが境目になります。
・つり上げ荷重5トン未満 ― 特別教育の対象
・つり上げ荷重5トン以上 ― 就業制限の対象
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資材置き場で最大荷重1.5トンのフォークリフトを動かすには、技能講習の修了が必要です。同じ人が公道をそのフォークリフトで走行するときに必要なのは、道路交通法上の運転免許のほうです。
試験のポイント
具体例
同じ倉庫にある0.8トンのフォークリフトと1.2トンのフォークリフト。前者は特別教育を受けた社員が運転できますが、後者は技能講習を修了していなければ運転できません。

1トン・5トンの境目で、必要なものが教育から資格に変わる
試験のポイント
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