健康の保持増進
ストレスチェックは、心の不調を早い段階で見つけるための制度です。健康診断とよく似た形をしていますが、決定的に違う点が1つあります。結果を事業者が勝手に見ることはできない、ということです。
この「本人の同意」という軸を中心に据えると、通知・面接指導・不利益取扱いの禁止といった周辺のルールが一本の線でつながります。
簡単にいうと
健康診断と同じ「1年以内ごとに1回」。ただし小規模事業場では努力義務にとどまります。
事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行わなければなりません。
検査する事項は次の3つです。
・職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
・当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
・職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
本人の症状だけでなく、原因となる職場環境と、周囲の支援状況までを一緒に測るのが特徴です。個人の問題として片付けず、職場の側に手を入れるための材料にする、という設計になっています。
なお、常時使用する労働者が50人未満の事業場については、ストレスチェック及びその結果に基づく面接指導の実施は、当分の間、努力義務とされています。産業医や衛生委員会と同じく、ここでも50人が境目です。
具体例
従業員40人の設計事務所では、ストレスチェックの実施は努力義務です。従業員60人になった時点で、1年以内ごとに1回の実施が義務になります。
試験のポイント
簡単にいうと
医師と保健師は無条件。それ以外の職種は研修の修了が条件になります。
ストレスチェックの実施者になれるのは、次の者です。
・医師
・保健師
・検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
前の2つは追加の要件がありませんが、後半の4職種は研修の修了が必要です。歯科医師が入っている点、そして公認心理師が含まれる点が意外に感じるかもしれません。名前を並べて覚えておきましょう。
人事権を持つ者が実施の事務に従事できないという制限もあります。個人の結果を人事評価に使わせないための歯止めです。
具体例
社内の看護師にストレスチェックを担当させる場合は、厚生労働大臣が定める研修を修了している必要があります。産業医であればそのまま実施者になれます。
簡単にいうと
ここが健康診断との最大の違いです。会社は結果を当然には知ることができません。
事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対し、当該検査を行った医師等から、遅滞なく、検査の結果が通知されるようにしなければなりません。
この場合において、当該医師等は、あらかじめストレスチェックを受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者のストレスチェックの結果を事業者に提供してはなりません。
健康診断では、結果は事業者のもとに集まり、個人票として5年間保存されます。ストレスチェックはそうではありません。個人ごとの結果を、基本的に事業者は知ることができないのです。
理由は、結果が知られることで労働者が就業上不利益な取扱いを受けてしまう危険性があるからです。心の状態は評価や配置に直結しやすく、そこを守らなければ正直に答えてもらえません。ただし、労働者からの同意があれば事業者に提供できます。
具体例
高ストレスと判定されたとしても、本人が同意しない限り、その事実を上司が知ることはありません。本人が面接指導を申し出た段階で、必要な範囲の情報が会社に伝わることになります。

簡単にいうと
面接指導の申出をしたことを理由に不利に扱ってはいけない、という規定はここだけにあります。
ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い者であって、面接指導を受ける必要があるとストレスチェックを行った医師等が認めた者が、面接指導の対象になります。
ただし、面接指導が行われるためには、対象労働者本人からの申出があることが前提です。事業者は、労働者から申出があったときは、遅滞なく面接指導を行わなければなりません。
そして重要な保護規定があります。事業者は、労働者がストレスチェック結果に基づく面接指導を受けることを希望する旨の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いをしてはなりません。
各種の面接指導の規定の中で、不利益取扱いの禁止が明文で置かれているのはここだけです。手を挙げること自体にためらいが生じやすい制度だからこそ、申出をした人を守る条文が必要になる、という理解の仕方をしておくと忘れません。
面接指導の後の手続は次のとおりです。
・事業者は、面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、面接指導が行われた後、遅滞なく医師の意見を聴かなければならない
・事業者は、面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない
具体例
簡単にいうと
個人の結果は渡さないけれど、実施状況は行政に報告します。
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
報告するのは実施状況であって、個人ごとの結果ではありません。前のテーマで見た「同意がなければ事業者に結果を提供できない」というルールと矛盾しないのは、報告の中身が集計された実施状況だからです。
提出先は所轄労働基準監督署長です。健康診断の結果報告書と同じ提出先なので、まとめて覚えられます。
50人という数字は、この節だけでも3か所に出てきます。実施義務の境目、努力義務にとどまる規模、そして報告義務の境目です。安衛法における50人は、産業医・衛生管理者・衛生委員会とも共通する重要な区切りだと意識しておきましょう。
具体例
従業員80人の会社は、毎年のストレスチェックの実施状況をまとめて所轄労働基準監督署長に報告します。誰が高ストレスだったかを個別に報告するわけではありません。
試験のポイント
動画・テキスト・過去問・図解まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
試験のポイント
同意と申出という2つの関門が、この制度の要
試験のポイント
高ストレスと判定されたたくやさんが面接指導を申し出たことを理由に、担当業務から外したり評価を下げたりすることは許されません。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥7,800/ 購入日から1年間有効(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。