概算保険料と確定保険料
1年分をまとめて先払いするのは、事業主にとって重い負担です。そこで一定の要件を満たせば分割払いができます。それが延納です。
この節は日付が大量に出てきます。ただし期の区切り方は継続事業も有期事業も同じで、違うのは納期限だけです。そこを軸にすれば整理できます。
簡単にいうと
3つの数字が出てきます。「又は」でつながっている点に注意です。
延納とは、一定の要件の下に概算保険料の納期限を延期して分割払いすることをいいます。
継続事業(一括有期事業を含む)であって、次の要件に該当する事業の事業主は、概算保険料申告書を提出する際に申請することにより、概算保険料を延納することができます。
・納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のいずれか一方のみが成立している事業については20万円)以上であること、又は、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されていること
・保険年度の中途に保険関係が成立した事業については、9月30日までに保険関係が成立していること
1つ目の要件は「又は」でつながっています。金額の基準を満たすか、事務組合に委託しているか、どちらかでよいということです。事務組合に委託していれば、金額がいくらでも延納できます。
金額の基準が2段階になっている点にも注意してください。労災と雇用の両方が成立している事業なら40万円、片方だけなら20万円です。二元適用事業ではそれぞれ20万円で判定します。
2つ目の要件が9月30日です。保険年度の中途に保険関係が成立した事業については、9月30日までに成立していないと延納できません。
試験では『政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が労働保険徴収法第15条の規定により納付すべき概算保険料を延納させることができるが、有期事業以外の事業にあっては、当該保険年度において9月1日以降に保険関係が成立した事業はその対象から除かれる』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。除かれるのは10月1日以降に保険関係が成立した事業です(則27条1項)。「9月30日までなら延納できる」の裏返しが「10月1日以降は延納できない」です。
そして、延納するには申請が必要です。概算保険料申告書を提出する際に申請します。自動的に分割になるわけではありません。
具体例
概算保険料が50万円の会社は3回に分けて納められます。20万円しかない会社でも、労働保険事務組合に委託していれば分割できます。

概算保険料の延納 ― 要件と納期限
試験のポイント
簡単にいうと
3回に分けます。事務組合に委託していると2回目以降が延びます。
継続事業の延納は、原則として3回に分けて納付することができます。
・第1期 4月1日〜7月31日 … 納期限は7月10日まで(6月1日から起算して40日以内)
・第2期 8月1日〜11月30日 … 納期限は10月31日まで
・第3期 12月1日〜翌年3月31日 … 納期限は翌年1月31日まで
期の区切り方は4か月ごとです。そして納期限は、それぞれの期が終わる前に設定されています。前払いという性格上、期間が終わってから払うのではなく、その期のうちに払う形になっています。
労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合には、第2期以降の納期限が延びます。
・8月1日〜11月30日の期分 … 11月14日まで
・12月1日〜翌年3月31日の期分 … 翌年2月14日まで
事務組合が多数の事業主の分をまとめて処理する時間を確保するための猶予です。第1期の7月10日は変わりません。
簡単にいうと
継続事業とは要件が違います。金額が高く、期間の要件が加わります。
有期事業(一括有期事業を除く)であって、次の要件に該当する事業の事業主は、概算保険料申告書を提出する際に申請することにより、概算保険料を延納することができます。
・納付すべき概算保険料の額が75万円以上であること、又は、労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されていること
・事業の全期間が6月を超えていること
継続事業と比べてみましょう。
・継続事業 … 40万円(一方のみなら20万円)以上、又は事務組合委託。中途成立は9月30日まで
・有期事業 … 75万円以上、又は事務組合委託。事業の全期間が6月を超えていること
金額の基準が40万円から75万円に上がっています。有期事業は事業の全期間分をまとめて納めるため、そもそも金額が大きくなりやすいからです。
そして「事業の全期間が6月を超えていること」という要件が加わります。半年で終わる工事なら分割する意味がない、という趣旨です。
「6月を超えて」であって「6月以上」ではない点に注意してください。ちょうど6か月の工事は延納できません。
簡単にいうと
期の区切りは継続事業と同じ。でも納期限が1つだけ大きく違います。
有期事業の事業主が延納の申請をした場合には、概算保険料を、その事業の全期間を通じて、毎年4月1日から7月31日まで、8月1日から11月30日まで及び12月1日から翌年3月31日までの各期に分けて納付することができます。
期の括り方自体は、継続事業と同じです。
しかし納期限が違います。
・4月1日〜7月31日の期分 … 3月31日まで
・8月1日〜11月30日の期分 … 10月31日まで
・12月1日〜翌年3月31日の期分 … 翌年1月31日まで
2つ目と3つ目は継続事業と同じですが、1つ目だけが違います。継続事業では7月10日だったところが、有期事業では(その期が始まる前の)3月31日になります。
試験では、概算保険料について延納が認められている有期事業(一括有期事業を除く)の事業主の4月1日から7月31日までの期分の概算保険料の納期限は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合であっても3月31日とされている、という記述が正しいものとして出題されています(則28条2項)。事務組合に委託していても延びません。
第1期の考え方にも独特のルールがあります。たとえばある年の6月15日に保険関係が成立したとします。本来の期の末日は7月31日ですが、2か月を切ってしまっているため独立させることができず、次の期に吸収して11月30日までを第1期とします。なお、保険関係成立の日の翌日から起算して20日以内(この事例だと7月5日まで)に第1期分の保険料を納付しなければなりません。
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・4月1日から5月31日までの間に成立 … 保険関係成立の日から7月31日までを最初の期として、3回の延納が可能
・6月1日から9月30日までの間に成立 … 保険関係成立の日から11月30日までを最初の期として、2回の延納が可能
残っている期の数だけ分割できる、という素直な仕組みです。そして10月1日以降に成立した場合は、残る期が1つしかないので延納の対象から外れます。
具体例
4月から始まる年度で概算保険料60万円なら、7月10日・10月31日・翌年1月31日の3回に20万円ずつ納めます。事務組合に委託していれば2回目以降が11月14日・2月14日になります。
試験のポイント
具体例
工期10か月・概算保険料100万円の工事は延納できます。工期5か月なら、金額が大きくても延納できません。
試験のポイント
「2か月を切っているか否か」で第1期の終期が決まる、というのがこのルールです。
第2期以降は、事業が終了する日まで期を重ねていきます。事業の期間が長ければ第4期以降も存在するのが有期事業の特徴です。
具体例
6月15日に着工した工事なら、11月30日までが第1期になり、7月5日までに第1期分を納めます。以後、12月1日〜翌年3月31日が第2期と続きます。
試験のポイント
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