概算保険料と確定保険料
先に納めた概算保険料を、実績で精算するのが確定保険料です。足りなければ払い、余っていれば返してもらうか次に回すことになります。
概算保険料と対になる制度なので、期限も書類も並べて覚えるのが効率的です。特に認定決定の書類が「納入告知書」である点は繰り返し問われます。
簡単にいうと
概算保険料の期限とよく似ています。違いは起算日の書き方です。
確定保険料の申告期限は、事業の区分によって次のとおりです。
継続事業(一括有期事業を含む)
事業主は、保険年度ごとに、その年度の賃金総額を用いて計算した労働保険料(確定保険料)の額等を記載した確定保険料申告書を、次の保険年度の6月1日から40日以内に提出しなければなりません。保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、当該保険関係が消滅した日から50日以内です。
有期事業
有期事業の事業主は、その事業期間に係る賃金総額を用いて計算した確定保険料の額等を記載した確定保険料申告書を、保険関係が消滅した日から50日以内に提出しなければなりません。
概算保険料と並べてみましょう。
・継続事業の概算 … 6月1日から40日以内/中途成立は翌日から50日以内
・継続事業の確定 … 次年度6月1日から40日以内/中途消滅は消滅した日から50日以内
・有期事業の概算 … 保険関係成立の日の翌日から20日以内
・有期事業の確定 … 保険関係が消滅した日から50日以内
起算日の書き方に注目してください。概算の「翌日から起算して」に対し、確定は「消滅した日から」です。「翌日」が付きません。
そして、既に納付している概算保険料の額が確定保険料額より不足している場合には、その不足額を払わなければなりません。有期事業でも同じです。
具体例
6月30日に事業を廃止した場合、保険関係は7月1日に消滅し、そこから50日以内の8月19日までに確定保険料申告書を提出します。
試験のポイント
簡単にいうと
概算との違いが問われる定番です。書類名と追徴金の有無をセットで。
所轄都道府県労働局歳入徴収官は、次のいずれかに該当する事業主が申告・納付すべき正しい確定保険料の額を決定(認定決定)し、これを事業主に納入告知書によって通知します。
・事業主が所定の期限までに確定保険料申告書を提出しないとき
・事業主が提出した確定保険料申告書の記載に誤りがあると政府が認めるとき
通知を受けた事業主は、通知を受けた日の翌日から15日以内に、納入告知書によって納付しなければなりません。
概算保険料の認定決定と比べておきましょう。
・概算保険料の認定決定 … 納付書によって通知。追徴金は徴収されない
・確定保険料の認定決定 … 納入告知書によって通知。納付すべき額の100分の10の追徴金が徴収される
通知の期限(翌日から15日以内)は共通です。違うのは書類名と追徴金の有無です。
追徴金がつくのは確定保険料のほうだけ、という点は特に重要です。確定保険料は実績に基づく確定した債務であり、それを申告しなかったり誤ったりした場合には制裁が科されるという構造になっています。
簡単にいうと
余った分の行き先です。事業主が動くかどうかで変わります。
事業主が納付した概算保険料の額が確定保険料の額を超える場合には、その超える額(超過額)が還付されたり、次の保険年度の保険料等に充当されたりします。
還付
事業主が、確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料の認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、超過額を請求したときは、官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏によって超過額が還付されます。
充当
事業主による還付の請求がない場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、超過額を次の保険年度の概算保険料若しくは未納の労働保険料その他徴収法の規定による徴収金(未納の増加概算保険料、延滞金、追徴金等)又は未納の一般拠出金等に充当します。
分かれ目は「請求したかどうか」です。請求すれば現金で戻ってきて、請求しなければ次の年度の保険料などに振り替えられます。
押さえるべき点を整理します。
・還付の請求期限 … 確定保険料申告書を提出する際、又は認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内
・還付を行う者 … 官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏
簡単にいうと
申告・納付先は概算と同じ。ただし1つだけ例外があります。
確定保険料の申告・納付先は、原則として概算保険料の申告・納付先と同様です。
・申告 … 確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出
・納付 … 所轄都道府県労働局収入官吏又は日本銀行に納付
ただし例外があります。納付すべき確定保険料がない場合における確定保険料申告書の提出については、日本銀行を経由して行うことはできません。
理由は単純で、日本銀行はお金を受け取る窓口だからです。納める金額がゼロなら、日本銀行を通す意味がありません。この場合は所轄都道府県労働局歳入徴収官に直接提出することになります。
「納付すべき確定保険料がない場合」というのは、概算で納めた額が確定額以上だった場合などです。むしろ還付を受ける側になります。
もう1つ、口座振替との関係も確認しておきましょう。口座振替によって納付できるのは次の2つに限られます。
・概算保険料(延納する場合における概算保険料も含む)
・確定保険料の申告に伴う労働保険料又はその不足額
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具体例
確定保険料申告書を出さずにいると、労働局から納入告知書が届き、本来の保険料に加えて10%の追徴金も納めることになります。
試験のポイント
充当については、事業主の請求や承認を必要としません。ただし充当がなされたときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官はその旨を事業主に通知しなければなりません。
労災保険法で学んだ「内払と充当」とは別の制度です。あちらは給付の過誤払の調整でした。名前が似ているだけで中身は違います。
具体例
概算で100万円納めて確定が90万円だった場合、請求すれば10万円が戻り、請求しなければ翌年度の概算保険料に充てられます。
試験のポイント
具体例
概算で多めに納めていて確定時に追加の納付がない会社は、申告書を金融機関の窓口ではなく労働局へ直接提出します。
試験のポイント
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