労働保険料の種類と額
労災保険率と雇用保険率は、決まり方がまったく違います。労災は事業の種類ごとに40種類、雇用は3種類だけです。
そして雇用保険率には内訳があり、その内訳が「誰がいくら負担するか」に直結します。この節はその構造をつかむのが目的です。
簡単にいうと
危険な業種ほど高くなります。何を見て決めるのかを条文で押さえます。
労災保険率は、労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去3年間における次の事情などを考慮して、厚生労働大臣が定めます。
・業務災害及び通勤災害に係る災害率
・二次健康診断等給付に要した費用の額
・社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容 その他の事情
また、労災保険率は、保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないとされています。
数字の押さえどころは2つです。
・過去3年間であること
・事業の種類(およそ40種類)ごとに、最低1,000分の2.5から最高1,000分の88まで定められていること
試験では『労災保険率は、労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去5年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率並びに二次健康診断等給付に要した費用の額、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは過去3年間です(法12条2項)。
3年という数字は、後で学ぶメリット制でも出てきます。メリット制も連続する3保険年度の収支率で判定します。「労災保険率まわりは3年」と結びつけて覚えると忘れません。
事業の種類ごとに率が違うということは、同じ業種なら災害の多少にかかわらず同じ率になるということでもあります。この不公平を是正するのがメリット制です。
具体例
危険性の高い建設業や林業は率が高く、事務中心の業種は低く設定されています。同じ業種の中での努力を反映させるのがメリット制です。
試験のポイント
簡単にいうと
業種は3つだけ。一般の事業を基準に、上に2段あると考えます。
雇用保険率は3種類です。令和6年度の率は次のとおりです。
・一般の事業 … 1,000分の14.5
・農林水産業・清酒製造業等 … 1,000分の16.5
・建設の事業 … 1,000分の17.5
一般の事業を基準として、農林水産業・清酒製造業等が2ポイント高く、建設の事業がさらに1ポイント高いという並びです。
労災保険率がおよそ40種類に細かく分かれていたのに対し、雇用保険率は3種類だけです。失業のリスクが業種によってそれほど大きく変わらないためで、季節的な離職が多い農林水産業や建設業だけが高く設定されています。
業種の順序も覚えておきましょう。低いほうから、一般の事業 → 農林水産業・清酒製造業等 → 建設の事業、です。建設の事業がいちばん高くなります。
なお、保険料率は毎年、おおむね4月の第2週金曜に官報で公示されます。年度によって率が変わることがあるので、直近の数字を確認しておくとよいでしょう。
具体例
簡単にいうと
率を3つに割ると、誰がいくら負担するかが見えてきます。
雇用保険率は、次の3つの部分から構成されています。
・失業等給付費等充当徴収保険率
・育児休業給付費充当徴収保険率
・二事業費充当徴収保険率
このうち、雇用保険二事業に係る部分については、事業主のみが負担します。残りの2つは事業主と被保険者が2分の1ずつ負担します。
令和6年度の内訳は次のとおりです。
一般の事業(合計1,000分の14.5)
・失業等給付費等 … 1,000分の7
・育児休業給付費 … 1,000分の4
・二事業費 … 1,000分の3.5
→ 事業主負担分 1,000分の9/被保険者負担分 1,000分の5.5
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同じ賃金総額でも、一般の事業と建設の事業とでは雇用保険料が3ポイント分違ってきます。
試験のポイント
農林水産業・清酒製造業等(合計1,000分の16.5)
・失業等給付費等 … 1,000分の9
・育児休業給付費 … 1,000分の4
・二事業費 … 1,000分の3.5
→ 事業主負担分 1,000分の10/被保険者負担分 1,000分の6.5
建設の事業(合計1,000分の17.5)
・失業等給付費等 … 1,000分の9
・育児休業給付費 … 1,000分の4
・二事業費 … 1,000分の4.5
→ 事業主負担分 1,000分の11/被保険者負担分 1,000分の6.5
計算の順序を確認しましょう。一般の事業なら、失業等給付費等7と育児休業給付費4を足した11を折半して5.5が被保険者負担分。事業主はその5.5に二事業費3.5を足した9を負担します。
建設の事業だけ二事業費が4.5と高くなっている点にも注目してください。合計が17.5と高いのは、失業等給付費等が9であることと、二事業費が4.5であることの両方によります。
具体例
一般の事業で月給30万円の人なら、雇用保険料の被保険者負担分は30万円×5.5/1000で1,650円です。会社はこれに加えて9/1000を負担します。
試験のポイント
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