労働保険料の種類と額
一般保険料の計算式は、賃金総額に一般保険料率を掛けるだけです。式そのものは単純ですが、「賃金総額とは何か」がこの節の本題になります。
継続事業と有期事業で対象期間が違うこと、そして建設業には特例があること。この2点を押さえましょう。
簡単にいうと
式は1本だけ。まずこの形を頭に入れます。
一般保険料の額は、賃金総額に一般保険料率を乗じて得た額です。
【計算式】一般保険料の額 = 賃金総額 × 一般保険料率
多くの事業が該当する一元適用事業においては、一般保険料率は労災保険率と雇用保険率を加えた率になります。
【計算式】一般保険料率 = 労災保険率 + 雇用保険率
労災保険と雇用保険の保険料を1本にまとめるという徴収法の趣旨が、この式にそのまま表れています。
試験では『一般保険料の額は、原則として、賃金総額に一般保険料率を乗じて算出されるが、労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、労災保険率、雇用保険率及び事務経費率を加えた率がこの一般保険料率になる』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。一般保険料率は労災保険率と雇用保険率とを加えた率であって、事務経費率のようなものは含まれません(法11条1項、法12条1項)。
なお、労災保険に係る保険関係のみが成立している事業では労災保険率のみ、雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業では雇用保険率のみが一般保険料率になります。二元適用事業では労災分と雇用分を別々に計算します。
具体例
賃金総額1億円、労災保険率3/1000、雇用保険率14.5/1000の会社なら、一般保険料は1億円×17.5/1000で175万円になります。
試験のポイント
簡単にいうと
「すべての労働者」に日雇労働被保険者も入ります。期間は継続と有期で違います。
賃金総額とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいいます。
ここでいうすべての労働者には、日雇労働被保険者も含まれます。日雇労働被保険者については印紙保険料も別に納めますが、賃金総額の計算からは除かれないという点に注意してください。
賃金総額の算定の対象となる期間は、事業の区分によって違います。
・継続事業 … 保険年度(4月1日から翌年3月31日まで)
・有期事業 … 事業の全期間
継続事業は毎年区切って計算し、有期事業は工事の初めから終わりまでを1つの単位として計算します。年度更新の有無に対応した違いです。
そして賃金の範囲は、この科目の最初に学んだとおりです。臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、すなわち賞与も含まれます。雇用保険法の賃金日額とは逆でした。
含まれないものも確認しておきましょう。解雇予告手当、退職金、祝金・見舞金等、事業主が全額負担する生命保険の掛金などは賃金と解されません。就業規則に定めがあっても慶弔見舞金は含めない、というのが試験で問われるところです。
具体例
簡単にいうと
元請けが下請けの賃金まで把握するのは無理。そこで割り切った計算方法が用意されています。
請負による建設の事業では、賃金総額を正確に算定できないことがあります。請負事業の一括によって元請負人が下請負人の分も含めて事業主になるため、下請けの労働者に支払われた賃金まで元請けが正確に把握するのは困難だからです。
そこで、賃金総額を正確に算定できない場合には、請負金額に労務費率を乗じて得た額をもって賃金総額とみなすこともできるとされています。
【計算式】賃金総額 = 請負金額 × 労務費率
労務費率とは、請負金額のうち賃金に相当する部分の割合として、事業の種類ごとに定められている率です。工事の種類によって人件費の比重が違うため、それに応じた率が設定されています。
この特例があるおかげで、元請負人は請負金額さえ分かれば保険料を計算できます。下請けを何社使っていても、それぞれの賃金台帳を集める必要がありません。
この計算方法は、請負事業の一括とセットで理解しておきましょう。一括によって元請けが全部背負うことになったからこそ、その負担を実務的に処理できるようにする仕組みが必要になった、という関係です。
なお、この特例が使えるのは請負による建設の事業に限られます。他の業種では、実際に支払った賃金の総額で計算します。
具体例
動画・テキスト・過去問・図解まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
正社員の給与も、パートの時給も、日雇労働者の日給も、賞与もすべて足したものが賃金総額です。退職金と解雇予告手当は入りません。
試験のポイント
請負金額2億円の土木工事で労務費率が定められていれば、賃金台帳を集めなくても2億円に率を掛けて賃金総額を出せます。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥7,800/ 購入日から1年間有効(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。