保険料の負担と徴収金の徴収
誰がいくら負担するのか。労働保険料の種類ごとに答えが決まっています。
軸は1つ、「労働者に給付が返ってくるものは労使折半、事業主のためのものは事業主が全額」です。この原則から個々のルールを導けるようにしましょう。
簡単にいうと
例外なく全額です。特別加入保険料も含みます。
労災保険に係る一般保険料、第1種特別加入保険料、第2種特別加入保険料及び第3種特別加入保険料は、全額事業主が負担します。
労災保険関係の保険料は、4種類すべてが事業主の全額負担です。労働者に負担はありません。
労災保険法で学んだとおり、労災保険はもともと使用者の災害補償責任を肩代わりする制度です。責任を負っているのは使用者ですから、その費用も使用者が負担するのが筋です。労災保険に「被保険者」という概念がないのも同じ理由でした。
特別加入保険料についても全額事業主負担とされていますが、特別加入者は中小事業主等・一人親方等・海外派遣者ですから、実質的には本人が負担していることになります。一人親方であれば、自分が事業主でもあるからです。
この原則は、暫定任意適用事業の任意加入で労働者の同意が不要とされていることの根拠にもなっていました。保険料の負担が生じない以上、労働者に意見を聞く必要がないという理屈です。
・労災保険に係る一般保険料 … 全額事業主
・第1種・第2種・第3種特別加入保険料 … 全額事業主
覚えることは「労災は全部事業主」だけです。
具体例
給与明細に労災保険料の欄がないのは、労働者が負担していないからです。会社が全額を負担しています。
試験のポイント
簡単にいうと
労使折半が原則。ただし二事業に係る部分だけは別です。
雇用保険に係る一般保険料のうち、雇用保険二事業に係る保険料は全額事業主が負担します。これ以外の一般保険料は、事業主及び被保険者が2分の1ずつ負担します。
また、印紙保険料は、事業主及び日雇労働被保険者が2分の1ずつ負担します。
なぜ二事業分だけ事業主の全額負担なのでしょうか。雇用保険二事業は雇用安定事業と能力開発事業で、その中心は事業主に対する助成金の支給です。雇用調整助成金やキャリアアップ助成金などは事業主が受け取るものですから、その財源を労働者に負担させる理由がありません。
計算の順序を確認しましょう。一般の事業(雇用保険率1,000分の14.5)の場合です。
・失業等給付費等 1,000分の7 + 育児休業給付費 1,000分の4 = 1,000分の11
・これを折半して被保険者負担分 1,000分の5.5
・事業主は 5.5 に二事業費 1,000分の3.5 を足して 1,000分の9
二事業分を先に抜いてから半分にする、という順序が大事です。
試験では、労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している場合、雇用保険の被保険者は一般保険料の額のうち雇用保険率に応ずる部分の額から、その額に二事業率を乗じて得た額を減じた額の2分の1を負担することとされている、という記述が正しいものとして出題されています(法31条1項)。
簡単にいうと
天引きのルールです。口頭で伝えるだけでは足りません。
事業主は、雇用保険の被保険者に賃金を支払う都度、被保険者の負担すべき労働保険料に相当する額を当該賃金から控除することができます。
「賃金を支払う都度」という点に注目してください。年に一度まとめて控除するのではなく、給与を払うたびにその分を差し引くということです。事業主は年1回まとめて納めますが、労働者からは毎月少しずつ預かる形になります。
そして、控除額の通知には形式が定められています。単に口頭での通知のみで済ませることはできず、労働保険料控除に関する計算書(例えば給与明細)を被保険者に交付して行うことが必要です。
いくら控除したのかを書面で示さなければならない、ということです。給与明細に「雇用保険料」の欄があるのは、この規定に対応しています。
・控除できるのは … 被保険者の負担すべき労働保険料に相当する額
・タイミングは … 賃金を支払う都度
・通知の方法は … 労働保険料控除に関する計算書の交付(口頭では不可)
なお、控除できるのは「被保険者の負担すべき」額に限られます。事業主負担分まで賃金から差し引くことはできません。当然のことですが、条文上も明確に区別されています。
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この条文の書き方が、まさに「二事業分を減じてから2分の1」という順序を示しています。
なお、事業主は印紙保険料の2分の1のほか一般保険料の事業主負担分を負担し、日雇労働被保険者は印紙保険料の2分の1のほか一般保険料の被保険者負担分を負担します。日雇労働被保険者に支払う賃金も賃金総額に含まれるため、印紙保険料と一般保険料の両方が発生するということです。
具体例
月給30万円の一般の事業の従業員なら、雇用保険料の本人負担分は30万円×5.5/1000で1,650円。会社は9/1000にあたる2,700円を負担します。
試験のポイント
具体例
毎月の給与明細に「雇用保険料 1,650円」と記載して交付することが、控除額の通知になります。口頭で「引いておくね」では足りません。
試験のポイント
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