保険料の負担と徴収金の徴収
保険料を納めなかったり、申告を怠ったりしたときのペナルティです。追徴金・督促・滞納処分・延滞金と、4つの制度が順番に働きます。
数字が多いところですが、それぞれ役割が違うので、流れに沿って整理すれば混乱しません。社会保険でも同じ仕組みが出てくるので、ここで型を作っておくと後が楽になります。
簡単にいうと
申告を怠った場合の制裁です。概算保険料にはつきません。
追徴金は、次のケースに応じて徴収されます。
・事業主が確定保険料の認定決定により確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合 … 納付すべき額に100分の10を乗じて得た額
・事業主が印紙保険料の納付を怠り、印紙保険料の認定決定がなされた場合 … 認定決定された印紙保険料の額の100分の25に相当する額
2つのケースだけです。そして率が違います。確定保険料は10%、印紙保険料は25%です。
印紙保険料のほうが重いのは、日々の納付を怠るという性質が悪質と評価されるためです。
ここで重要な点があります。概算保険料について認定決定が行われた場合については、追徴金は徴収されません。
概算保険料はあくまで見込みで納めるものですから、申告しなかったからといって制裁を科すほどではないという整理です。確定保険料は実績に基づく確定した債務なので、扱いが違います。
もう1つ、追徴金と延滞金の関係も押さえておきましょう。試験では『認定決定された確定保険料に対しては追徴金が徴収されるが、滞納した場合には、この追徴金を含めた額に対して延滞金が徴収される』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。追徴金に対して延滞金は徴収されません(法21条1項ほか)。
延滞金がかかるのはあくまで労働保険料の額に対してであって、追徴金に利息が付くわけではありません。
具体例
確定保険料100万円の申告を怠って認定決定されると、100万円に加えて10万円の追徴金を納めることになります。
試験のポイント
簡単にいうと
滞納処分の前段階です。「10日以上経過した日」という書き方に注意。
労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は期限を指定して督促しなければなりません。
「督促することができる」ではなく「督促しなければならない」です。義務です。
この督促は、納付義務者に督促状を発することによって行います。この場合において、納期限として指定する日は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければなりません。
「10日以内」ではなく「10日以上経過した日」です。督促状を出してすぐに払えというのは酷なので、最低10日の猶予を与えるという趣旨です。方向が逆なので注意してください。
試験では、労働保険徴収法第27条第2項により政府が発する督促状で指定すべき期限は督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならないとされているが、督促状に記載した指定期限経過後に督促状が交付され、又は公示送達されたとしても、その督促は無効であり、これに基づいて行った滞納処分は違法となる、という記述が正しいものとして出題されています(法27条2項ほか)。
指定期限が過ぎてから督促状が届いたのでは、猶予を与えたことになりません。だからその督促は無効で、それに基づく滞納処分も違法になります。
なお、実務上、督促状に指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した休日でない日とすることとされています(昭62.3.26労徴発19号)。
簡単にいうと
督促に従わない場合の最終手段です。中身は財産差押えです。
政府は、督促を受けた者がその指定の期限までに労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しないときには、国税滞納処分の例により滞納処分を行います。
滞納処分とは、要は財産差押えのことです。
「国税滞納処分の例により」という表現がポイントです。労働保険独自の手続を定めるのではなく、国税の取立てと同じやり方でやる、ということです。この書き方は健康保険法や厚生年金保険法でも同じように出てきます。
流れを整理しましょう。
・納付しない者がある → 政府は期限を指定して督促しなければならない
・督促状で指定した期限までに納付しない → 国税滞納処分の例により滞納処分
督促が滞納処分の前提になっています。督促なしにいきなり差し押さえることはできません。そして前のテーマで見たとおり、督促が無効であれば滞納処分も違法になります。
順序を守ることが手続の適法性を支えている、という構造です。
なお、滞納処分の対象となるのは労働保険料だけでなく、「その他徴収法の規定による徴収金」も含まれます。追徴金、延滞金、事業主からの費用徴収に係る徴収金などが該当します。
簡単にいうと
遅延利息です。起算日を「督促状の期限の翌日」と間違えないように。
政府は、労働保険料の納付を督促したときは、労働保険料の額に、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については年7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収します。この徴収金を延滞金といい、いわゆる遅延利息にあたります。
押さえるべき点は3つです。
1つ目は起算日です。「納期限の翌日」から数えます。ここでいう納期限とは本来の納期限であって、督促状で指定した期限ではありません。
試験では『政府は、労働保険料の督促をしたときは、労働保険料の額につき年14.6%の割合で、督促状で指定した期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数により計算した延滞金を徴収する』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは本来の納期限の翌日からです(法28条1項)。
督促状が出るのは納期限を過ぎてからですから、督促状の期限から数えると、それまでの遅れが免除されてしまいます。それでは制裁になりません。
2つ目は終期です。「完納又は財産差押えの日の前日まで」です。差押えの日そのものは含みません。
3つ目は率です。原則は年14.6%ですが、納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については年7.3%と、ちょうど半分になります。最初の2か月は軽く、それを過ぎると倍になるという段階的な設定です。
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具体例
3月1日に督促状を発するなら、指定できる納期限は3月11日以降になります。3月5日を期限にすることはできません。
試験のポイント
具体例
督促状の期限を過ぎても納付がなければ、会社の預金や売掛金が差し押さえられることになります。
試験のポイント
具体例
本来の納期限が7月10日なら、7月11日から延滞金が発生します。9月10日までは年7.3%、それ以降は年14.6%です。
試験のポイント
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