3つの一括
支店や営業所がいくつもある会社では、事業所ごとに保険関係が成立します。そのままだと支店の数だけ年度更新をしなければなりません。
そこで、まとめて1つの事業所で処理できるようにするのが継続事業の一括です。3つの一括のうち、唯一「申請して認可を受ける」必要があるのがこの制度です。
簡単にいうと
自動では一括されません。ここが他の2つとの決定的な違いです。
2以上の継続事業の一括が行われるためには、所定の要件を満たしたうえで、事業主が継続事業一括の申請書を所轄都道府県労働局長に提出し、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限委任)を受けなければなりません。
有期事業の一括と請負事業の一括が法律上当然に行われたのに対し、継続事業の一括は申請と認可が必要です。3つの一括を見分ける最初の手がかりがここにあります。
・有期事業の一括 … 認可不要
・請負事業の一括 … 認可不要
・継続事業の一括 … 認可が必要
申請書の提出先は所轄都道府県労働局長です。より正確には、指定を受けることを希望する事業に係る所轄都道府県労働局長に提出します。
要件についても、有期事業の一括のような規模要件は入っていません。金額や人数による制限がないのは請負事業の一括と同じです。
代わりに求められるのが、それぞれの事業につき成立している保険関係に同一性があることです。労災保険の保険関係だけが成立している事業所と、労災・雇用の両方が成立している事業所とを混ぜて一括することはできません。
業種についても、それぞれの事業の種類が同じであることが必要です。ただし有期事業の一括と違い、建設の事業などに限定されてはいません。あらゆる業種が対象になり得ます。
具体例
全国に10の営業所を持つ会社が、本社を指定事業として一括の認可を受ければ、年度更新を本社で1回行うだけで済みます。
試験のポイント
簡単にいうと
一括の効果です。「指定事業」という言葉がキーワードになります。
2以上の継続事業の一括が行われると、それぞれの事業の保険関係は厚生労働大臣が指定する一の事業(指定事業といいます)に係る保険関係に一本化され、1つの保険関係となります。
そして、それぞれの事業に使用される労働者は、指定事業に使用される労働者とみなされます。
ここでもう1つ大きな違いがあります。継続事業の一括では、労災保険及び雇用保険の両方が一括されます。有期事業の一括と請負事業の一括が労災保険のみであったのとは対照的です。
一括に伴って生じる手続が2つあります。
・指定事業以外の事業について
保険関係が消滅するため、保険関係の消滅に伴う労働保険料の確定精算に関する手続が必要になります。それまで各事業所で納めていた概算保険料を精算するということです。
・指定事業について
事業規模が拡大されたこととなるため、通常は増加概算保険料の納付の手続を要することとなります。他の事業所の労働者が指定事業の労働者とみなされる結果、賃金総額が大きく増えるからです。
一括して手続が減るはずが、一括した年だけは手続が増えるという点がおもしろいところです。翌年からは年度更新1回で済みます。
簡単にいうと
3つの一括に共通するルールです。ただし継続事業では窓口の考え方が問われます。
継続事業の一括が行われた場合であっても、雇用保険の被保険者に関する事務並びに労災保険及び雇用保険の給付に関する事務については、それぞれの事業ごとに行わなければなりません。
一括されるのは保険料の納付に関する事務であって、給付や被保険者の管理は別だという点は、3つの一括に共通しています。
試験では、継続事業の一括について都道府県労働局長の認可があったときは、被一括事業の労働者に係る労災保険給付(二次健康診断等給付を除く)の事務や雇用保険の被保険者資格の確認の事務等は、その労働者の所属する被一括事業の所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長がそれぞれの事務所掌に応じて行う、という記述が正しいものとして出題されています。
つまり、給付や被保険者の手続をする窓口は、指定事業の所在地ではなく、その労働者が実際に所属している事業所(被一括事業)の所在地を管轄する役所になります。
・保険料の納付 … 指定事業の所轄で一括して処理
・給付・被保険者 … 労働者が所属する事業所の所轄で個別に処理
この二本立てを押さえてください。
なお、この解説には注意書きが付いています。二次健康診断等給付の支給に関する事務は都道府県労働局長が行います。労災保険法で学んだとおり、この給付だけは監督署長ではなく労働局長が窓口です。ここでも同じ扱いになります。
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具体例
10の営業所を本社に一括すると、9つの営業所は確定精算をして保険関係が消滅し、本社は増加概算保険料を納めることになります。
試験のポイント
具体例
大阪支店の従業員がけがをした場合、保険料は東京本社で一括して納めていても、労災の給付請求は大阪の労働基準監督署に出します。
試験のポイント
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