保険関係の成立と消滅
暫定任意適用事業は、入るのも出るのも申請と認可が必要です。そして労災保険と雇用保険で、労働者の同意の要否や必要な割合が違います。
この節は分数と割合の勝負になります。ただし「なぜその割合なのか」を押さえておけば、丸暗記せずに済みます。
簡単にいうと
労災と雇用でいちばん大きく違うのがここです。理由もはっきりしています。
暫定任意適用事業が保険に加入するための要件は、労災保険と雇用保険で違います。
労災保険暫定任意適用事業
・事業主の加入の申請(労働者の同意は不要)
雇用保険暫定任意適用事業
・事業主の加入の申請
・労働者の2分の1以上の同意
労災保険については、労働者側の同意が要りません。なぜなら、労災保険の保険料は100%事業主が負担するからです。労働者に負担が生じない以上、同意を求める理由がありません。
これに対して雇用保険は、保険料を労働者も負担します。だから2分の1以上の同意が必要になります。
労災と雇用の違いを「保険料を誰が負担するか」から説明できるようにしておくと、覚え直しが要らなくなります。
もう1つ、申請が義務になる場合があります。
・労災保険 … 労働者の過半数が希望するとき
・雇用保険 … 労働者の2分の1以上が希望するとき
労災は「過半数」、雇用は「2分の1以上」です。半数ちょうどの場合に差が出るという細かい違いですが、そのまま問われます。
具体例
従業員4人の個人経営の林業で、2人が加入を希望した場合、雇用保険なら申請義務が生じますが(2分の1以上)、労災保険では生じません(過半数に足りない)。
試験のポイント
簡単にいうと
加入のときと逆になります。抜けるときは労働者を守る必要があるからです。
暫定任意適用事業の保険関係を消滅させる(脱退する)場合の要件も、労災保険と雇用保険で違います。
労災保険暫定任意適用事業
・事業主の消滅の申請
・労働者の過半数の同意
・保険関係成立後1年を経過していること
・特別保険料が徴収される期間を経過していること
雇用保険暫定任意適用事業
・事業主の消滅の申請
・労働者の4分の3以上の同意
加入のときには不要だった労働者の同意が、労災保険でも必要になっています。抜けてしまえば労働者が保護を失うため、今度は労働者の意思を確認する必要があるからです。
必要な割合は労災が過半数、雇用が4分の3以上です。雇用のほうが厳しくなっています。
簡単にいうと
細かい違いに気を取られがちですが、共通しているところもあります。
割合の違いに目が行きがちですが、次の点は労災保険と雇用保険で共通しています。
申請先
いずれも所轄都道府県労働局長です。ただし経由する先が違います。
・労災保険 … 所轄労働基準監督署長を経由
・雇用保険 … 所轄公共職業安定所長を経由
「最終的な提出先は都道府県労働局長、経由が監督署か安定所か」という構造です。
認可を行う者
いずれも厚生労働大臣です。ただし権限は所轄都道府県労働局長に委任されています。
保険関係の成立日と消滅日
・成立日 … 厚生労働大臣の認可があった日
・消滅日 … 厚生労働大臣の認可があった日の翌日
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そして労災には、雇用にはない追加の要件が2つあります。保険関係成立後1年を経過していることと、特別保険料が徴収される期間を経過していることです。加入してすぐに抜けるということができません。
・加入時 … 労災は同意不要、雇用は2分の1以上
・脱退時 … 労災は過半数、雇用は4分の3以上(労災には追加要件2つ)
この4つの割合を混同しないよう、表で覚えるのが確実です。
具体例
労災保険に任意加入して半年の事業所は、労働者全員が同意しても脱退できません。保険関係成立後1年を経過していないためです。
試験のポイント
成立は認可があった日そのもの、消滅は認可があった日の翌日です。1日ずれる点に注意してください。
この「翌日」というずれは、強制適用事業の保険関係の消滅(事業廃止の日の翌日、事業終了の日の翌日)と同じ発想です。保険関係が切れるのは、その事由が生じた日の翌日からと統一されています。
加入は認可の日から効果が生じ、脱退は認可の日の翌日から効果が生じる。この非対称を押さえておきましょう。
具体例
6月10日に脱退の認可を受けた事業所は、6月11日に保険関係が消滅します。6月10日はまだ保険関係が続いています。
試験のポイント
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