傷病に関する現物給付
日本の医療保険には混合診療禁止の原則があります。保険がきく治療と保険がきかない治療を混ぜると、本来は保険がきくはずの部分まで含めて全額自己負担になってしまうという厳しいルールです。
この原則をやわらげるために作られたのが保険外併用療養費です。評価療養・患者申出療養・選定療養という3つの入口を用意し、基礎部分だけは保険で見るという仕組みになっています。差額ベッド代の話もここに出てきます。
簡単にいうと
混ぜると全額自己負担。だから例外の枠が必要になりました。
ある疾患の治療の中に保険外診療(保険がきかない部分)が含まれていると、混合診療禁止の原則により、医療費の全額が自己負担となります。保険がきくはずの診察料や入院料まで自費になってしまうということです。
保険外併用療養費は、この原則の例外として位置づけられます。通常の治療と共通する基礎療養部分、すなわち診察・検査・投薬・入院料などの費用については、一部負担金相当額だけを負担し、残額は保険外併用療養費として健康保険から給付されます。
この制度の意義は、混合診療禁止の原則を緩和し、国民の診療の選択肢を広げ、利便性を向上させることにあります。
結果として被保険者が負担するのは次の2つです。
・高度医療部分など完全なる自己負担部分
・基礎療養部分の3割(70歳以上は2割)と、食事療養(生活療養)に係る自己負担部分
具体例
先進的な治療を100万円で受け、通常の診察・入院に30万円かかったとします。混合診療禁止の原則をそのまま適用すれば130万円全額が自己負担ですが、保険外併用療養費があるため、30万円の部分は3割の9万円だけを負担すれば済みます。
試験のポイント
簡単にいうと
どちらも高度な医療。違いは「誰の申出から始まるか」です。
保険外併用療養費は、被保険者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときに支給される現物給付です。まず前2つを整理します。
評価療養とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものをいいます。
患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものをいいます。
両者はいずれ保険適用にするかどうかを見極めるための枠であるという点で共通しています。違いは、患者申出療養が「療養を受けようとする者の申出に基づき」という点です。患者の側から使いたいと手を挙げるところから始まります。
具体例
国内で承認されたばかりの高度な手術手技を、保険適用の可否を評価しながら実施するのが評価療養です。海外で使われている未承認の治療を、患者本人が希望して申し出るところから始まるのが患者申出療養です。
簡単にいうと
差額ベッド代も、時間外の診察も、この枠に入ります。
選定療養は、患者が自分の選択で上乗せのサービスを受ける場合の枠です。次のようなものが該当します。
・特別の療養環境の提供
・予約に基づく診察
・保険医療機関が表示する診療時間以外の時間における診察
・病床数が200以上の病院について受けた初診(他の病院又は診療所からの文書による紹介がある場合及び緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けたものを除く)
「特別の療養環境の提供」とは、要するに個室に入院することです。俗にいう差額ベッド代は、選定療養であるがゆえにプラスの自己負担が発生します。
最後の項目は、大病院に患者が集中するのを避けるための規定です。紹介状なしで大きな病院にかかると特別な料金がかかるのは、これが根拠になっています。
試験では、予約診察制をとっている病院で予約診察を受けた場合には選定療養の対象となり、その特別料金は全額自己負担となる、という記述が正しいものとして出題されています。
具体例
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個室を希望して1泊8,000円の差額ベッド代がかかったとしても、その8,000円は保険から出ません。ただし同じ入院中の診察や投薬といった基礎部分は3割負担で済みます。
試験のポイント
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