傷病に関する現物給付
入院すると食事が出ます。この食事代も健康保険が一部を見てくれます。それが入院時食事療養費です。さらに、長く療養病床に入る65歳以上の人には、食費に加えて光熱水費まで含めた入院時生活療養費という別の給付が用意されています。
2つの給付は対象者で切り分けられます。特定長期入院被保険者かどうか、この一語で振り分けができるようにしておきましょう。
簡単にいうと
1食510円が原則。所得と入院日数で段階的に下がります。
入院時食事療養費は、特定長期入院被保険者以外の被保険者が、病院又は診療所のうち自己の選定するものから、入院たる療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について支給される現物給付です。
被保険者が負担するのは食事療養標準負担額だけで、残りは保険者が負担します。標準負担額は次のとおりです。
・原則(減額対象者以外の者) … 1食につき510円
・低所得者Ⅱ及びⅠのいずれにも該当しない小児慢性特定疾病児童等又は指定難病患者 … 1食につき300円
・低所得者Ⅱで、減額申請を行った月以前の12月以内の入院日数が90日以下の者 … 1食につき240円
・低所得者Ⅱで、同じ入院日数が90日を超える者 … 1食につき190円
・低所得者Ⅰ(特に低所得者である70歳以上の者に限る) … 1食につき110円
1日あたりではなく1食あたりで計算する点に注意してください。3食食べれば原則1,530円の負担になります。
具体例
一般的な所得の被保険者が10日間入院して1日3食を受けた場合、食事の自己負担は510円×3食×10日で15,300円になります。低所得者Ⅱで入院が100日を超えていれば、1食190円まで下がります。
試験のポイント
簡単にいうと
長く療養病床にいる65歳以上の人は、食費に光熱水費が加わります。
入院時生活療養費は、特定長期入院被保険者が、病院又は診療所のうち自己の選定するものから、入院たる療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について支給される現物給付です。
生活療養とは、「食事の提供である療養」と「温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養」を合わせた概念です。つまり食費に加えて、電気代や水道代といった居住費まで含まれます。
特定長期入院被保険者とは、療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護である療養を受ける際、65歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者をいいます。
長期にわたって病床を生活の場として使う以上、在宅で暮らしていれば当然かかるはずの居住費も負担してもらう、という考え方でつくられた給付です。
試験では「60歳の被保険者が療養病床に入院した場合に入院時生活療養費が支給される」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。年齢要件を満たしていないので、この場合は入院時食事療養費のほうになります。
具体例
68歳の被保険者が療養病床に入院した場合は入院時生活療養費の対象です。同じ療養病床でも、入院しているのが55歳の被保険者であれば、生活療養費ではなく入院時食事療養費が支給されます。
簡単にいうと
入院費が高額になっても、食事代は高額療養費で戻ってきません。
入院すると医療費が膨らみ、高額療養費の対象になることがよくあります。しかし、食事療養と生活療養の自己負担分は、高額療養費の計算に入りません。
高額療養費の対象となる一部負担金等の額には、食事療養に係る負担額及び生活療養に係る負担額は含まれないとされています。つまり、いくら長く入院しても、食事代の510円は最後まで自分で負担するということです。
理由は、食事は入院していなくてもかかる費用だからです。自宅にいれば自分で食費を払うのが当然なので、その部分まで保険で軽減する必要はない、という整理になっています。
同じ発想は保険外併用療養費の計算にも表れます。基礎部分の一部負担金相当額と、食事療養標準負担額(又は生活療養標準負担額)は、いずれも被保険者の負担として残ります。
具体例
1か月入院して医療費の自己負担が30万円、食事代が4万円かかった場合、高額療養費で払い戻しの計算に乗るのは30万円のほうだけです。4万円の食事代はそのまま自己負担として残ります。
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