費用の負担
健康保険の保険料率は全国一律ではありません。協会けんぽは都道府県ごとに、健康保険組合はそれぞれの組合ごとに決めています。ただし、どちらも1,000分の30から1,000分の130という同じ枠の中で決めるルールになっています。
この節では、率を決める手順、変えるときに誰の意見を聴き誰の認可を受けるのか、そして厚生労働大臣が自ら率を変えられる場面までを追います。
簡単にいうと
同じ協会けんぽでも、支部ごとに率が異なります。
健康保険の保険料額のことを一般保険料額といいます。一般保険料額は、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ一般保険料率を乗じて得た額です。
協会が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1,000分の30から1,000分の130までの範囲内において、支部被保険者を単位として協会が決定します。要するに、協会の保険料率は都道府県によって異なるということです。
支部被保険者とは、各支部の都道府県に所在する適用事業所に使用される被保険者、及び当該都道府県の区域内に住所又は居所を有する任意継続被保険者をいいます。任意継続被保険者は勤め先がないので、住所地で振り分けられます。
また、協会は、2年ごとに、翌事業年度以降の5年間についての被保険者数及び総報酬額の見通し、保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む)その他の収支の見通しを作成し、公表するものとされています。
なお、40歳以上65歳未満の者は介護保険第2号被保険者でもあるため、健康保険の保険料と一緒に介護保険料が給料から引かれます。
具体例
医療費水準が高い県の支部では保険料率がやや高く、低い県ではやや低く設定されます。同じ会社でも、勤務地の県が違えば適用される率が変わることになります。
試験のポイント
簡単にいうと
支部長の意見→運営委員会の議→大臣の認可→告示。この順序で覚えます。
協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、次の手順を踏みます。
・あらかじめ、理事長が当該変更に係る都道府県に所在する支部の支部長の意見を聴く
・運営委員会の議を経る
・都道府県単位保険料率を変更する
・厚生労働大臣の認可を受ける
・認可を受けたときは遅滞なく告示する
地域の実情を知る支部長の声を先に聴き、そのうえで本部の運営委員会で議論し、最後に国のチェックを受けるという流れです。
健康保険組合の場合はもっと簡単です。健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率も1,000分の30から1,000分の130までの範囲内で決定しますが、変更しようとするときは、理事長がその変更について厚生労働大臣の認可を受ければ足ります。
枠の数字は協会も組合も同じ1,000分の30から1,000分の130です。ここは共通なので、そのまま覚えて構いません。
簡単にいうと
命じても動かないときは、大臣自身が変えられます。ここが誤りやすい点です。
厚生労働大臣は、都道府県単位保険料率が、当該都道府県における健康保険事業の収支の均衡を図る上で不適当であり、協会が管掌する健康保険の事業の健全な運営に支障があると認めるときは、協会に対し、相当の期間を定めて、当該都道府県単位保険料率の変更の認可を申請すべきことを命ずることができます。
それでも協会が動かない場合はどうなるか。厚生労働大臣は、協会が当該期間内に当該申請をしないときは、社会保障審議会の議を経て、当該都道府県単位保険料率を変更することができます。
試験では「厚生労働大臣は変更の認可を申請すべきことを命ずることができるが、厚生労働大臣がその保険料率を変更することは一切できない」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。命令だけで終わりではなく、最後は大臣自身が変更できます。
ここで登場するのが社会保障審議会である点にも注意してください。診療報酬や評価療養の諮問先である中央社会保険医療協議会とは別の組織です。
具体例
赤字が続く支部の料率を上げるよう大臣が協会に命じたのに、期限までに協会が申請しなかった場合、大臣は社会保障審議会の議を経て自ら料率を変更できます。
簡単にいうと
合併した組合は、当面バラバラの率のままでかまいません。
地域型健康保険組合は、合併が行われた日の属する年度及びこれに続く5か年度に限り、1,000分の30から1,000分の130までの範囲内において、不均一の一般保険料率を決定することができます。
地域型健康保険組合とは、同じ都道府県内の財政に不安を抱える複数の健康保険組合が合併してできた健康保険組合です。
もともと別々の組合ですから、加入者の年齢構成も医療費水準も異なります。合併した途端に全員同じ率にすると、一方の加入者に急激な負担増が生じてしまいます。そこで、当面(その年度+5年)はバラバラの率でよいという経過措置が置かれました。
押さえる数字は「合併が行われた日の属する年度及びこれに続く5か年度」です。合併年度を含めて計6年度、と読み取れるようにしておきます。
具体例
令和8年度に2つの組合が合併して地域型健康保険組合になった場合、令和8年度から令和13年度までは、旧組合ごとに異なる保険料率を設定し続けることができます。
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ある県の医療費が想定より膨らみ料率を上げる必要が出た場合、まず理事長がその県の支部長に意見を聴き、運営委員会にかけたうえで、大臣の認可を得て新しい率を告示します。
試験のポイント
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