費用の負担
健康保険の財源は保険料だけではありません。国も一定のお金を出しています。事務費に対する国庫負担、組合に対する国庫負担金、協会に対する国庫補助という3つの入り方があります。
さらに、後期高齢者医療制度の側から出産育児一時金を支える出産育児交付金という新しい流れもあります。誰が誰に、何を基準に出しているのかを整理します。
簡単にいうと
運営にかかる事務のお金は、協会にも組合にも国から出ます。
国庫は、毎年度、予算の範囲内において、健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担します。ここでいう事務には、前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金の納付に関する事務も含まれます。
重要なのは対象の広さです。事務の執行に要する費用の負担は、当然に、協会管掌、組合管掌を問わず行われます。
試験では「事務の執行に要する費用について、国庫は全国健康保険協会に対しては負担しているが、健康保険組合に対しては負担を行っていない」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。健康保険組合に対しても行われます。
なお、保険者が納める納付金等は、いったん社会保険診療報酬支払基金に集められ、そこから前期高齢者医療制度、後期高齢者医療制度、介護保険、都道府県へと交付されていきます。それぞれ再分配的、仕送り的、納付的、費用の一部負担的という性格を持っています。
具体例
健康保険組合が資格の届出処理や保険料徴収の事務を行うためにかかる費用についても、国庫が予算の範囲内で負担します。協会けんぽだけが対象ではありません。
試験のポイント
簡単にいうと
組合への負担金は被保険者数が基準。被扶養者は数えません。
健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定します。組合が保険給付等に支払う費用に対して国庫が負担するものです。
注意点は基準の取り方です。各健康保険組合ごとの被扶養者数は、国庫負担金の算定の基準に入りません。被保険者数だけで算定します。
これとは別に、出産育児交付金という仕組みもあります。出産育児一時金の支給に係る費用の一部を、現役世代だけでなく後期高齢者医療制度の側からも支援する観点から、後期高齢者医療広域連合からの拠出金が出産育児交付金として各医療保険の保険者に交付されています。
少子化対策の費用を高齢者医療の側からも分担する、という近年の政策が制度に表れたものです。財源の出どころが国庫ではなく後期高齢者医療広域連合である点を押さえておきます。
具体例
被保険者2,000人・被扶養者1,500人の組合であっても、国庫負担金の算定に使われるのは被保険者2,000人という数字だけです。
試験のポイント
簡単にいうと
1,000分の164。協会けんぽを支える数字です。
国庫は、協会管掌健康保険の事業の執行(被保険者に係る療養の給付等の支給など)に要する費用について、一定割合の補助をしています。当分の間、国庫補助の割合は1,000分の164とされています。
協会けんぽには中小企業の被保険者が多く、賃金水準が相対的に低いため、保険料収入だけでは給付をまかないきれません。そこを国庫補助で支えています。健康保険組合に対して同様の給付費補助がない点が対照的です。
もう一つ、特定健康診査等に係る国庫補助があります。国庫は、予算の範囲内において、健康保険事業の執行に要する費用のうち、特定健康診査及び特定保健指導の実施に要する費用の一部を補助することができるとされています。
こちらは「補助することができる」という任意の規定である点に注意してください。事務費の国庫負担が「負担する」と義務的に書かれているのと語尾が違います。
具体例
協会けんぽが被保険者の医療費として支出した費用のうち、その1,000分の164に相当する額が国庫から補助されます。組合管掌の給付費については、これに相当する補助はありません。
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