現金給付と高額療養費
被扶養者が病院にかかったときも、健康保険から給付が出ます。ただし名前が変わります。被保険者側の5つの給付がまとめて「家族療養費」という1つの給付に束ねられているのが特徴です。
この節では、被扶養者に対する給付の全体像と、被扶養者には存在しない2つの給付、そして誰に対して支給されるのかという受給権者の問題を整理します。
簡単にいうと
被扶養者側の給付名は「家族〇〇」。中身は被保険者と同じです。
家族療養費は、被扶養者が保険医療機関等から療養を受けたときに支給される給付です。
被保険者側では別々の名前がついている次の5つが、被扶養者側ではまとめて家族療養費という1本の給付になります。
・療養の給付
・入院時食事療養費
・入院時生活療養費
・保険外併用療養費
・療養費
つまり、被扶養者が療養病床に長期入院して生活療養を受けた場合も、支給される給付の名称は「入院時生活療養費」ではなく「家族療養費」です。試験ではここが問われます。実際、67歳の被扶養者が療養病床に入院して生活療養を受けた場合に「入院時生活療養費が支給される」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。
これ以外の被扶養者向けの給付は、次のとおり個別の名前を持っています。
・家族訪問看護療養費 … 指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受け、保険者が必要と認めるとき
・家族移送費 … 家族療養費に係る療養を受けるため移送された場合で、保険者が必要と認めるとき
・家族出産育児一時金 … 被扶養者が出産したとき
・家族埋葬料 … 被扶養者が死亡したとき
具体例
被扶養者である高校生の子が骨折で入院し、食事の提供も受けた場合、療養の給付にあたる部分も入院時食事療養費にあたる部分も、まとめて家族療養費として処理されます。
試験のポイント
簡単にいうと
傷病手当金と出産手当金。どちらも「働けない間の所得補償」だからです。
健康保険の給付一覧を見ると、被扶養者側が空欄になっているものが2つあります。
・傷病手当金
・出産手当金
いずれも所得保障の給付だからです。この2つは、被保険者が労務に服することができなかった、あるいは労務に服さなかったことによる収入の減少を埋めるためのものです。もともと働いて報酬を得ているわけではない被扶養者には、埋めるべき減収が観念できません。
給付一覧の読み方として、次の3点を押さえておくと全体像がつかめます。
・被扶養者に関する保険給付は「家族〜」で始まる
・高額療養費及び高額介護合算療養費は、被保険者も被扶養者もひとまとめになっている(世帯合算の概念があるため)
・傷病手当金と出産手当金は被扶養者側に存在しない(いずれも所得補償の給付であるため)
具体例
簡単にいうと
家族が受けた医療でも、給付は被保険者に対して支給されます。
家族療養費をはじめとする被扶養者向けの給付は、いずれも被保険者に対して支給されます。被扶養者本人が請求権者になるわけではありません。
・家族療養費 … 被扶養者が療養を受けたときに、被保険者に対して支給される
・家族訪問看護療養費 … 被保険者に対して支給される
・家族移送費 … 被保険者に対して支給される
被扶養者は健康保険の被保険者ではないため、保険給付を受ける権利の主体にはなりません。被保険者に養われている立場にある人が受けた療養について、被保険者に給付が行われるという構成です。
負担割合は被保険者の場合とほぼ同じで、原則3割、70歳以上は原則2割です。ただし1つ追加があり、6歳到達年度末までの者も2割負担とされています。未就学児の負担を軽くするための扱いです。
具体例
被扶養者である3歳の子が受診した場合、窓口負担は2割です。小学校入学の年度末を過ぎると3割に上がります。いずれの場合も、給付を受ける権利は被保険者にあります。
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試験のポイント
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