出産・死亡と資格喪失後の給付
出産にかかるお金を支える給付が2つあります。分娩費用そのものを助ける出産育児一時金と、産休で仕事を休んだ間の収入を補う出産手当金です。
50万円、42日と98日と56日、そして3分の2。数字の多い分野ですが、傷病手当金と構造がそっくりなので、対比しながら覚えると定着が早くなります。妊娠4か月以上なら死産でも支給されるという点も、繰り返し問われるポイントです。
簡単にいうと
一出産につき50万円。内訳の48万8千円と1万2千円まで押さえます。
被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、一出産につき50万円が支給されます。
50万円の内訳は次のとおりです。
・基本額 48万8千円
・加算額 1万2千円
加算額は、産科医療補償制度に加入する医療機関等の医学的管理下における在胎週数22週に達した日以後の出産という要件を満たした場合に上乗せされます。要件を満たさない出産では、基本額のみとなります。
被扶養者が出産したときは、家族出産育児一時金として、被保険者に対し50万円が支給されます。内訳は出産育児一時金と同様です。
双子であれば「一出産につき」を2回と数えるので100万円になります。子の数だけ支給されるという理解でよいでしょう。
具体例
産科医療補償制度に加入している病院で在胎38週で出産した場合は50万円が支給されます。同じ病院でも在胎20週での早産であれば、加算の要件を満たさないため48万8千円になります。
試験のポイント
簡単にいうと
生きて生まれたかどうかは問いません。ここが埋葬料との分かれ目です。
妊娠4か月以上の出産については、生産、死産、流産(人工流産を含む)又は早産を問わず、出産に関する保険給付が支給されます。
出産育児一時金は、母体の負担と分娩に要する費用に着目した給付だからです。結果として子が生きて生まれたかどうかは、支給の可否を左右しません。
これと対になるのが家族埋葬料です。家族埋葬料を支給するのは被扶養者の死亡に限られるため、死産児については(そもそも被扶養者ではないから)家族埋葬料は支給されません。
試験では、被保険者が妊娠4か月以上で出産し、それが死産であった場合、家族埋葬料は支給されないが出産育児一時金は支給の対象となる、という記述が正しいものとして出題されています。この2つをセットで問う形が定番です。
なお、単に経済的理由により医師の人工妊娠中絶手術を受けた場合、その手術自体は療養の給付の対象となりません。給付の対象になるかどうかは、場面ごとに切り分けて考える必要があります。
具体例
妊娠5か月で死産となった場合、出産育児一時金50万円は支給されますが、死産児について家族埋葬料が支給されることはありません。
簡単にいうと
産前42日、多胎なら98日、産後は56日。労務に服さなかった日が対象です。
被保険者(任意継続被保険者及び特例退職被保険者を除く)が出産したときは、原則として、出産の日以前42日(多胎妊娠の場合においては98日)から出産の日後56日までの間において、労務に服さなかった期間について出産手当金が支給されます。
押さえる数字は3つです。
・産前 42日
・多胎妊娠の場合の産前 98日
・産後 56日
「労務に服さなかった期間」について日割で支給されるので、産休期間中でも出勤した日があれば、その日は支給されません。傷病手当金が「労務に服することができない」ことを要件とするのに対し、出産手当金は「労務に服さなかった」ことを要件とする点も、条文上の違いとして押さえておきます。
任意継続被保険者及び特例退職被保険者が対象外である点は、傷病手当金と同じです。
具体例
出産予定日どおりに単胎で出産した被保険者が産前産後とも完全に休んだ場合、42日+56日の98日分が支給対象になります。多胎妊娠であれば産前が98日に延びます。
簡単にいうと
計算式は傷病手当金とまったく同じ。調整のかかり方も同じです。
出産手当金の額は、1日につき、出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の、30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額です。傷病手当金とまったく同じ計算式です。
報酬等との調整も傷病手当金と同様にかかります。産休中に会社から報酬が支払われている場合、その額が出産手当金の水準に満たなければ差額が支給され、上回っていれば支給されません。
資格喪失後の継続給付の対象になる点も共通しています。資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上当然被保険者であり、資格を喪失した際に出産手当金の支給を受けている者は、継続給付を受けられます。
事業主から報酬を受けているため出産手当金の支給が停止されている者は、その者が資格を喪失し、事業主より報酬を受けなくなれば、当然にその日から出産手当金が支給されます。
具体例
直近12か月の標準報酬月額の平均が27万円であれば、27万円÷30=9,000円の3分の2、すなわち1日6,000円が出産手当金の日額になります。会社から日額4,000円の手当が出ていれば、差額の2,000円が支給されます。
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