健康保険のしくみと2つの保険者
健康保険組合は、大企業や同業種の企業グループが自前で設立する保険者です。協会けんぽと違って規約で独自のルールを決められる分、設立にも解散にも細かい人数要件と同意要件がついてきます。
この節では、設立に必要な人数と同意、最高議決機関である組合会、合併・分割や設立事業所の増減、そして解散とその後の権利義務の行き先までを追いかけます。分数(2分の1・4分の3)が入れ替わる形で出題されるので、どの場面のどの分数かを意識して読んでください。
簡単にいうと
単独なら700人、共同なら3,000人。この2つの数字が入口です。
健康保険組合を設立するには、被保険者の人数要件を満たす必要があります。
・単独で設立する場合 … 常時700人以上の被保険者
・複数の企業が共同で設立する場合 … 合算して常時3,000人以上の被保険者
人数要件を満たしたうえで、設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。
規約とは、組合の内部ルールを定めたものです。付加給付を行うか、保険料率をいくつにするか、事業主の保険料負担割合を増やすかといった、その組合ならではの特色は、すべてこの規約に書かれます。
具体例
従業員900人の物流会社が単独で組合を作る場合は700人以上を満たすので設立できます。従業員400人の部品メーカー8社が集まって共同設立する場合は、合計3,200人となり3,000人以上の要件を満たします。
試験のポイント
簡単にいうと
組合の意思決定は組合会。議員の半分は事業主側、半分は加入者側という構成です。
健康保険組合には、最高議決機関として組合会が置かれます。
組合会議員の定数の半数は、設立事業所の事業主において、設立事業所の事業主及び設立事業所に使用される者のうちから選定します。残る半数は、被保険者である組合員において互選します。労使が半々という構成です。
役員としては理事と監事が置かれ、任期は3年を超えない範囲内で規約で定める期間とされています。協会の役員の任期が一律3年であるのに対し、組合は規約に幅がある点が違いです。
理事長の決め方も独特です。設立事業所の事業主が選定した組合会議員である理事のうちから、理事が選挙して決めます。協会の理事長が厚生労働大臣の任命であったのと対照的です。
具体例
組合会議員が20人の組合であれば、10人は事業主側が選定し、10人は被保険者である組合員が互選します。理事長は、事業主側が選定した議員のうち理事になっている人の中から、理事同士の選挙で決まります。
簡単にいうと
組合そのものを動かすときと、参加する会社を出し入れするときで、必要な同意が変わります。
健康保険組合の形を変える場面には2種類あり、必要な手続が異なります。
第一に、合併又は分割をしようとするときは、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。組合の存在そのものを動かす行為なので、重い決議が求められます。
第二に、設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部の同意と、その適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意が必要です。ここでは組合会の4分の3ではなく、出入りする事業所側の同意が問われます。
「組合の合併・分割は4分の3」「事業所の出入りは事業主全部+被保険者2分の1」と、対で覚えるのが確実です。
具体例
同じ県内の2つの組合が合併するときは、それぞれの組合会で議員定数の4分の3以上の賛成を得たうえで大臣の認可を受けます。一方、既存の組合に子会社1社が新たに加わるだけなら、その子会社の事業主の同意と、そこで働く被保険者の2分の1以上の同意で足ります。
試験のポイント
簡単にいうと
組合がなくなったあと、加入者はどうなるのか。答えは協会が引き受けます。
健康保険組合は、次の3つの理由によって解散します。
・組合会議員の定数の4分の3以上の多数による組合会の議決
・健康保険組合の事業の継続の不能
・厚生労働大臣による解散の命令
このうち、議決による解散と事業の継続不能による解散については、厚生労働大臣の認可が必要です。大臣の命令による解散は、大臣自身の判断ですから改めて認可を受ける必要はありません。
そして重要なのが解散後です。解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継するのは、全国健康保険協会です。組合がなくなっても加入者が無保険になるわけではなく、協会が引き継ぐ形になります。
試験では「2分の1以上の組合会の議決により解散する」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは4分の3以上です。
具体例
簡単にいうと
積立額の計算式も、報告期限も、協会とは数字がずれています。
健康保険組合も、費用の支出に備えて準備金を積み立てなければなりません。ただし計算式は協会より複雑で、次の2つを合算した額に達するまで、剰余金を積み立てます。
・当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額の一事業年度当たりの平均額の12分の3(当分の間、12分の2)に相当する額
・当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金並びに介護納付金の納付に要した費用の額の一事業年度当たりの平均額の12分の1に相当する額
監督についても協会と数字が違います。
・予算 … 毎年度、収入支出の予算を作成し、当該年度の開始前に厚生労働大臣に届け出る(協会は認可)
・決算 … 毎年度終了後6か月以内に、事業及び決算に関する報告書を作成して提出する
・毎月の事業状況 … 翌月20日までに報告する(協会は翌月末日まで)
具体例
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試験のポイント
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