誰が加入するのか
健康保険に入るかどうかは、まず「その事業所が適用事業所かどうか」で決まります。適用事業所に使われている人が被保険者になるので、事業所の入口を押さえないと被保険者の話が始まりません。
この節では、加入が義務づけられる強制適用事業所と、大臣の認可を受けて加入する任意適用事業所を整理します。ここで覚えた枠組みは、そのまま厚生年金保険法でも使えます。
簡単にいうと
法人なら1人でも、個人経営なら業種と人数で決まります。
強制適用事業所とは、健康保険への加入が義務づけられている事業所のことです。次の2つが該当します。
・法定17業種に該当する個人経営の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
・国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの(1人でも該当する)
法人であれば、業種を問わず、また従業員が1人しかいなくても強制適用です。株式会社を作った時点で健康保険からは逃げられない、と考えておけば実務感覚とも一致します。
なお、外国人が経営している事業所であっても、日本国内に所在地があれば健康保険は適用されます。事業主の国籍は関係ありません。
具体例
社長1人だけの合同会社でも、法人である以上は強制適用事業所です。一方、個人経営の理容店であれば、従業員が10人いても法定17業種に含まれない業種なので強制適用にはなりません。
試験のポイント
簡単にいうと
覚えるのは17業種のほうではなく、外れる側の3つです。
法定17業種は製造業や土木建築業など数が多く、丸暗記には向きません。試験対策としては、17業種に「入らない」ほうを覚えるのが効率的です。
法定17業種以外の事業として押さえるのは、次の3グループです。
・第一次産業(農林、水産、畜産業)
・接客娯楽業(旅館、料理店、飲食店、理容業等)
・宗教業(神社、寺院、教会等)
これらの業種は、個人経営である限り、従業員が何人いても強制適用事業所にはなりません。加入したいのであれば、次のテーマで扱う任意適用の認可を受けることになります。
もっとも、これらの業種でも法人化していれば話は別です。法人になった瞬間に強制適用事業所となります。
具体例
個人経営の日本料理店に板前と配膳スタッフが合わせて8人いても、接客娯楽業なので強制適用にはなりません。ところが同じ店が株式会社化すれば、翌日からは法人の事業所として強制適用事業所になります。
簡単にいうと
入るときは2分の1、抜けるときは4分の3。この非対称がねらわれます。
任意適用事業所とは、強制適用事業所とならない事業所が、厚生労働大臣の認可を受けて健康保険に加入し、適用事業所となったものをいいます。対象は次の2つです。
・法定17業種であって、常時5人未満の従業員を使用する個人経営の事業所
・法定17業種以外の個人経営の事業所
加入の手続は、事業主が、被保険者となるべき労働者の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請し、認可を受けるという流れになります。
一方、任意適用事業所から脱退する場合には、被保険者の4分の3以上の同意が必要で、あわせて厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。加入は2分の1、脱退は4分の3と、抜けるほうが重い要件になっている点が出題ポイントです。
なお、任意適用の認可を受けて適用事業所となった以上、その事業所で働く人は、同意しなかった人も含めて被保険者になります。
具体例
従業員3人の個人経営の製材所で、2人が加入に賛成すれば2分の1以上の同意を満たすので、事業主が申請して認可を受ければ任意適用事業所になります。あとから脱退したくなったときは、3人のうち3人(4分の3以上)の同意が必要になります。
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