保険給付の通則
給付制限は、労災保険・国民年金・厚生年金保険にも似た規定がありますが、健康保険だけは中身が大きく異なります。科目をまたいで比較されやすい分野なので、健康保険独自の型として覚えてください。
5つの類型は、必ず行わない絶対的な制限と、行わないことができる裁量的な制限に分かれます。「行われない」なのか「行わないことができる」なのか、語尾に注目しながら読み進めます。
簡単にいうと
わざと起こした事故は、給付なし。ただし自殺には例外があります。
被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行われません。「行わないことができる」ではなく「行われない」なので、絶対的給付制限と呼ばれます。
この規定は、被扶養者に関する保険給付にも準用されます。
重要なのが自殺の扱いです。自殺による死亡の場合、死亡は絶対的な事故であるととらえられ、埋葬料は支給されます。故意に給付事由を生じさせたようにも見えますが、死という結果の重大さから別扱いになっています。
これに対し、自殺未遂による傷病の場合には、一定の例外を除き、療養の給付等又は傷病手当金は支給されません。死亡と未遂で結論が分かれる点が最大の出題ポイントです。
具体例
無免許で暴走して自らけがをした場合、自己の故意の犯罪行為によるものとして療養の給付は行われません。一方、自殺により亡くなった場合には、生計を維持されていた遺族に埋葬料が支給されます。
試験のポイント
簡単にいうと
こちらは「行わないことができる」。全部止めるか一部にするかは保険者の判断です。
被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができます。
語尾が「できる」となっているので、裁量的給付制限と呼ばれます。前のテーマの犯罪・故意による制限が必ず行われないのと対照的です。
3つの言葉の意味は次のとおりです。
・闘争 … けんか
・泥酔 … 酒に酔って正体を失った状態
・著しい不行跡 … 社会通念上、著しく不適切な行い
いずれも故意に給付事由を生じさせたとまではいえないものの、本人に大きな落ち度がある場面です。そこで、事情に応じて全部又は一部を制限できるという柔軟な作りになっています。
制限の対象は「当該給付事由に係る保険給付」です。けんかでけがをした場合、そのけがに関する給付は制限されますが、別の病気の給付までは止まりません。
具体例
簡単にいうと
本人は止まりますが、家族の給付は止まりません。
被保険者又は被保険者であった者が、次のいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付は行われません。
・少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき
・刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき
これらの施設では、国の費用で医療が提供されるためです。二重に給付する必要がないという整理になります。
注意すべきは被扶養者の扱いです。
・被保険者が刑事施設等に収容・拘禁されている場合であっても、被扶養者に係る保険給付は行われる
・被扶養者が刑事施設等に収容・拘禁されている場合は、当該被扶養者の疾病、負傷又は出産に関する保険給付は行われない
つまり、制限がかかるのは施設に入っている本人の分だけです。被保険者が収容されていても、家に残った家族は今までどおり医療を受けられます。
具体例
簡単にいうと
指示に従わないなら一部制限。不正受給なら手当金を最大6か月止められます。
残る2つの類型を押さえます。
第一に、療養に関する指示に従わない場合です。保険者は、被保険者又は被保険者であった者が正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の一部を行わないことができます。「全部又は一部」ではなく「一部」である点に注意してください。この規定も被扶養者に関する保険給付に準用されます。
第二に、不正行為に対する制限です。保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができます。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは対象外です。
押さえる数字は「6か月以内」「1年」の2つです。また、支給停止の対象は傷病手当金又は出産手当金に限られます。療養費など他の給付は対象になりません。
試験では、支給停止の対象を「療養費」とし、期間制限を「3年」とする誤りの選択肢が出題されたことがあります。
具体例
医師から禁酒を指示されているのに飲酒を続けて症状を悪化させた場合、保険者は給付の一部を制限できます。また、虚偽の申請で傷病手当金を受けた人には、6か月以内の期間を定めて手当金を止める決定ができます。
動画・テキスト・過去問・図解まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
泥酔して階段から転落しけがをした被保険者について、保険者は療養の給付の一部を行わないという判断ができます。必ず全額打ち切りになるわけではありません。
試験のポイント
被保険者が刑事施設に拘禁されている間、本人の医療については健康保険から給付されませんが、同居する被扶養者の子が受診したときは家族療養費が支給されます。
試験のポイント
試験のポイント
プレミアムプラン
¥7,800/ 購入日から1年間有効(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。