誰が加入するのか
会社を辞めると当然被保険者の資格は失われます。しかし、そこで健康保険と縁が切れるわけではありません。一定の条件を満たせば、同じ保険者の被保険者を最長2年間続けられます。これが任意継続被保険者です。
この節では、加入するための2つの条件、20日以内という短い申出期限、そして資格を失う7つの場面を「その日」と「翌日」に分けて整理します。喪失日の1日違いがそのまま失点につながる分野です。
簡単にいうと
国民健康保険に移るか、いまの健康保険に残るか。選べる仕組みです。
任意継続被保険者制度とは、当然被保険者が会社を辞めた後も、引き続き同じ保険者から保険給付等を受けることができる制度です。
利用する側から見たメリットは次のようなものです。
・世帯全体でみたときに、国民健康保険に切り替えるより保険料が低くなることがある
・傷病手当金などの給付を継続的に受けられる場合がある
・その保険者ならではの福利厚生や付加給付を引き続き使えることがある
一方で、保険料は全額自己負担になります。在職中は事業主が半分を負担してくれていましたが、退職後はその半分がなくなるためです。
加入できる期間は、任意継続被保険者となった日から2年間です。2年を超えて続けることはできません。
具体例
20年勤めた会社を辞めて独立する45歳の設計士が、扶養する家族3人を抱えている場合、国民健康保険では家族分の保険料が世帯にのしかかります。任意継続なら被扶養者に保険料はかからないため、2年間は任意継続のほうが安く済むことがあります。
試験のポイント
簡単にいうと
退職前に2か月、退職後に20日。この2つの数字で入口が決まります。
任意継続被保険者になるためには、次の2つを満たす必要があります。
・資格喪失の日の前日まで継続して2か月以上、当然被保険者であったこと
・当然被保険者の資格を喪失した日から20日以内に、資格取得の申出をすること
前者は在職中の要件、後者は退職後の手続の要件です。とくに20日以内という期限は短く、実務でも取りこぼしが起きやすいところです。
注意したいのは、資格喪失前の被保険者期間として数えるのが「当然被保険者」であった期間だという点です。任意継続被保険者や特例退職被保険者であった期間は、この2か月には含まれません。
保険料の納付も本人が行います。任意継続被保険者は、自己の負担する保険料を納付する義務を負い、その月の10日(初めて納付すべき保険料については保険者が指定する日)までに納付します。
具体例
3月31日付で退職した人が任意継続を選ぶなら、資格喪失日である4月1日から数えて20日以内、つまり4月20日までに申出をしなければなりません。1日でも遅れると原則として加入できません。
簡単にいうと
「その日」に失うのか「翌日」に失うのか。ここが最大の分かれ道です。
任意継続被保険者は、所定の要件に該当したときに資格を喪失します。喪失日が要件によって「その日」と「翌日」に分かれるため、対で覚えるのが確実です。
翌日に喪失するもの
・任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき
・死亡したとき
・保険料を納付期日までに納付しなかったとき
・任意継続被保険者でなくなることを希望する旨の申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき
その日に喪失するもの
・当然被保険者となったとき
・船員保険の被保険者となったとき
・後期高齢者医療の被保険者等となったとき
見分け方としては、他の制度の被保険者になる場面は「その日」、それ以外は「翌日」と押さえると整理しやすくなります。二重加入を避けるため、新しい資格を得たその日に古い資格が切れる、という理屈です。
簡単にいうと
同じ保険者に残っても、もらえないものがあります。
任意継続被保険者は、療養の給付や高額療養費など、医療にかかわる給付は当然被保険者と同じように受けられます。しかし、働いていることを前提とした所得保障の給付は対象外です。
具体的には、傷病手当金と出産手当金は、任意継続被保険者及び特例退職被保険者には支給されません。この2つは労務に服することができなかった期間や、労務に服さなかった期間の所得を補うための給付だからです。もう会社に勤めていない人に、休んだことによる減収は観念できません。
ただし例外があります。資格喪失後の継続給付として傷病手当金を受けている人が、その後に任意継続被保険者になった場合には、要件を満たす限り継続給付を受けられます。この場合、特例退職被保険者は傷病手当金の継続給付を受けることができません。
また、任意継続被保険者に対する資格確認書の交付は保険者から直接本人に行われ、返納も本人が5日以内に保険者へ行います。事業主を経由しない点も当然被保険者との違いです。
具体例
任意継続被保険者になってから病気で寝込んでも、傷病手当金は出ません。ただし、在職中から傷病手当金を受けていて、退職後に任意継続へ移った人であれば、継続給付として受け続けられる場合があります。
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試験のポイント
なお、健康保険の被保険者である家族の被扶養者になる要件を満たした場合は、資格喪失の申出をすることで被扶養者になることができます。
具体例
6月10日が納付期限の保険料を納め忘れた任意継続被保険者は、6月11日に資格を喪失します。一方、7月1日に再就職して当然被保険者になった人は、7月1日にそのまま任意継続の資格を失います。
試験のポイント
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