遺族基礎年金
遺族基礎年金を受けられる遺族は、「子のある配偶者」又は「子」に限られます。厚生年金保険の遺族厚生年金が父母・孫・祖父母まで広がるのとは対照的で、この狭さが国民年金の大きな特徴です。
子がいない配偶者は遺族基礎年金を受けられません。その穴を埋めるために、寡婦年金や死亡一時金といった第1号被保険者独自の給付が用意されているという関係になっています。
簡単にいうと
被保険者だったか、25年以上の期間があったか。どれか1つに当てはまれば入口を通れます。
遺族基礎年金の支給を受けるためには、被保険者又は被保険者であった者が次のいずれかに該当することが必要です。
(a) 被保険者が死亡したとき
(b) 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満である者が死亡したとき
(c) 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者に限る)が死亡したとき
(d) 保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である者(老齢基礎年金額に反映される期間を1月でも有する者に限る)が死亡したとき
(a)と(b)は現役世代が亡くなった場面、(c)と(d)は長く保険料を納めてきた人が亡くなった場面です。
注目したいのは25年という数字です。老齢基礎年金の受給資格期間は平成29年に10年へ短縮されましたが、遺族基礎年金の(c)(d)の要件は25年のままです。ここが混同しやすいところになります。
具体例
35年間保険料を納めてきた自営業者が70歳で亡くなった場合、(c)又は(d)に該当します。仮に受給資格期間が12年しかない人が亡くなっても、老齢基礎年金は受けられていたはずですが、遺族基礎年金の要件は満たしません。
試験のポイント
簡単にいうと
長く納めてきた人には、改めて納付要件を問いません。
支給要件の(a)又は(b)に該当する場合にあっては、死亡日の前日における保険料納付要件を満たしていることが必要です。
(c)と(d)には保険料納付要件がかかりません。すでに25年以上の期間を有している人なので、改めて滞納の有無を問う必要がないからです。
保険料納付要件の中身は障害基礎年金とまったく同じです。原則として、死亡者における過去の被保険者期間のうち、保険料を滞納していない期間が全体の3分の2以上あることが必要になります。
この要件を満たしていなくても、当分の間、死亡者が65歳未満の者であり、死亡前の直近1年間に滞納期間がなければ、保険料納付要件を満たしたことになります。
判定の基準日が「死亡日の前日」である点も、障害基礎年金の「初診日の前日」と同じ発想です。亡くなってから遺族が慌てて未納分を納めても間に合わない、ということになります。
具体例
40歳の自営業者が亡くなった場合、それまでの被保険者期間のうち滞納していない期間が3分の2以上あるか、直近1年に滞納がなければ、遺族基礎年金の要件を満たします。
簡単にいうと
父母も孫も祖父母も入りません。ここが遺族厚生年金との最大の違いです。
遺族基礎年金を受けることができる遺族は、端的にいえば「子のある配偶者」又は「子」です。
配偶者と子には、それぞれ被保険者又は被保険者であった者との間に生計維持の関係が必要です。そして配偶者と子の間には生計同一の関係が必要になります。なお、配偶者と子の血縁関係は問われません。
子については、次の要件を満たすことが必要です。
・18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること、又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあること
・現に婚姻をしていないこと
この範囲の狭さが遺族基礎年金の特徴です。遺族厚生年金では配偶者・子・父母・孫・祖父母まで広がりますし、死亡一時金では兄弟姉妹まで含まれます。同じ死亡という保険事故でも、制度によって遺族の範囲がまったく違うということです。
子のない配偶者は遺族基礎年金を受けられません。だからこそ、第1号被保険者については寡婦年金と死亡一時金という別の給付が用意されています。厚生年金保険では中高齢寡婦加算がこの役割を担っています。
具体例
動画・テキスト・過去問・図解まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
試験のポイント
自営業の夫が亡くなったとき、高校生の子がいる妻は遺族基礎年金を受けられます。子のいない妻は受けられませんが、要件を満たせば寡婦年金か死亡一時金を選べます。

遺族の範囲を3制度で並べた表。遺族基礎年金の範囲がいちばん狭いことが一目で分かります
試験のポイント
プレミアムプラン
¥7,800/ 購入日から1年間有効(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。