給付の通則
国民年金の給付は全部で6種類あります。老齢・障害・死亡という3つの保険事故に対して、年金給付と一時金給付が用意されている形です。
この節では、6種類の全体像と、給付を実際に受け取るために必要な「裁定」という手続を押さえます。年金科目では、給付ごとに支給要件・支給額・支給停止・失権という4つの命題を追いかけるのが基本の型になるので、その入口としてここで全体を見渡しておきます。
簡単にいうと
老齢2つ、障害1つ、死亡3つ。この配分で覚えると崩れません。
国民年金法(本則)の規定による給付は、次の6種類です。
老齢に対するもの
・老齢基礎年金
・付加年金
障害に対するもの
・障害基礎年金
死亡に対するもの
・遺族基礎年金
・寡婦年金
・死亡一時金(一時金給付)
死亡に3つ用意されているのが目を引きます。遺族基礎年金は「子のある配偶者」又は「子」にしか支給されないため、それだけでは救えない場面が出てきます。そこを埋めるのが寡婦年金と死亡一時金で、いずれも第1号被保険者独自の給付です。
さらに、法附則規定(経過措置)の給付として脱退一時金などがあります。
厚生年金保険の給付が4種類(老齢厚生年金・障害厚生年金・障害手当金・遺族厚生年金)であるのと比べると、国年のほうが種類は多くなります。
具体例
自営業だった夫が亡くなったとき、子がいれば妻に遺族基礎年金が出ます。子がいなければ遺族基礎年金は出ませんが、要件を満たせば寡婦年金か死亡一時金のどちらかを選べます。
試験のポイント
簡単にいうと
権利は自動で生まれます。ただし受け取るには請求と裁定が必要です。
給付を受ける権利は、支給要件を満たしたら法律上当然に発生します。誰かが認めてくれて初めて生まれるものではありません。
ただし、実際に支給を受けるためには、受給権者が厚生労働大臣に受給権確認の請求をして、裁定を受けることが必要です。
この「当然に発生する権利」と「裁定を受けて初めて受け取れる」という二段構えは、年金科目全体で繰り返し出てきます。たとえば事後重症による障害基礎年金は、請求することによって初めて受給権が発生するという例外で、通常の障害基礎年金とは構造が違います。この違いが問われるのも、原則が「当然発生」だからこそです。
なお、厚生年金保険では裁定を行うのが実施機関になります。国年は厚生労働大臣、厚年は実施機関という違いを押さえておきます。
具体例
65歳の誕生日を迎えて老齢基礎年金の受給権を得ても、請求書を出さなければ振込は始まりません。権利があることと、受け取れることは別だということです。
試験のポイント
簡単にいうと
もらえる条件、いくら、止まる場面、消える場面。この順で読むと迷いません。
年金科目では、給付ごとに次の4つを押さえるのが基本の型になります。
・支給要件 … どうなったらもらえるのか
・支給額 … いくらもらえるのか
・支給停止 … どうなったら支給がストップされるのか
・失権 … どうなったら受給権が消滅するのか
支給停止と失権は似ていますが、まったく違います。支給停止は受給権が残ったまま支払いだけが止まる状態で、事由がやめば再び支給されます。失権は受給権そのものが消滅するので、あとから事情が変わっても復活しません。
たとえば障害基礎年金は、障害等級に該当しなくなると支給停止になりますが、この時点では失権していません。その後3級にも該当しないまま「65歳に達したとき」と「3年を経過したとき」の遅いほうに達して、はじめて失権します。この差を意識して読むと、条文の意味がはっきりします。
これから老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金と進んでいきますが、どの給付もこの4つの順序で整理していきます。
具体例
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遺族基礎年金を受けている妻が再婚すると、それは支給停止ではなく失権です。離婚しても受給権は戻りません。一方、労働基準法の遺族補償が行われる6年間は支給停止にとどまり、6年が過ぎれば支給が再開されます。
試験のポイント
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