給付の通則
受給権者が亡くなったとき、まだ支払われていない年金はどうなるのか。そして複数の年金を受けられるようになったとき、全部もらえるのか。この2つが給付の通則の中でも特によく問われるところです。
未支給年金は相続とは別の仕組みで、遺族が自分の名前で請求します。併給は1人1年金が原則で、例外は限られています。どちらも結論を丸暗記するのではなく、なぜそうなるのかを押さえると崩れにくくなります。
簡単にいうと
遺産として引き継ぐのではなく、遺族が自分の名前で請求します。
年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、一定の遺族が自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができます。
請求できるのは、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。
ここで最も重要なのが「自己の名で」という部分です。未支給年金は相続の対象ではありません。相続人が遺産として引き継ぐのではなく、法律が定めた範囲の遺族が、自分自身の権利として請求します。
試験では「未支給の年金については相続人に相続される」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。相続とは別の制度だという点を押さえてください。
年金は偶数月に前月までの分が後払いされるため、亡くなった月の分などが必ず未支給として残ります。だからこの制度が必要になるわけです。
具体例
7月2日に亡くなった人には7月分まで年金が支給されますが、7月分が振り込まれるのは8月です。この7月分は未支給年金となり、生計を同じくしていた遺族が自分の名前で請求します。
試験のポイント
簡単にいうと
複数の受給権が出たら、いったん全部止まります。そこから1つ選びます。
原則として、同時に複数の年金を受けることはできません。これを1人1年金の原則といいます。
複数の年金の受給権が発生した場合には、いったんすべての年金が支給停止となります。その後、受給権者が受給したいものをひとつ選ぶことで、その給付の支給停止状態が解除されるという仕組みです。
支給停止の解除の申請は、いつでも将来に向かって撤回(選択替え)することができます。あとで別の年金のほうが有利だとわかれば、選び直せるということです。ただし過去にさかのぼって選び直すことはできません。
なぜ1人1年金なのかというと、公的年金は生活を支えるためのものであり、同じ人に複数の生活保障を重ねる必要はないという考え方によります。ただし性質が違う給付を組み合わせる場面では、例外として併給が認められます。
具体例
遺族基礎年金と障害基礎年金の両方の受給権を得た人は、どちらか有利なほうを選びます。あとから状況が変わっても、将来に向かって選び直せます。
試験のポイント
簡単にいうと
2階建て、老齢基礎+付加年金、そして65歳以上の組合せ。この3つだけです。
1人1年金の例外として、次の場合には併給が認められます。
第一に、老齢基礎年金と付加年金です。付加年金は老齢基礎年金に上乗せされる性質のものなので、当然に一緒に受けられます。
第二に、2階建て年金です。年金給付と、当該年金給付と同一の保険事故に基づいて支給される厚生年金保険法による年金たる保険給付は併給されます。
・老齢厚生年金 + 老齢基礎年金(+付加年金)
・障害厚生年金 + 障害基礎年金
・遺族厚生年金 + 遺族基礎年金
第三に、異なる保険事故の組合せです。ただし65歳以上で、かつ次の組合せに限られます。
・遺族厚生年金 + 老齢基礎年金(+付加年金)
・老齢厚生年金 + 障害基礎年金
・遺族厚生年金 + 障害基礎年金
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逆に65歳未満では使えません。60歳で特別支給の老齢厚生年金を受け始めた障害基礎年金の受給権者について、両方受けられるとする選択肢は誤りです。
具体例
65歳を過ぎて夫を亡くした妻は、自分の老齢基礎年金と夫の遺族厚生年金を両方受けられます。ところが60歳の時点では、この組合せは併給できません。
試験のポイント
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