給付の通則
年金額は毎年見直されます。物価や賃金が上がれば年金も増えるのが基本ですが、それだけで決まるわけではありません。少子高齢化に対応するため、被保険者数の減少や平均余命の伸びまで織り込む仕組みが用意されています。それがマクロ経済スライドです。
この節では、68歳を境に基準が切り替わる改定率のルールと、マクロ経済スライドの考え方を押さえます。財政均衡期間のおおむね100年という数字も頻出です。
簡単にいうと
若い側は賃金、高齢側は物価。この切り分けを押さえます。
年金額の改定に使う改定率は、受給権者の年齢によって基準が変わります。
・受給権者が68歳となる年度前の改定率(新規裁定者に係る改定率) … 毎年度、原則として名目手取り賃金変動率を基準に改定される
・受給権者が68歳となる年度以後の改定率(既裁定者に係る改定率) … 毎年度、原則として物価変動率を基準として改定される
若い受給権者は現役世代の賃金の動きに合わせ、年齢が上がった受給権者は物価の動きに合わせる、という切り分けです。年金を受け始めたばかりの人は現役世代との水準の釣り合いが重要で、受給が長くなった人は日々の買い物の値段との釣り合いが重要になる、という考え方によります。
厚生年金保険にも同じ仕組みがありますが、動かす対象の名前が違います。国年は「改定率」、厚年は「再評価率」を改定します。68歳を境に賃金と物価で切り替わるという構造は共通なので、名称だけ区別すれば足ります。
具体例
65歳で年金を受け始めた人は、しばらくは名目手取り賃金変動率で改定されます。68歳となる年度からは物価変動率が基準に切り替わります。
試験のポイント
簡単にいうと
賃金や物価だけでなく、支え手の数と寿命まで計算に入れます。
政府は、国民年金事業の財政が財政均衡期間にわたって均衡を保つことができないと見込まれる場合には、調整期間を定め、年金たる給付(付加年金を除く)の額を調整するとされています。この場合の年金額調整をマクロ経済スライドといいます。
マクロ経済スライドが適用された場合には、賃金や物価の変動のほか、被保険者数の減少や平均余命の伸びなども考慮して年金額の改定が行われます。
ここでいう財政均衡期間とは、政府が5年ごとに行う公的年金の財政検証が行われた年以降おおむね100年間のことをいいます。
支え手である被保険者が減り、受け取る側の寿命が延びれば、同じ給付水準を続けるのは難しくなります。そこで賃金や物価の伸びから一定分を差し引いて調整するのがこの仕組みです。
注意したいのは、調整期間中であっても改定そのものは行われるという点です。試験では「調整期間中においてはこの改定は行われず、改定率は据え置かれる」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。据え置かれるのではなく、調整率を基準として改定されます。
なお、付加年金はマクロ経済スライドの対象から除かれています。
具体例
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