第1号被保険者独自の給付
死亡一時金も、寡婦年金と同じく保険料の掛け捨てを防ぐための給付です。ただし遺族の範囲がぐっと広く、兄弟姉妹まで含まれます。
額は納めた月数に応じて6段階に分かれ、付加保険料を3年以上納めていれば8,500円が上乗せされます。そして寡婦年金と両方の要件を満たしたときは、どちらか一方しか受けられません。この選択関係が最大の論点になります。
簡単にいうと
3年分納めていて、本人が老齢も障害も受けていないこと。この2つです。
死亡一時金は、次の要件を満たしたときに、死亡した者の遺族に対して支給されます。
・死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数等一定の月数を合算した月数が36か月以上である者が死亡したこと
・死亡した者が、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがないこと
2つ目は寡婦年金とまったく同じ発想です。すでに老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取っていたのであれば、納めた保険料は給付という形で還元されています。掛け捨てにはなっていないので、死亡一時金の出番はありません。
1つ目の36か月は3年です。寡婦年金が10年を求めるのに対し、死亡一時金は3年でよいので、こちらのほうが入口は広くなっています。
免除期間についても一定の割合で月数に算入されます。全額免除期間は4分の1、4分の3免除期間は2分の1、半額免除期間は4分の3、4分の1免除期間は4分の3といった具合に、納めた割合に応じて換算されます。
具体例
5年間だけ自営業をして国民年金保険料を納め、その後会社員になった人が50歳で亡くなった場合、第1号としての60月があるので死亡一時金の要件を満たします。
試験のポイント
簡単にいうと
遺族基礎年金の狭さとは対照的に、範囲が広く取られています。
死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。
順位もこの順番どおりになります。配偶者が第1順位、子が第2順位、以下父母・孫・祖父母・兄弟姉妹と続きます。
この範囲の広さが目を引きます。遺族基礎年金は「子のある配偶者」又は「子」しか受けられませんでした。遺族厚生年金でも配偶者・子・父母・孫・祖父母までで、兄弟姉妹は入りません。死亡一時金だけが兄弟姉妹まで含んでいます。
理由は給付の性格にあります。遺族年金は残された家族の生活保障ですが、死亡一時金は納めた保険料を掛け捨てにしないための精算という色合いが強い給付です。だから生活を支える必要性よりも、故人と生計を同じくしていたかどうかで広く拾う設計になっています。
要件は生計同一だけで、生計維持は求められません。扶養されていたことまでは必要なく、一緒に暮らしていれば足りるということです。
具体例
独身の自営業者が亡くなり、同居していた弟がいる場合、配偶者・子・父母・孫・祖父母がいなければ、弟が死亡一時金を受けられます。遺族基礎年金ならまったく支給されない場面です。
簡単にいうと
120,000円から320,000円まで。付加を3年以上納めていれば8,500円上乗せです。
死亡一時金の額は、合算された月数に応じて6段階に分かれます。
・36月以上180月未満 … 120,000円
・180月以上240月未満 … 145,000円
・240月以上300月未満 … 170,000円
・300月以上360月未満 … 220,000円
・360月以上420月未満 … 270,000円
・420月以上 … 320,000円
さらに、死亡日の前日における付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上である者の遺族に支給される死亡一時金の額には、8,500円が加算されます。この加算は月数の区分にかかわらず一律です。
8,500円という数字は、国民年金基金が支給する一時金の下限(8,500円を超えるものでなければならない)と同じです。基金は死亡一時金の付加加算額と同等以上を保証している、という関係になります。
区切りの月数は180・240・300・360・420と、60月(5年)刻みで並んでいます。最初の区分だけ36月から180月までと幅が広い点に注意してください。
簡単にいうと
両方の要件を満たしても、もらえるのは片方だけです。
死亡一時金の支給を受ける者が、同一人の死亡により寡婦年金を受けることができるときは、その者の選択により、どちらかを受けることができます。
死亡一時金と寡婦年金は選択関係にあるため、同一人の死亡につき両方の支給要件を満たした場合であっても、いずれか一方の支給しか受けることができません。他方の受給権は消滅します。
どちらも「第1号被保険者として納めた保険料を掛け捨てにしない」という同じ目的の給付なので、二重に精算する必要がないという整理です。
実際にどちらを選ぶかは金額次第になります。寡婦年金は60歳から65歳までの5年間にわたって受け取る年金で、額は夫の老齢基礎年金相当額の4分の3です。死亡一時金は一度きりですが、すぐに受け取れます。妻の年齢や生活の事情で有利なほうが変わります。
なお、死亡一時金には損害賠償との調整が行われません。第三者の行為で亡くなった場合でも、遺族が損害賠償を受けたことを理由に死亡一時金が減らされることはない、という点も押さえておきます。
具体例
夫の死亡により妻が寡婦年金と死亡一時金の両方の要件を満たしたとします。妻が62歳なら寡婦年金を3年間受け取れるので有利ですが、64歳なら1年しか受け取れないため死亡一時金のほうが多くなることもあります。
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試験のポイント
具体例
第1号被保険者として25年(300月)納め、うち5年分は付加保険料も納めていた人が亡くなった場合、300月以上360月未満の220,000円に8,500円を加えた228,500円が支給されます。
試験のポイント

第1号被保険者だけの給付を並べた表。寡婦年金と死亡一時金の選択関係も添えています
試験のポイント
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