60歳台前半の老齢厚生年金
60歳台前半の老齢厚生年金の額は、報酬比例部分と定額部分の2階建てです。それぞれ計算式が違い、被保険者期間の月数の扱いも違います。
最大の注意点は、月数に上限があるのが定額部分だけだという点です。報酬比例部分の月数には上限がありません。テキストでもワンポイントで「注意!」と強調されている箇所になります。
簡単にいうと
平均標準報酬額に5.481/1,000を掛けて、月数を掛けます。
報酬比例部分の額は、原則として次の式で計算します。
報酬比例部分の額 = 平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 被保険者期間の月数
1,000分の5.481を給付乗率といいます。昭和21年4月1日以前生まれの者については、その生年月日に応じて給付乗率の読み替えが行われます。
平均標準報酬額とは、被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいいます。
再評価率は、過去の標準報酬を最近の水準に再評価するために用いるものです。何十年も前の給与額をそのまま使うと現在の物価水準に合わないため、換算する仕組みになります。
被保険者期間の月数についても押さえておくことがあります。受給権を取得すると、その月以降はいったん60歳台前半の老齢厚生年金の額の計算の基礎から除外されます。引き続いて厚生年金保険の被保険者である場合には、被保険者資格を喪失してから月数が改定されます。これを退職時改定といいます。
働き続けている間は年金額が増えず、退職してから増額される、ということです。
具体例
平均標準報酬額が35万円、被保険者期間が480月の人の報酬比例部分は、35万円×5.481/1,000×480月で約92万円になります。
試験のポイント
簡単にいうと
月数に上限があるのは定額部分だけ。報酬比例部分にはありません。
定額部分の額は次の式で計算します。
定額部分の額 = 1,628円 × 改定率 × 被保険者期間の月数
報酬比例部分と違い、報酬の水準は関係ありません。加入していた月数だけで決まる定額の給付です。
そして定額部分の額の計算に用いる被保険者期間の月数には、生年月日に応じた上限があります。
・昭和4年4月1日以前 … 420月(35年)
・昭和4年4月2日から昭和9年4月1日 … 432月(36年)
・昭和9年4月2日から昭和19年4月1日 … 444月(37年)
・昭和19年4月2日から昭和20年4月1日 … 456月(38年)
・昭和20年4月2日から昭和21年4月1日 … 468月(39年)
・昭和21年4月2日以後 … 480月(40年)
簡単にいうと
受給権を取ったあとの期間は、退職してから反映されます。
被保険者期間の月数については、受給権を取得するとその月以降はいったん年金額の計算の基礎から除外されます。
引き続いて厚生年金保険の被保険者である場合には、被保険者資格を喪失してから月数が改定されます。これを退職時改定といいます。
つまり60歳で受給権を取得したあとも働き続けている人は、その間の保険料は納めているのに年金額には反映されません。退職して資格を喪失した時点で、それまでの期間がまとめて年金額に反映されるということです。
受給者から見れば「退職した後で年金額が増額される」という形になります。
この仕組みは、在職中は在職老齢年金により支給が調整されることとセットで理解すると筋が通ります。働いている間は報酬があるので年金を抑え、退職して報酬がなくなったときに増額して支える、という設計です。
注意したいのは、65歳以上の老齢厚生年金には在職定時改定という別の仕組みがある点です。65歳以上の者については、在職中であっても被保険者期間の月数の改定が定時に行われます。
60歳台前半は退職時改定だけ、65歳以上は在職定時改定と退職時改定の両方、という違いになります。
具体例
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最も重要な注意点は、報酬比例部分の額における被保険者期間の月数には上限がないという点です。テキストでもワンポイントで「注意!」と強調されています。
40年を超えて働いた人の場合、定額部分は480月で頭打ちになりますが、報酬比例部分はその後も増え続けるということです。
具体例
昭和25年生まれで500月加入した人の定額部分は、上限の480月で計算されます。一方、報酬比例部分は500月そのままで計算されます。
試験のポイント
60歳で受給権を取得して65歳まで働き続けた人は、その5年分が年金額に反映されるのは退職時です。65歳以上になれば、在職中でも毎年改定されるようになります。
試験のポイント
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