遺族厚生年金
遺族厚生年金の額は、報酬比例部分に4分の3を掛けたものです。短期要件か長期要件かで計算のしかたが2点だけ変わります。
そして子のない妻を支えるために2つの寡婦加算が用意されています。40歳から65歳までの中高齢寡婦加算と、65歳以後の経過的寡婦加算です。2つが切れ目なくつながる構造を押さえます。
簡単にいうと
給付乗率の読み替えと、300月みなし。この2つだけです。
遺族厚生年金の額は、原則として次の式で計算します。
遺族厚生年金の額 = 平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 被保険者期間の月数 × 3/4
最後に4分の3を掛けるのが遺族厚生年金の特徴です。亡くなった人が受けられたはずの老齢厚生年金の4分の3を遺族に支給する、という考え方になります。
短期要件と長期要件で違うのは次の2点だけです。
短期要件
・給付乗率(5.481/1,000)は定率
・被保険者期間の月数は300に満たないときは300とする
長期要件
・昭和21年4月1日以前に生まれた者には給付乗率の読み替え規定あり
・被保険者期間の月数は実際の被保険者期間
4分の3を掛ける点は共通です。
試験では、老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の給付乗率について、死亡した者が昭和21年4月1日以前生まれであるときは生年月日に応じた読み替えを行った乗率が適用される、という記述が正しいものとして出題されています。老齢厚生年金の受給権者の死亡は長期要件なので、読み替えが効くということです。
なお、遺族厚生年金には加給年金額は加算されません。
具体例
在職中に35歳で亡くなった人の被保険者期間が150月でも、短期要件なら300月として計算されます。長期要件に当たる人なら実際の月数で計算されます。
試験のポイント
簡単にいうと
子のない妻を支えます。40歳から65歳まで、遺族基礎年金の4分の3です。
遺族基礎年金は一定の要件に該当する「子のある妻」には支給されますが、「子のない妻」には支給されません。そこで両者の不均衡を是正するために、中高齢寡婦加算が行われます。
中高齢寡婦加算が加算されるのは、40歳以上65歳未満の期間です。
加算額は「遺族基礎年金の額 × 4分の3」です。
子のいる妻であれば遺族基礎年金が支給されますが、子がいなければ1階部分がまったく出ません。夫を亡くした中高年の妻は、そこから働き口を見つけるのも簡単ではありません。その事情を踏まえた加算になります。
年齢の区切りにも意味があります。40歳未満なら再就職の可能性が高く、65歳になれば自分の老齢基礎年金が始まるので、その間を支えるという設計です。
遺族基礎年金と中高齢寡婦加算は同時には受けられません。子がいる間は遺族基礎年金が支給され、子が18歳到達年度末を過ぎるなどして遺族基礎年金がなくなると、そこから中高齢寡婦加算が始まる、という関係になります。
具体例
42歳で夫を亡くした子のない妻は、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が上乗せされます。65歳になるまでの23年間続きます。
簡単にいうと
65歳で中高齢寡婦加算が終わったあとの段差を埋めます。
妻(寡婦)が65歳になり老齢基礎年金の受給権が発生しても、昭和61年4月1日前に公的年金の加入期間を有していなければ、老齢基礎年金の額は中高齢寡婦加算の額よりも低額となってしまいます。
そこで、高齢期に入ってから年金額が低下することを防ぐため、経過的寡婦加算が行われます。
支給のイメージを追うと次のようになります。
・全期間 … 遺族厚生年金
・妻が65歳になるまで … 中高齢寡婦加算
・妻が65歳以後 … 経過的寡婦加算 + 老齢基礎年金
65歳を境に、中高齢寡婦加算が「経過的寡婦加算+老齢基礎年金」に置き換わる形です。
なぜ老齢基礎年金だけでは足りないのかというと、昭和61年3月以前に専業主婦だった人は国民年金に任意加入していないことが多く、その期間が合算対象期間にしかならないからです。受給資格期間には数えられても年金額には反映されないため、老齢基礎年金が薄くなります。
ここでも昭和61年4月1日という日付が効いてきます。国民年金の振替加算と同じく、旧法時代の任意加入だった世代を救済する仕組みだということです。
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試験のポイント
具体例
65歳になった寡婦の老齢基礎年金が中高齢寡婦加算より少ない場合、その差を経過的寡婦加算が埋めます。年金額が65歳で下がるのを防ぐ仕組みです。
試験のポイント
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