費用の負担と不服申立て
厚生年金保険の積立金は2種類あります。会社員分の特別会計積立金と、公務員・私学教職員分の実施機関積立金です。一元化で制度は1本になりましたが、積立金は分かれたままという形になっています。
テキストは第6章の冒頭でこう案内しています。「積立金は国民年金と連動し、保険料はその大半が健康保険と連動する」。この関係を意識すると、既習の知識をそのまま使えます。
簡単にいうと
第1号分が特別会計積立金、第2号から第4号分が実施機関積立金です。
厚生年金保険法には積立金が2種類あります。
・特別会計積立金 … 年金特別会計の厚生年金勘定の積立金で、第1号厚生年金被保険者に係るもの
・実施機関積立金 … 実施機関(厚生労働大臣を除く)の積立金のうち厚生年金保険事業に係る部分で、第2号から第4号厚生年金被保険者に係る積立金の総称
運用の目的は条文で定められています。積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的とする、とされています。
「被保険者の利益のために」という点は国民年金と共通です。受給権者のためではなく、これから受け取る人のための運用だということになります。
運用の方法は次のように分かれます。
・特別会計積立金 … 厚生労働大臣が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し積立金を寄託することにより行う
・実施機関積立金 … それぞれの実施機関(厚生労働大臣を除く)が行う
共済組合等は自分で運用するということです。国民年金では積立金が1種類で、すべてGPIFに寄託されていました。
具体例
会社員が納めた保険料の積立分はGPIFが運用しますが、地方公務員の分は地方公務員共済組合が運用します。
試験のポイント
簡単にいうと
国年は厚生労働省だけ。厚年は4省の職員が対象です。
積立金の運用に係る行政事務に従事する厚生労働省、財務省、総務省及び文部科学省の職員(運用職員)は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはなりません。
これに違反した場合には、その職員の任命権者は、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければならないとされています。
国民年金では運用職員が厚生労働省の職員だけでした。厚生年金保険では4省にまたがります。
なぜ4省なのかというと、共済組合の所管省庁が絡むからです。国家公務員共済組合は財務省、地方公務員共済組合は総務省、私立学校教職員共済制度は文部科学省が所管しています。実施機関積立金の運用にはこれらの省庁の職員が関わるため、秘密保持義務の対象も広がるということです。
懲戒処分の根拠が厚生年金保険法ではなく国家公務員法である点は、国民年金と同じです。試験で「厚生年金保険法に基づく懲戒処分」とする選択肢があれば誤りになります。
もうひとつ、懲戒処分を行う者にも注意が必要です。国民年金では「厚生労働大臣は、その職員に対し」と規定されていましたが、厚生年金保険では「その職員の任命権者は」となっています。4省にまたがるため、それぞれの任命権者が処分を行うという形です。
具体例
簡単にいうと
厚年の国庫負担は、2階部分ではなく1階部分に入ります。
国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を負担します。
ここでいう基礎年金拠出金とは、厚生年金保険の実施者たる政府及び実施機関たる共済組合等が、毎年度、国民年金法に規定する第2号被保険者及び第3号被保険者に係る基礎年金の給付に要する費用に充てるため負担・納付する拠出金をいいます。
注目したいのは、国庫が負担しているのが基礎年金部分だという点です。老齢厚生年金そのものに国庫負担はありません。会社員の1階部分(老齢基礎年金)の半分を国が持ち、2階部分は保険料でまかなうという構造になります。
国民年金でも、国庫は第1号被保険者に係る額の2分の1を負担していました。どちらも基礎年金部分の半分を国庫が持つという点で一貫しています。
事務費についても定めがあります。国庫は、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行に要する費用を負担します。ただし実施機関(厚生労働大臣を除く)によるものは除かれます。
共済組合等が行う事務の費用は国庫負担の対象外だということです。
国庫負担を図で整理すると次のようになります。
・給付に関する費用の負担 … 厚生年金保険の実施者たる政府が負担する基礎年金拠出金の2分の1
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試験のポイント
具体例
会社員が受け取る老齢基礎年金の半分は国庫が負担していますが、老齢厚生年金の部分には国庫負担がありません。
試験のポイント
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