保険給付の通則
未支給の保険給付と併給の調整は、国民年金法とほぼ同じ規定です。ただし併給の場面では、厚生年金保険の側から見た組合せの整理になるので、国年で覚えた形と見え方が変わります。
とくに65歳以上の異なる保険事故の併給は、60歳では使えないという点が繰り返し問われます。特別支給の老齢厚生年金と障害基礎年金を組み合わせようとする誤りの選択肢が定番です。
簡単にいうと
3親等内の親族が自己の名で請求します。相続ではありません。
年金たる保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、一定の遺族が自己の名でその未支給の保険給付の支給を請求することができます。
請求できるのは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。
国民年金法の未支給年金とまったく同じ規定です。「自己の名で」という点も共通で、相続の対象ではありません。
年金は偶数月に前月までの分が後払いされるため、亡くなった月の分などが必ず未支給として残ります。国民年金と厚生年金保険の両方を受けていた人が亡くなれば、両方について未支給が生じることになります。
遺族厚生年金の遺族の範囲(配偶者・子・父母・孫・祖父母)と比べると、未支給の請求ができる範囲のほうが広いことがわかります。兄弟姉妹や3親等内の親族まで含まれるからです。同じ「遺族」という言葉でも、場面によって範囲が違う点に注意してください。
具体例
7月2日に亡くなった人には7月分まで年金が支給されますが、振込は8月です。この7月分は未支給となり、生計を同じくしていた遺族が自分の名前で請求します。
試験のポイント
簡単にいうと
2階建てと、65歳以上の異なる保険事故。この2つだけです。
1人1年金が原則で、複数の年金の受給権が発生した場合にはいったんすべての年金が支給停止となり、選択により支給停止が解除されます。この構造は国民年金と同じです。
例外として併給できるのは次の場合です。
第一に、2階建て年金です。厚生年金保険の年金たる保険給付と国民年金法による年金たる給付は併給されます。
・老齢厚生年金 + 老齢基礎年金(+付加年金)
・障害厚生年金 + 障害基礎年金
・遺族厚生年金 + 遺族基礎年金
第二に、異なる保険事故の組合せです。ただし65歳以上で、かつ次の組合せに限ります。
・老齢厚生年金 + 老齢基礎年金又は障害基礎年金
・遺族厚生年金 + 老齢基礎年金又は障害基礎年金
・老齢厚生年金・遺族厚生年金 + 老齢基礎年金又は障害基礎年金
簡単にいうと
内払は同じ人、充当は別の人。国民年金と同じ整理です。
誤って年金を払いすぎた場合の調整には、内払と充当の2つがあります。
内払とは、ある年金を支給停止すべきだったにもかかわらず誤って支払ってしまった場合に、一度返還してもらって停止解除後に再度支給しなおすということをせず、停止解除後の1回目の支給をしないことで調整することをいいます。
充当とは、年金たる保険給付の受給権者が死亡したことにより受給権が消滅したにもかかわらず誤って支払ってしまった場合に、遺族の協力のもと返還してもらうということをせず、遺族に支給する遺族厚生年金との間で調整することをいいます。
内払は同一人間の調整処理、充当は異なる受給権者間の調整処理です。この整理は国民年金とまったく同じになります。
厚生年金保険では、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の場面で内払が使われることがよくあります。試験では、老齢厚生年金の受給権者について在職老齢年金の仕組みにより支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる、という記述が正しいものとして出題されています。
また、年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金が支払われた場合にも、内払とみなすことができます。
具体例
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重要なのは65歳以上という条件です。試験では、障害厚生年金と障害基礎年金の受給権者が60歳に達して特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合について「いずれを選択しても障害基礎年金は併給される」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。65歳未満では老齢厚生年金と障害基礎年金は併給されません。
具体例
65歳を過ぎて夫を亡くした妻は、自分の老齢基礎年金と夫の遺族厚生年金を両方受けられます。60歳の時点では、この組合せは使えません。
試験のポイント
在職老齢年金で支給停止すべき月の年金が誤って振り込まれた場合、返還を求めるのではなく、その後の支給を1回止めることで調整します。
試験のポイント
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