保険給付の通則
第三者の行為で障害を負ったり亡くなったりした場合、年金と損害賠償の両方を受けると二重取りになります。それを防ぐのが代位取得と免責です。
国民年金とほぼ同じ規定ですが、主体が「政府」ではなく「政府等」になります。実施機関を含むためです。また、受給権の保護と公課の禁止の例外が「老齢厚生年金」だけである点も、国年の「老齢基礎年金と付加年金」と対応しています。
簡単にいうと
先に年金を出せば請求権をもらい、先に賠償を受けたら年金を出しません。
第三者の行為によって障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が生じた場合、次の2つの調整が働きます。
第一に代位取得です。給付が行われたときは、その給付の価額の限度で、政府等は、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得します。
第二に免責です。受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府等は、その価額の限度で、給付を行う責を免れます。
どちらも「価額の限度で」という限定が付いています。全部が動くのではなく、金額が重なった範囲だけが調整されるということです。
試験では、この限定を落とした選択肢が出題されたことがあります。「損害賠償の請求権を取得する」「保険給付をしないことができる」とだけ書いて「その給付の価額の限度で」「その価額の限度で」を欠く記述は誤りです。
主体が「政府等」になっているのは、実施機関を含むためです。国民年金では「政府」でした。
対象が障害又は死亡に限られる点は国年と同じです。老齢は第三者の行為で生じるものではないからです。
具体例
交通事故で障害を負った会社員に障害厚生年金が支給された場合、政府等はその給付の価額の限度で加害者に請求できます。先に加害者から賠償を受けていれば、その範囲で年金は支給されません。
試験のポイント
簡単にいうと
例外は老齢厚生年金だけ。国年は老齢基礎年金と付加年金でした。
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができません。ただし例外があり、老齢厚生年金を受ける権利については、国税滞納処分により差し押さえることができます。
公課についても同じ構造です。原則として保険給付は非課税ですが、老齢厚生年金として支給を受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課することができます。
国民年金では例外が「老齢基礎年金及び付加年金」でした。厚生年金保険では「老齢厚生年金」です。どちらも老齢給付だけが例外になる、という構造は共通しています。
理由は給付の性格にあります。老齢給付は誰もがいずれ受け取る所得の一種と考えられるのに対し、障害や死亡による給付は突発的な不幸に対する保障だからです。
試験では、障害厚生年金を受ける権利は譲渡・差押えができず、公課も課すことができない、という記述が正しいものとして出題されています。障害厚生年金は例外に当たらないので、原則どおり保護されるということです。
このほか、偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、実施機関は受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができます。国民年金では主体が厚生労働大臣でしたが、厚年は実施機関になります。
また、本来受給できるにもかかわらず生活の基盤を年金に頼らなくてよい者は、任意に全額の支給停止を申し出ることができます。この申出はいつでも将来に向かって撤回できますが、過去にさかのぼって支給を受けることはできません。
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税金を滞納した人の老齢厚生年金は国税滞納処分により差し押さえられることがありますが、同じ人が障害厚生年金を受けていれば、そちらは差し押さえられません。
試験のポイント
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