被保険者
適用事業所の枠組みは健康保険とほとんど同じです。法人なら1人でも強制適用、個人経営なら法定17業種で常時5人以上、という基本形は変わりません。
ただし厚生年金保険には1つだけ健康保険にない項目があります。「一定の船舶」です。船員として船舶所有者に使用される者が乗り組む船舶は、それ自体が強制適用事業所になります。この船舶という論点は、このあと適用除外や繰上徴収の場面でも繰り返し顔を出します。
簡単にいうと
法人、個人の法定17業種で5人以上、そして船舶です。
強制適用事業所とは、厚生年金保険への加入が義務付けられている事業所のことをいいます。次の3つが該当します。
・法定17業種に該当する個人経営の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
・国、地方公共団体又は法人の事業所であって常時従業員を使用するもの(1人でも該当する)
・船員として船舶所有者に使用される者が乗り組む船舶
最初の2つは健康保険とまったく同じです。3つ目の船舶が厚生年金保険の特徴になります。健康保険には出てこない概念です。
法人であれば業種を問わず、従業員が1人しかいなくても強制適用です。社長1人だけの会社でも、法人である以上は加入義務があります。
なお、外国人経営の事業所であっても、日本国内に所在地があれば厚生年金保険は適用されます。事業主の国籍は関係ありません。この点も健康保険と共通です。
具体例
漁船に乗り組む船員は、その船舶が強制適用事業所となるため厚生年金保険の被保険者になります。健康保険では船舶という枠組みがないので、扱いが変わります。
試験のポイント
簡単にいうと
第一次産業・接客娯楽業・宗教業。健康保険とまったく同じです。
法定17業種は数が多く丸暗記に向かないため、外れるほうを覚えるのが効率的です。
法定17業種以外の事業として押さえるのは次の3グループです。
・第一次産業(農林、水産、畜産業)
・接客娯楽業(旅館、料理店、飲食店、理容業等)
・宗教業(神社、寺院、教会等)
これらは健康保険とまったく同じ3グループです。国民年金の学習では出てこない知識ですが、健康保険で覚えたものがそのまま使えます。
個人経営でこれらの業種に当たる場合は、従業員が何人いても強制適用事業所になりません。加入したければ任意適用の認可を受けることになります。
ただし法人化していれば話は別で、業種にかかわらず強制適用事業所になります。
試験では、常時5人以上の従業員を使用する個人経営の畜産業者の事業所について「強制適用事業所となるので任意適用事業所の認可を受ける必要はない」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。畜産業は法定17業種以外なので、個人経営である以上は強制適用になりません。任意適用の認可を受ける必要があります。
簡単にいうと
健康保険とまったく同じ非対称です。抜けるほうが重くなっています。
任意適用事業所とは、強制適用事業所とならない事業所で、厚生労働大臣の認可を受けて厚生年金保険へ加入し、適用事業所となった事業所のことをいいます。対象は次の2つです。
・法定17業種であって、常時5人未満の従業員を使用する個人経営の事業所
・法定17業種以外の個人経営の事業所
加入するときは、事業主が被保険者となるべき労働者の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければなりません。
脱退するときは要件が重くなります。任意適用事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(一定の適用除外となる者を除く)の4分の3以上の同意を得て厚生労働大臣に申請し、認可を得て、当該事業所を適用事業所でなくすることができます。
加入は2分の1、脱退は4分の3という非対称は健康保険とまったく同じです。いったん保障の枠に入った人たちを外すのだから、より強い合意を求めるという考え方になります。
なお、認可を受けて適用事業所となった以上、そこで働く人は加入に同意しなかった人も含めて被保険者になります。
具体例
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具体例
個人経営の旅館は、従業員が20人いても強制適用事業所になりません。株式会社にすれば、その時点で強制適用事業所になります。
試験のポイント
従業員3人の個人経営の設計事務所で2人が賛成すれば任意適用の申請ができます。あとで脱退したくなったときは3人全員の同意が必要になります。
試験のポイント
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