離婚分割と2以上の種別
会社員から公務員へ転職した人は、複数の種別の被保険者期間を持つことになります。平成27年10月の被用者年金一元化で種別と実施機関が設けられたため、各種規定の適用が難解になる場面が出てきました。
そこで、給付ごとに「合算して1つとみなす」のか「各号ごとに扱う」のかが整理されています。ばらばらに見えますが、300月みなしがあるかどうかで説明がつきます。
簡単にいうと
給付ごとに扱いが入れ替わります。まとめて覚えるのが得策です。
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、各種規定の適用は次のように分かれます。
老齢厚生年金
・支給要件の判断 … 各号の厚生年金被保険者期間ごとに適用する
・ただし60歳台前半の「1年以上の被保険者期間」の判断 … 合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして判断する
・支給額の計算 … 各号の厚生年金被保険者期間ごとに計算する
・加給年金額の加算要件の判断 … 合算して1つの種別の被保険者期間のみを有するものとみなして加算の有無を判断する
障害厚生年金
・額の計算及び支給停止 … 合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして適用する
遺族厚生年金
・短期要件に係る額 … 合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして計算する
・長期要件に係る額 … 各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに計算される
整理すると、合算してみなすのは「60歳台前半の1年要件」「加給年金額」「障害厚生年金の額と支給停止」「遺族厚生年金の短期要件」の4つです。
本来の老齢厚生年金の支給要件と支給額、遺族厚生年金の長期要件は各号ごとになります。
60歳台前半の1年要件だけが本来の支給要件と逆になる点が引っかけどころです。
具体例
会社員10年・公務員10年の人が60歳台前半の老齢厚生年金を請求する場合、1年要件は合算した20年で判断しますが、額はそれぞれの期間ごとに計算されます。

合算か各号ごとかの仕分け図。300月みなしがあるものだけを合算する、という一本の理屈で整理しています
試験のポイント
簡単にいうと
最も早い日に受給権が生じたもの。同じ日なら最も長い期間のものです。
加給年金額の加算要件を合算して判断した結果、加算されることになった場合、どの老齢厚生年金に加算するかが問題になります。
この場合の加給年金額の加算は、原則として、最も早い日に受給権が生じた老齢厚生年金の額に加算されます。
そして老齢厚生年金の受給権の発生の日が同じ日である場合は、そのうち最も長い一の期間に係る老齢厚生年金の額に加算されます。
2段階の判定になっているということです。まず受給権の発生日で決め、同じ日なら期間の長さで決めます。
障害厚生年金についても事務の担当が問題になります。2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る障害厚生年金の支給に関する事務は、当該障害に係る初診日における被保険者の種別に応じた実施機関が行います。
額の計算は合算でも、事務の担当は初診日で決まるということです。
なぜ障害厚生年金と遺族厚生年金の短期要件が合算になるのかというと、300月みなしの規定があるからです。被保険者期間の月数が300に満たないときは300月とみなす規定を種別ごとに適用すると、それぞれで300月みなしが働いて過大な給付になってしまいます。それを避けるために合算するという理屈になります。
逆に、300月みなしのない老齢厚生年金や遺族厚生年金の長期要件は、各号ごとに計算しても問題が生じません。
簡単にいうと
故意は絶対的、重大な過失は裁量的。自殺の扱いに特徴があります。
給付制限には絶対的なものと裁量的なものがあります。
絶対的給付制限
・被保険者又は被保険者であった者が故意に障害又はその直接の原因となった事故を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は支給しない
・遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者には支給しない
裁量的給付制限
・被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生ぜしめ、若しくはその障害の程度を増進させ、又は回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる
自殺の扱いに特徴があります。自殺の場合は、何らかの精神異常に起因することが多いため、故意に保険事故を生じさせたものとして給付制限を行うのは適当でないとされています。
健康保険では「自殺による死亡は絶対的な事故だから埋葬料は支給される」という説明でしたが、厚年では「故意に当たらない」という整理です。理由づけは違いますが、結論としてはどちらも給付されます。
このほか2つの制限があります。
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具体例
会社員期間の老齢厚生年金が61歳から、公務員期間のものが62歳から支給される人の場合、加給年金額は61歳から始まるほうに加算されます。
試験のポイント
・給付事務に関する一時差止め … 受給権者が正当な理由がなくて厚生労働大臣に対する届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる
・年金額改定に関する給付制限 … 障害厚生年金の受給権者が故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことによりその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、実施機関の診査による年金額の改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして年金額の改定を行うことができる
試験では、故意に障害を生ぜしめたときは支給されず、重大な過失により障害を生ぜしめたときは全部又は一部を行わないことができる、という記述が正しいものとして出題されています。
具体例
自ら望んで障害を負った場合は障害厚生年金が支給されませんが、不注意による事故(重大な過失)であれば、事情に応じて全部又は一部が制限されます。
試験のポイント
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