障害厚生年金と障害手当金
障害厚生年金の支給停止と失権は、障害基礎年金とまったく同じ構造です。労働基準法の障害補償を受けられるときの6年間、等級に該当しなくなったときの停止、そして「65歳」と「3年経過」の遅いほうという失権の判定になります。
この節では、事後重症と基準障害という2つの救済制度も扱います。厚年では事後重症が3級まで対象になるのに対し、基準障害は2級以上が必要という内部の食い違いがあります。
簡単にいうと
同じ厚年の中で必要な等級が違います。ここが混同しやすいところです。
障害認定日に等級に該当しなかった場合の救済が2つあります。
事後重症による障害厚生年金は、障害認定日に3級以上の障害等級になくても、65歳到達の前日までに3級以上に達し、かつその期間内に請求すれば受けられるものです。請求することによって初めて受給権が発生します。
基準障害による障害厚生年金は、傷病が複数発生した場合において、それら1つ1つは軽度な障害であっても、65歳到達の前日までにそれらを併せて2級以上の障害等級に該当するときに受けられるものです。
必要な等級が違う点に注意してください。事後重症は3級でよいのですが、基準障害は複数の障害を併合して初めて2級以上に該当することが必要です。3級ではだめだ、とテキストでも念を押されています。
国民年金の同じ制度と比べると、違いは事後重症の等級だけです。
・国民年金の事後重症 … 1級又は2級に該当
・厚生年金保険の事後重症 … 1級から3級に該当
・基準障害 … 国年も厚年も2級以上
受給権の発生時期と請求の期限の違いは国年と同じです。事後重症は請求により発生し請求は65歳の前日まで、基準障害は要件を満たしたときに発生し請求は65歳以後でも可能になります。
試験では、事後重症について「障害認定日後65歳に達する日までの間に該当するに至ったときはその期間内に請求できる」という誤りの選択肢が出題されたことがあります。正しくは「65歳に達する日の前日まで」です。
具体例
障害認定日には該当しなかった人が60歳で3級に該当した場合、事後重症として請求できます。一方、複数の軽い障害を併せて2級になった人は、66歳になってから請求しても受けられます。
試験のポイント
簡単にいうと
労基法の障害補償で6年間、等級に該当しない間は停止です。
障害厚生年金が支給停止されるのは、次の2つの場面です。
・受給権者が当該傷病による障害について労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときは、6年間その支給が停止される
・受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間その支給が停止される
障害基礎年金の支給停止とまったく同じ2パターンです。6年という数字も、遺族給付の労働基準法の遺族補償による停止と共通します。労働基準法の災害補償が絡むと6年、と覚えておけます。
過去問では、障害厚生年金の受給権者がさらに障害厚生年金の受給権を取得した場合に、新たに取得したものが労働基準法の障害補償を受ける権利を取得したことにより支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、従前の障害厚生年金を支給する、という記述が正しいものとして出題されています。
新しい年金が止まっている間は、古い年金を復活させて支給するという調整です。受給者が無給になるのを防ぐための規定になります。
2つ目の停止事由は、障害が軽くなって等級に該当しなくなった場合です。ここで受給権が消えるわけではなく、支給が止まるだけです。再び悪化して等級に該当すれば支給が再開されます。
具体例
簡単にいうと
3級にも該当しなくなってから数えます。障害基礎年金と同じ構造です。
障害厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときに消滅します。
もうひとつ、障害が軽くなった場合の失権があります。受給権者の障害の程度が軽減し、厚生年金保険法の規定による障害等級3級にも該当しなくなった場合であって、そのまま障害等級3級に該当することなく、65歳に達したとき又は3年を経過したときのいずれか遅いほうに達したときに失権します。
「いずれか遅いほう」であって「早いほう」ではありません。
過去問では、障害等級3級の障害厚生年金の支給を受けていた者が63歳のときに障害の程度が軽減して支給が停止された場合について「65歳に達した日に受給権が消滅する」という誤りの選択肢が出題されました。63歳で不該当になったなら3年経過は66歳です。65歳と66歳の遅いほうは66歳なので、65歳では失権しません。
この構造は障害基礎年金とまったく同じです。障害基礎年金にも「厚生年金保険法の規定による障害等級3級にも該当しなくなった場合」という判定が使われていました。
支給停止と失権の関係も同じです。等級に該当しなくなった時点ではまだ支給停止にとどまり、3級にも該当しないまま長期間が経過して初めて失権します。二段構えにすることで、障害の状態が変動しうることに配慮しているということです。
具体例
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業務上の事故で障害を負い労働基準法の障害補償を受けられる人は、障害厚生年金が6年間止まります。6年が過ぎれば支給が再開されます。
試験のポイント
58歳で3級にも該当しなくなった人は、3年経過が61歳、65歳到達が65歳なので、遅いほうの65歳で失権します。63歳で不該当になった人は66歳です。
試験のポイント
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