基本手当をつかむ
所定給付日数を使い切ってもなお職が見つからない。あるいは訓練に通っている最中に日数が尽きてしまう。そうした場合に日数を上乗せするのが延長給付です。
本則に4種類、附則に1種類あります。それぞれの限度日数と、重なったときの優先順位が問われます。名前と数字の組み合わせで覚えていきましょう。
簡単にいうと
所定給付日数だけでは足りない人への上乗せです。まず名前を並べておきます。
延長給付は、基本手当の所定給付日数分の日数だけでは保護が足りない者に対して支給されるものです。
法の本則では、次の4種類とされています。
・訓練延長給付
・個別延長給付
・広域延長給付
・全国延長給付
これに加えて、法附則の規定(経過措置)として地域延長給付があります。
4種類は、対象となる範囲の広さで並べると理解しやすくなります。
・訓練延長給付 … 訓練を受けている個人が対象
・個別延長給付 … 特定の事情がある個人が対象
・広域延長給付 … ある地域全体が対象
・全国延長給付 … 全国が対象
個人単位のものが2つ、地域単位のものが1つ、全国単位のものが1つ、という構成です。
それぞれ発動の条件が違い、限度日数も違います。次のテーマから順に確認していきます。
なお、これらは所定給付日数を超えて基本手当を支給するものであって、基本手当とは別の給付ではありません。日額の計算などは基本手当と同じです。
具体例
所定給付日数90日を使い切りそうな人が公共職業訓練を受け始めた場合、訓練期間中は訓練延長給付として基本手当が支給され続けます。
試験のポイント
簡単にいうと
訓練の前・最中・後で3つの数字があります。ここは丸ごと覚えるところです。
受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練を受ける場合には、一定の期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて基本手当を支給することができます。
限度日数は、訓練との位置関係によって3つに分かれます。
・訓練を受けるために待期している期間(訓練前の期間) … 90日間
・訓練受講期間(訓練中の期間) … 2年
・訓練終了後の一定の期間 … 30日
訓練が始まるのを待っている間、訓練を受けている間、訓練が終わった後、という3つの局面すべてがカバーされているのが特徴です。
数字を並べると90日・2年・30日で、真ん中の訓練中だけ単位が年になります。訓練は長期にわたることがあるため、期間で区切っているわけです。
訓練前の90日と訓練後の30日という非対称にも意味があります。訓練を受けさせたいので、始まるまでの待ち時間は長めに保護する。終わった後は再就職に向かうべきなので短め、という設計です。
訓練延長給付は、この後で見る優先順位ではもっとも低い位置に置かれています。他の延長給付が使えるならそちらが優先されます。
簡単にいうと
残る3つは、それぞれ「誰が」「どんな状況で」使えるのかがポイントです。
残る3つの延長給付を確認します。
・個別延長給付
就職困難者や、激甚災害によって離職を余儀なくされた特定受給資格者等に対して行われます。限度日数は原則として60日です。
・広域延長給付
広域職業紹介活動に係る地域において、その地域の基本手当受給率が全国平均の2倍以上に至った場合に行われます。限度日数は90日です。
・全国延長給付
失業の状況が全国的に悪化し、連続する4か月間の各月の全国における基本手当の受給率が4%を超えているなど一定の要件を満たす場合に行われます。限度日数は90日です。
数字の押さえどころを整理します。
・個別延長給付 … 60日
・広域延長給付 … 90日/全国平均の2倍以上
簡単にいうと
同時に2つ以上受けることはできません。順番が決まっています。
要件を満たしたとしても、1人の受給資格者が同時に複数の延長給付を受けることはできません。優先順位は次のとおりです。
・第1順位 個別延長給付(および地域延長給付)
・第2順位 広域延長給付
・第3順位 全国延長給付
・第4順位 訓練延長給付
覚え方は「個別→広域→全国→訓練」です。個人の事情に着目したものが先、対象範囲が狭いものが先、と考えると自然な順序になります。訓練延長給付だけが最後尾に置かれているのが特徴です。
順位が高いものが行われることとなったときは、低いものは行われません。逆に、低いものを受けている最中に高いものの要件を満たしたときは、高いほうに切り替わります。
試験では『広域延長給付を受けている受給資格者について訓練延長給付が行われることとなったときは、訓練延長給付が終わった後でなければ、広域延長給付は行われない』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。広域延長給付のほうが訓練延長給付より優先順位が高いため、訓練延長給付が行われることとなっても広域延長給付は行われます(法28条1項)。
選択肢を読むときは、どちらが上位かを思い出したうえで、上位のほうが続くと判断すれば正解にたどり着けます。
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具体例
所定給付日数を使い切る直前に訓練の受講が決まった人は、訓練が始まるまでの待機期間について最大90日間、基本手当を受け続けられます。
試験のポイント
個別だけが60日で、広域と全国は90日です。訓練延長給付の訓練前も90日でしたから、90日という数字が3か所に出てきます。
発動条件の数字では、広域の「全国平均の2倍以上」と、全国の「連続する4か月間・4%超」を区別してください。地域を対象とする広域は他地域との比較で決まり、全国を対象とする全国延長給付は絶対的な水準と継続期間で決まる、という違いです。
具体例
大規模な災害で多くの企業が被災した地域では、その地域の受給率が全国平均の2倍以上になれば広域延長給付が発動し、90日の上乗せがなされます。
試験のポイント
具体例
広域延長給付を受けている人が訓練を受け始めても、優先順位の高い広域延長給付が続きます。訓練延長給付に切り替わるわけではありません。
試験のポイント
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