基本手当をつかむ
所定給付日数が何日あっても、それを使い切れる期限があります。それが受給期間です。
原則は離職日の翌日から1年間。この1年の中に所定給付日数を収めなければなりません。日数が長い人ほど期限に間に合わなくなるので、そこに例外が用意されています。数字の意味を理解しておくと丸暗記が要らなくなります。
簡単にいうと
所定給付日数が330日や360日の人は、1年では足りません。だから足してあげる、という発想です。
基本手当は受給期間内において支給されるものです。受給期間が経過してしまうと、たとえ所定給付日数が残っていても、その受給資格に基づく基本手当の支給を受けることはできません。
受給期間は、原則として離職日の翌日から起算して1年間です。
ただし例外が2つあります。所定給付日数が長く、1年では収まりきらない人たちです。
・45歳以上65歳未満であり、算定基礎期間が1年以上である就職困難者たる受給資格者(所定給付日数360日)
→ 離職日の翌日から起算して1年に60日を加えた期間
・45歳以上60歳未満であり、算定基礎期間が20年以上である特定受給資格者(所定給付日数330日)
→ 離職日の翌日から起算して1年に30日を加えた期間
数字の意味を考えてみましょう。1年は365日です。360日の人に1年だけ与えると、待期7日や認定の間隔を考えるとまず足りません。そこで60日を足して425日にします。330日の人には30日を足して395日です。
所定給付日数が長いほど上乗せも大きい、という素直な関係になっています。360日には60日、330日には30日と対応させて覚えてください。
なお、受給期間内の就業している期間は、最大3年まで受給期間に含めなくてよいという特例規定もあります。
具体例
所定給付日数330日の人が離職日の翌日から1年ちょうどの時点でまだ250日分しか受けていなくても、30日の上乗せがあるためもう少し受け続けられます。
試験のポイント
簡単にいうと
妊娠・出産・育児・病気。働けない事情があれば、期限を後ろにずらせます。
受給期間内に、妊娠、出産、育児、疾病、負傷等によって連続30日以上職業に就くことができない場合には、申し出ることによって、その期間分について受給期間が延長されます。
延長後の最長限度は4年です。
押さえるべき数字は3つです。
・きっかけ … 連続30日以上職業に就くことができないこと
・延長される長さ … その期間分
・上限 … 最長4年
基本手当は「労働の意思及び能力があるのに職業に就けない」人への給付です。出産や療養で働けない状態にある人は、そもそも失業にあたりません。その間に1年が過ぎてしまっては酷なので、時計を止めておくという仕組みです。
受給資格の節で学んだ算定対象期間の延長と、数字が共通していることに気づいたでしょうか。あちらも「連続30日以上」がきっかけで「通算最長4年」が上限でした。
ただし2つは別の制度です。
・算定対象期間の延長 … 受給資格を得られるようにするための延長(離職前の話)
簡単にいうと
定年後にひと休みしたい人のための制度です。こちらは1年が限度です。
60歳以上の定年退職者については、別の延長制度があります。
いわゆる定年退職者が、離職後一定の期間求職の申込みを希望しない場合には、その一定の期間(1年が限度)が元の受給期間に加算されます。
定年で退職した後、しばらく休んでから再就職を考えたいという人は少なくありません。その希望を認めつつ、基本手当の権利も残しておけるようにする制度です。
前のテーマの延長と数字を比べておきましょう。
・疾病・負傷等による延長 … 連続30日以上が要件、最長4年
・定年退職者の延長 … 求職の申込みを希望しない期間、1年が限度
定年退職者の延長は上限が1年なので、原則の1年と合わせて最長2年になります。4年まで延びる疾病等の延長とは限度が違います。
そして重要なのが、この2つは重ねて使えるという点です。
試験では『定年に達したことで基本手当の受給期間の延長が認められた場合、疾病又は負傷等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない日があるときでも受給期間はさらに延長されることはない』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。定年による延長が認められた場合でも、疾病又は負傷等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない日があるときには、さらに受給期間の延長が認められます(行政手引50286)。
簡単にいうと
残っていた日数はどうなるのか。ここは「新しい受給資格を取ったかどうか」で決まります。
受給資格者が受給期間内に再就職し、再び離職した場合の扱いを確認しておきましょう。
この場合において、新たに受給資格を取得しなかったときは、前の受給資格に基づく残りの基本手当を、受給期間内に限り受給することができます。
ポイントは「新たに受給資格を取得しなかったとき」という条件です。再離職の際に離職票を持って公共職業安定所へ行かなければ、新たな受給資格の決定を受けないことになります。すると、前の受給資格がまだ生きているので、その残日数を使えるということです。
逆に、再離職の際に新たな受給資格を取得した場合には、前の受給資格は消滅し、新しい受給資格に基づいて計算し直されます。
どちらが有利かはケースによります。
・前の残日数が多く、新しい所定給付日数が少ない → 前の残りを使うほうが有利
・新しい所定給付日数のほうが多い → 新たな受給資格のほうが有利
ただし、前の受給資格を使う場合には受給期間の枠が変わらない点に注意が必要です。離職日の翌日から1年という枠は再就職しても動かないので、残日数があっても期限が来れば打ち切られます。
この「受給期間は再就職しても止まらない」という点が、この論点の核心です。
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・受給期間の延長 … 受け取れる期限を延ばすための延長(離職後の話)
離職前の話か離職後の話か、で区別してください。
なお、申し出が必要である点も忘れないでください。自動的に延長されるわけではありません。
具体例
離職後に出産して1年間育児に専念していた人は、その期間分だけ受給期間が延び、育児が落ち着いてから基本手当を受け始めることができます。
試験のポイント
具体例
定年退職後に半年間休むつもりで延長を申し出た人が、その後に病気で3か月働けなくなった場合、定年による延長に加えて疾病による延長も認められます。
試験のポイント
具体例
所定給付日数90日のうち30日分を受けたところで再就職し、3か月で再び離職した人は、新たな受給資格を取得しなければ残り60日分を受給期間内に限り受け取れます。
試験のポイント
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