基本手当をつかむ
受給資格に必要な「12か月」。この12か月をどう数えるかが、この節のテーマです。
在籍していた月数を数えるのではありません。1か月ずつさかのぼって区切り、その区間に賃金支払基礎日数が何日あるかを見ていくという、雇用保険独自の数え方をします。慣れるまでは面倒ですが、手順は決まっているので、事例で1度なぞれば身につきます。
簡単にいうと
起点は離職日ではなく、その翌日です。ここを間違えると全部ずれます。
被保険者期間は、資格喪失日、すなわち離職日の翌日から過去に1か月ごとにさかのぼって区切っていきます。そして、それぞれの区間の中に賃金支払基礎日数が11日以上あれば、その区間を1か月の被保険者期間とします。
手順を分解すると次のようになります。
・資格喪失日(離職日の翌日)を起点にする
・そこから1か月ずつさかのぼって区間を作る
・各区間の賃金支払基礎日数を数える
・11日以上あればその区間は1か月としてカウントする
・11日未満であればカウントしない
11日という数字がこの制度の心臓部です。カレンダー上の1か月がまるごとあっても、実際に賃金の対象となった日が10日しかなければカウントされません。
ここでいう賃金支払基礎日数には、年次有給休暇を取得した日も含まれます。試験では、報酬を受けて8日労働し14日の年次有給休暇を取得した月について、賃金の支払の基礎となった日数が11日に満たないので被保険者期間として算入されない、という誤りの選択肢が出題されたことがあります。8日と14日を合わせて22日ですから、11日以上あり、この月は被保険者期間として算入されます。
なお、11日以上という要件を満たさない場合でも、賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上あれば1か月として計算する扱いもあります。
具体例
11月15日に退職した人であれば、11月16日を起点として、10月16日から11月15日までを1つ目の区間、9月16日から10月15日までを2つ目の区間、というように区切っていきます。

被保険者期間の数え方(6.5か月になる例)
試験のポイント
簡単にいうと
きれいに1か月で割り切れないのが最後の区間。ここに特別ルールがあります。
さかのぼっていくと、最後に資格取得日を含む中途半端な区間が残ります。この区間には別のルールが用意されています。
資格取得日の属する区間については、次の2つをいずれも満たす場合に、2分の1か月の被保険者期間として計算します。
・暦日数が15日以上であること
・賃金支払基礎日数が11日以上であること
条件が2つに増えている点がポイントです。通常の区間は賃金支払基礎日数の11日以上だけを見ますが、端の区間は暦日数15日以上という要件が加わります。
逆にいえば、暦日数が14日以下の区間は、賃金支払基礎日数がいくらあっても被保険者期間になりません。
・通常の区間 … 賃金支払基礎日数11日以上 → 1か月
・資格取得日の属する区間 … 暦日数15日以上 かつ 賃金支払基礎日数11日以上 → 2分の1か月
数字が3つ出てきますが、「11日」は共通で、「15日」だけが端の区間の追加要件だと整理すれば混乱しません。
簡単にいうと
実際に数えてみると一気に理解できます。欠勤の多い月がどう扱われるかに注目してください。
4月1日に入社し、11月15日に退職した人を考えます。給与は日給月給制で、1日欠勤するごとに賃金の25分の1を控除するルールとします。したがって、賃金支払基礎日数の最大は25日です。
資格喪失日は11月16日なので、そこから1か月ずつさかのぼると、区間の切れ目は次のようになります。
4月1日/4月16日/5月16日/6月16日/7月16日/8月16日/9月16日/10月16日/11月15日
各区間の賃金支払基礎日数が、順に13日・25日・25日・25日・25日・9日・20日・25日だったとします。判定は次のとおりです。
・10月16日から11月15日 … 25日なので1か月
・9月16日から10月15日 … 20日なので1か月(欠勤はあるが11日以上)
・8月16日から9月15日 … 9日なので算入しない
・4月16日から8月15日 … 各区間とも25日なので、合計4か月
・4月1日から4月15日 … 暦日数15日で賃金支払基礎日数13日なので2分の1か月
簡単にいうと
転職して間もない人の救済です。ポイントは「前に受給資格の決定を受けたか」です。
算定対象期間(原則として離職前の2年間)の中に前職の被保険者期間がある場合、その前職の期間を今回の離職に係る被保険者期間に通算することができます。
ただし条件があります。前職を離職したときに離職票を持って公共職業安定所に行っていないこと、つまり受給資格の決定を受けていないことです。
考え方はシンプルで、前職の分ですでに基本手当を受け取る権利を確定させたのであれば、その期間はもう使い終わっている、ということです。使っていない期間だけが次に持ち越せます。
・前職離職時に受給資格の決定を受けていない → 通算できる
・前職離職時に受給資格の決定を受けた → 通算できない
実際に基本手当を受け取ったかどうかではなく、受給資格の決定を受けたかどうかが分かれ目である点に注意してください。決定だけ受けて1日も受給しなかった場合でも、通算はできません。
なお、この通算はあくまで算定対象期間の中にある期間についての話です。2年間より前の期間は、そもそも枠の外なので通算できません。
具体例
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具体例
4月1日入社・11月15日退職の人であれば、4月1日から4月15日までの15日間が端の区間です。暦日数15日で賃金支払基礎日数が13日あれば、2分の1か月としてカウントされます。
試験のポイント
この人が原則パターン(2年間に12か月以上)で受給資格を得るには足りませんが、特定受給資格者や特定理由離職者であれば1年間に6か月以上で足りるため、受給資格が得られることになります。
具体例
同じ勤務期間でも、9月の区間が9日しかなかったせいで1か月分がまるごと消えています。欠勤が多い月があると、在籍していても被保険者期間が減るということです。
試験のポイント
3か月で辞めた前職の後、すぐ転職して10か月働いて離職した人は、前職で受給資格の決定を受けていなければ合計13か月として原則パターンの受給資格を得られます。
試験のポイント
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