基本手当をつかむ
ここからが雇用保険の中心、基本手当です。毎年の試験で必ず複数問が出る最重要論点なので、じっくり取り組みましょう。
まずやるべきは、離職してからお金が振り込まれるまでの流れを1本の線として頭に描くことです。個々の要件はその線のどこかに位置づけられます。地図があれば、細かい要件も迷子になりません。
簡単にいうと
ハローワークに行くのは3回以上。何をしに行くのかを順番に確認します。
基本手当を受け取るまでの流れは、次のように進みます。
・離職の前
基本手当を受けるには、原則として離職前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。この土台がないと、そもそも先へ進めません。
・離職の直後
事業主が資格喪失の手続きを行い、離職票が本人に渡されます。
・1回目の来所
離職者は離職票を持って公共職業安定所へ行き、受給資格の決定を受けます。あわせて失業認定申告書の用紙を受け取ります。
・認定日までの期間
求職活動を行い、その内容を失業認定申告書に記入します。アルバイトなどをした場合も、失業していたかどうかを同じ申告書に記入します。
・2回目以降の来所(失業認定日)
4週間ごとにやってくる失業認定日に、記入した申告書を提出します。求職活動の状況に応じて職業紹介も受けます。
・振込
失業認定日からおおよそ1週間後に、基本手当が指定の金融機関口座に振り込まれます。1回に振り込まれるのは最大で28日分です。
このサイクルが、所定給付日数に達するまで、あるいは再就職するまで繰り返されます。基本手当は離職の経緯や勤続年数、年齢によって所定給付日数(上限日数)が異なります。
具体例
月初に離職した人が中旬に受給資格の決定を受けると、そこから4週間ごとに認定日が設定され、認定のたびに直前28日分がまとめて振り込まれていきます。

基本手当 ― 離職から振込までの流れ
試験のポイント
簡単にいうと
この数字がすべての出発点です。「2年間に12か月」をまず刻んでください。
基本手当の受給資格を得るためには、原則として、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることが必要です。
2つの要素に分けて理解しましょう。
・算定対象期間 … 離職の日以前2年間という枠
・被保険者期間 … その枠の中で数える12か月
算定対象期間はさかのぼる範囲の話で、被保険者期間はその中でカウントできる月数の話です。両方そろって初めて受給資格が得られます。
ここで注意したいのは、被保険者期間は在籍していた月数とイコールではないという点です。賃金支払基礎日数が11日以上ある月だけをカウントするという独自のルールがあります。数え方の詳細は次の節で扱います。
もう1つ、「通算して」という言葉も見逃せません。連続している必要はなく、途中に空白があっても合計が12か月に達すればよいということです。同じ算定対象期間の中に前職の被保険者期間がある場合には、それも通算できることがあります。
具体例
簡単にいうと
会社の都合で辞めさせられた人には、ハードルが下げられています。
離職者が特定受給資格者や特定理由離職者にあたる場合には、原則パターンを満たせなくても、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば受給資格を得ることができます。
・原則 … 離職前2年間に12か月以上
・特例 … 離職前1年間に6か月以上
期間も月数も、ちょうど半分になっているのが覚えやすいところです。
まず特定受給資格者を見ましょう。会社側に非があるといえる離職者で、代表例は次の2つです。
・勤務していた会社が倒産したり、事業縮小した関係で離職を余儀なくされた者
・解雇された者(本人の責めに帰すべき事由による解雇を除く)
自分の意思とは関係なく職を失った人ですから、被保険者期間が短くても保護する必要があります。そこで要件が緩和されています。
特定受給資格者にはもう1つ大きなメリットがあります。所定給付日数が自己都合退職者より手厚くなることです。この点は所定給付日数の節で詳しく扱います。
簡単にいうと
会社に非があるとまではいえないけれど、事情がある人たちです。
特定理由離職者とは、次のいずれかに該当する者をいいます。
・有期契約期間が満了し、契約更新されなかった者(いわゆる雇止めに遭った者)
・正当な理由のある自己都合退職者
特定理由離職者はこの2種類しかありません。数が少ないので、そのまま覚えてしまうのが早道です。
2つ目の「正当な理由」は多岐にわたります。心身の障害、家族の事情の急変、結婚に伴う住所変更などが該当します。単に仕事が合わなかったというだけでは正当な理由になりません。
特定受給資格者との違いも押さえておきましょう。特定受給資格者は会社側に非があるといえるのに対し、特定理由離職者は会社側に非があるとはいえません。それでも、本人の自由な選択とも言い切れない事情があるため、受給資格の要件だけは特定受給資格者と同じに緩和されています。
1つ紛らわしいのが雇止めの扱いです。契約の締結に際して更新される旨の確約があったのに更新されなかった場合は特定受給資格者になります。これに対して、確約がなくて実際に更新がなかった場合は特定理由離職者です。確約の有無で分かれる、と押さえてください。
具体例
簡単にいうと
病気やけがで働けなかった期間があると、2年の枠から実質的にはみ出してしまいます。その救済です。
算定対象期間とは、原則パターンでいえば離職前の2年間、特例パターンでいえば離職前の1年間のことです。
この算定対象期間は、疾病や負傷等の理由で連続30日以上賃金の支払いを受けることができなかった場合には、その日数分だけ延長されます。延長後の通算最長期間は4年です。
なぜこの仕組みが必要なのでしょうか。賃金支払日数が少ないと被保険者期間の月数が増えません。長期の療養で無給の期間が続くと、2年間の枠の中に12か月分の被保険者期間を確保できなくなってしまいます。
そこで、賃金を受けられなかった日数分だけ枠を後ろに広げることで、受給資格を得られなくなるリスクを軽くしています。
数字の押さえどころは3つです。
・きっかけ … 疾病や負傷等により連続30日以上賃金の支払いを受けられなかったこと
・延長される長さ … その日数分
・上限 … 通算して最長4年
後で学ぶ受給期間の延長も、同じく「連続30日以上」がきっかけで「最長4年」が上限になります。数字が共通しているので、まとめて覚えると効率的です。ただし、算定対象期間の延長は受給資格を得るための話、受給期間の延長は受け取れる期限の話であって、別の制度である点は区別してください。
動画・テキスト・過去問・図解まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
試験のポイント
具体例
勤続8か月で会社が倒産して職を失った人は、原則の12か月には届きませんが、特定受給資格者として1年間に6か月以上あれば受給資格を得られます。
試験のポイント
更新の約束がないまま契約期間が満了して更新されなかった人は特定理由離職者、更新すると言われていたのに更新されなかった人は特定受給資格者になります。
試験のポイント
具体例
半年間の療養で無給だった期間がある人の場合、その日数分だけ算定対象期間が後ろに広がり、療養前に働いていた期間も被保険者期間としてカウントできるようになります。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥7,800/ 購入日から1年間有効(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。