基本手当をつかむ
基本手当を何日分もらえるのか。それが所定給付日数です。雇用保険でもっとも数字が多く、そしてもっとも問われる論点です。
表は3つあります。自己都合退職者・就職困難者・特定受給資格者です。この3枚を区別して、それぞれの特徴をつかむのが攻略の順序です。丸暗記の前に、なぜその形になっているのかを理解しておくと定着します。
簡単にいうと
3つの表があります。その人の再就職がどれくらい難しいかで振り分けられています。
所定給付日数とは、基本手当の支給を受けることができる最大の日数のことです。その人の再就職の難度に応じて、次の3種類に分けられます。
・自己都合退職者や定年退職者
・就職困難者(一定の障害者など)
・特定受給資格者(就職困難者を除く)
再就職が難しい人ほど日数が長くなる、というのが基本の考え方です。自分の意思で辞めた人は準備ができているはずなので短く、突然職を失った人や就職に困難を抱える人は長く、という設計になっています。
日数を決めるもう1つの軸が算定基礎期間です。これは簡単にいえば勤続年数のことをいいます。前職とのブランクが1年以内であれば前職の期間も通算できますが、前職の離職に伴い基本手当や特例一時金を受給した場合は通算できません。
被保険者期間と算定基礎期間は名前が似ていますが、役割が違います。
・被保険者期間 … 受給資格があるかどうかを判定するための月数(11日以上のルールで数える)
・算定基礎期間 … 所定給付日数を決めるための勤続年数
この2つの区別は繰り返し問われるので、いま整理しておいてください。
具体例
同じ会社に15年勤めた人でも、自分から辞めたのか、会社が倒産したのかで所定給付日数が大きく変わります。

所定給付日数の3つの表
試験のポイント
簡単にいうと
3つの表のうち、これだけ年齢の欄がありません。そこが最大の特徴です。
自己都合退職者や定年退職者の所定給付日数は、算定基礎期間だけで決まります。
・10年未満 … 90日
・10年以上20年未満 … 120日
・20年以上 … 150日
覚えることは90・120・150の3つだけです。年齢によって異なることはありません。これがこの表の最大の特徴であり、そのまま出題ポイントになります。
他の2つの表は年齢の軸を持っているので、「年齢で変わらないのは自己都合退職者の表だけ」と結びつけて覚えてください。
区切りとなる算定基礎期間も10年と20年の2か所だけで、非常にシンプルです。たとえば勤続9年11か月なら90日、10年ちょうどなら120日になります。
定年退職者がこの表に入っている点にも注目してください。定年は自分の意思で辞めるわけではありませんが、あらかじめ予定されている離職なので、突然職を失う特定受給資格者とは区別されています。
なお、後で学ぶ受給期間の延長のところでは、定年退職者だけの特例があります。この表では自己都合退職者と同じ扱いですが、別の論点では違う扱いを受けることがある、と覚えておくと混乱しません。
簡単にいうと
3つしか数字がありません。境目は算定基礎期間1年と、年齢45歳です。
就職困難者(一定の障害者など)の所定給付日数は次のとおりです。
・45歳未満
算定基礎期間1年未満 … 150日
算定基礎期間1年以上 … 300日
・45歳以上65歳未満
算定基礎期間1年未満 … 150日
算定基礎期間1年以上 … 360日
覚える数字は150・300・360の3つだけです。
特徴が2つあります。1つ目は、算定基礎期間が1年未満であれば年齢を問わず150日で共通だということ。2つ目は、1年以上になると45歳を境に300日と360日に分かれるということです。
360日は、雇用保険の所定給付日数の中で最長です。特定受給資格者の最長が330日ですから、それをさらに上回ります。再就職がもっとも難しい層への配慮です。
簡単にいうと
いちばん複雑な表です。両端と最大値から攻めると覚えやすくなります。
特定受給資格者(就職困難者を除く)の所定給付日数は、年齢5区分と算定基礎期間5区分の組み合わせで決まります。
・30歳未満 … 90日/90日/120日/180日/―
・30歳以上35歳未満 … 90日/120日/180日/210日/240日
・35歳以上45歳未満 … 90日/150日/180日/240日/270日
・45歳以上60歳未満 … 90日/180日/240日/270日/330日
・60歳以上65歳未満 … 90日/150日/180日/210日/240日
算定基礎期間の区分は、左から1年未満/1年以上5年未満/5年以上10年未満/10年以上20年未満/20年以上です。
覚え方のとっかかりを3つ挙げます。
・1年未満の列は年齢を問わず一律90日
・30歳未満に20年以上の欄がないのは、年齢的にあり得ないから
簡単にいうと
倒産と解雇だけではありません。数字を含む基準がいくつもあります。
特定受給資格者に該当する例は、倒産と解雇のほかにも多くあります。数字を含むものを中心に押さえましょう。
・全体の3分の1を超える被保険者が離職したため離職した者
・労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことを理由に離職した者
・全額の3分の1を超える賃金(退職手当を除く)が支払期日までに支払われなかったことを理由に離職した者
・離職の日の属する月の前6月のうちいずれかの月において1月当たり100時間以上、時間外労働及び休日労働が行われたことを理由に離職した者
・離職の日の属する月の前6月のうちいずれか連続した2か月以上の期間の時間外労働時間及び休日労働を平均して1月当たり80時間を超えて、時間外労働及び休日労働が行われたことを理由に離職した者
・期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において、当該労働契約が更新されないこととなったことを理由に離職した者
・期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新される旨の確約があった場合において、当該労働契約が更新されないこととなったことを理由に離職した者
時間外労働の100時間と80時間は、労災保険の脳・心臓疾患の認定基準と同じ数字です。1か月なら100時間、複数月の平均なら80時間という組み合わせも共通しています。科目をまたいで使える知識です。
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具体例
勤続25年で自己都合退職した55歳の人の所定給付日数は150日です。年齢に関係なく、20年以上という一点だけで決まります。
試験のポイント
他の表と比べると、算定基礎期間の区分が1年で切れるだけと非常に大まかです。この粗さも、この表を見分ける手がかりになります。
具体例
障害者手帳を持つ50歳の人が3年勤めた会社を辞めた場合、算定基礎期間1年以上・45歳以上なので360日が所定給付日数になります。
試験のポイント
そして、60歳以上65歳未満の行が45歳以上60歳未満の行より少なくなっている点にも注目してください。年金の受給が視野に入る年代であることなどから、ピークは45歳以上60歳未満に置かれています。賃金日額の上限が45歳以上60歳未満で最高になるのと同じ発想です。
自己都合退職者の表と比べると、たとえば勤続20年以上の人は自己都合なら150日、特定受給資格者で45歳以上60歳未満なら330日と、2倍以上の差がつきます。離職理由の判定がいかに重要かが分かります。
具体例
48歳で勤続22年の会社が倒産した人は330日、同じ条件で自分から辞めた人は150日です。同じ勤続年数でも180日の差が出ます。
試験のポイント
最後の2つは雇止めに関するものです。契約の締結に際して更新の確約があって更新がなかった場合は特定受給資格者になります。反対に、確約がなくて実際に更新がなかった場合は特定理由離職者です。
試験では、労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことを理由に就職後1年以内に離職した者は特定受給資格者にあたる、という記述が正しいものとして出題されています(法23条2項、則36条ほか)。
具体例
求人票と実際の勤務地や給与が大きく違ったため半年で辞めた人は、特定受給資格者として1年間に6か月以上の被保険者期間があれば受給資格を得られ、所定給付日数も手厚くなります。
試験のポイント
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