給付の全体像と共通ルール
通則とは共通規則のことです。個々の給付に入る前に、すべての給付に共通するルールをまとめて片付けておきます。
内容は労災保険で学んだものとよく似ています。似ているからこそ、違うところが問われます。特に不正受給への対応は雇用保険のほうが厳しく、そこが出題ポイントになります。
簡単にいうと
受け取る前に亡くなってしまった場合の話です。労災保険とほぼ同じ形です。
失業等給付及び育児休業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき給付でまだ支給されていないものがあるときは、一定の遺族が自己の名でその支給を請求することができます。
請求できるのは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。
押さえるべき点は3つです。
・親族の範囲と順序が、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹であること
・死亡の当時その者と生計を同じくしていたことが必要であること
・自己の名で請求すること(相続として受け取るのではないこと)
この3点は労災保険の未支給の保険給付とまったく同じ構造です。まとめて覚えてしまうのが効率的です。
対象となる給付にも注意してください。失業等給付だけでなく、育児休業等給付も含まれます。育児休業等給付は失業等給付の外にある給付ですが、この通則の規定では並べて書かれています。
具体例
基本手当の失業の認定を受けた直後に亡くなった人がいた場合、同居していた配偶者が自分の名前でその分の基本手当を請求できます。
試験のポイント
簡単にいうと
ここは労災保険より厳しい規定です。最大で3倍を取り返される仕組みになっています。
偽りその他不正の行為により失業等給付及び育児休業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は次の2つの処分をすることができます。
・支給した失業等給付及び育児休業等給付の全部又は一部を返還することを命ずること
・厚生労働大臣の定める基準により、その不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずること
2つ目がいわゆる納付命令です。返還と合わせると、最大で受け取った額の3倍を負担することになります。不正受給に対する強い抑止です。
数字の押さえどころは「2倍に相当する額以下」という部分です。2倍を上限とする裁量的な処分であって、必ず2倍になるわけではありません。「厚生労働大臣の定める基準により」という限定も付いています。
なお、給付制限のほうにも不正受給の規定があります。求職者給付又は就職促進給付を不正受給したり、しようとしたりした場合には、以降の基本手当が支給されなくなります。お金を返させるルート(返還命令・納付命令)と、将来の給付を止めるルート(給付制限)の両方がある、と整理しておきましょう。
具体例
簡単にいうと
給付を守るための2つのルール。労災保険とまったく同じです。
失業等給付及び育児休業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができません。
譲渡・担保・差押えの3つがそろって禁止されている点は、労災保険の受給権の保護と同じです。生活を支えるための給付が他人に流れてしまわないようにするための規定です。
試験では『基本手当の受給資格者は、基本手当を受ける権利を契約により譲り渡すことができる』という誤りの選択肢が出題されたことがあります。基本手当は失業等給付にあたるため、譲り渡すことはできません(法11条)。
もう1つ、公課の禁止があります。租税その他の公課は、失業等給付及び育児休業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができません。つまり給付は非課税です。
基本手当は生活費を補うためのものですから、そこに所得税がかかっては趣旨が損なわれてしまいます。この点も労災保険の保険給付が非課税であるのと同じ考え方です。
なお、労災保険では特別支給金にこれらの規定が適用されないという例外がありました。雇用保険には特別支給金という枠組み自体がないため、そうした例外を気にする必要はありません。
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試験のポイント
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