二事業・費用・不服申立て
給付に出ていくお金をどう賄うか。財源の話です。柱は保険料と国庫負担の2つで、保険料は労働保険徴収法という別の科目で扱います。
この節では国庫負担を扱います。給付の種類ごとに割合が違い、しかも国庫負担が行われない給付もあります。表で覚えるところですが、なぜその割合なのかを考えると記憶に残りやすくなります。
簡単にいうと
5つの区分があります。分数が4種類出てくるので、給付の性質と結びつけて覚えます。
国庫は、給付に応じてその費用の一部を負担しています。割合は次のとおりです。
・求職者給付(高年齢求職者給付金を除く)のうち、日雇労働求職者給付金以外の求職者給付 … 4分の1
・求職者給付のうち、日雇労働求職者給付金 … 3分の1
・雇用継続給付(高年齢雇用継続給付を除く)、すなわち介護休業給付 … 8分の1
・育児休業給付 … 8分の1
・職業訓練受講給付金 … 2分の1
分数を大きい順に並べると、2分の1 → 3分の1 → 4分の1 → 8分の1 です。
職業訓練受講給付金の2分の1がもっとも高く、介護休業給付と育児休業給付の8分の1がもっとも低くなっています。失業そのものへの対応や職業訓練は国の責任が重く、休業への支援は保険の性格が強い、という考え方が反映されています。
日雇労働求職者給付金だけが3分の1と、他の求職者給付(4分の1)より高い点にも注意してください。日々雇用という不安定な働き方への配慮です。
もう1つ、実際の負担率については重要な但し書きがあります。一定の基準に該当しない場合には、表に示された負担率の100分の10、つまりそれぞれ40分の1と30分の1となります。さらに、令和8年度までの国庫負担率は、表に示された負担率の100分の10とすることとされています。
本来の割合と、当分の間の割合が別にある、という二段構えです。
具体例
基本手当の財源は、本来であれば4分の1が国庫から出る計算になりますが、当分の間はその10分の1にあたる40分の1に抑えられています。
試験のポイント
簡単にいうと
表に載っていないものを裏返すと、こちらのリストになります。ここが本命です。
国庫負担が行われない給付は次のとおりです。
・高年齢求職者給付金
・就職促進給付
・教育訓練給付
・高年齢雇用継続基本給付金
・高年齢再就職給付金
・出生後休業支援給付金
・育児時短就業給付金
7つあります。前のテーマの表と合わせて、載っているものと載っていないものを裏表で覚えるのが効率的です。
目立つのは、高年齢に関する給付が3つそろって外れている点です。高年齢求職者給付金、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金のいずれにも国庫負担がありません。
そして雇用継続給付の欄が「高年齢雇用継続給付を除く」となっていた理由も、ここで分かります。雇用継続給付のうち高年齢雇用継続給付には国庫負担がないため、残る介護休業給付だけが8分の1の対象になっているのです。
簡単にいうと
給付の財源とは別に、役所を動かす経費の話です。語尾に注目してください。
国庫は、毎年度、予算の範囲内において、雇用保険事業の事務の執行に要する経費を負担します。
ポイントは2つです。
・予算の範囲内であること
・「負担する」という書き方であること
労災保険法の国庫補助と比べてみましょう。労災保険法32条は「国庫は、予算の範囲内において、労働者災害補償保険事業に要する費用の一部を補助することができる」となっており、任意規定でした。
これに対して雇用保険の事務費は「負担する」です。語尾が違います。
・労災保険法の国庫補助 … 補助することが「できる」(任意)
・雇用保険法の事務費に対する国庫負担 … 「負担する」
事務の執行に要する経費というのは、公共職業安定所の運営費など、制度を動かすために必ずかかる費用です。これを保険料だけで賄うのは筋が通らないため、国が負担することになっています。
簡単にいうと
最後に、お金の入り口を整理しておきます。保険料は別科目なので範囲外です。
雇用保険の費用負担は、大きく次の2つで成り立っています。
・保険料
・国庫負担
保険料については、労働保険徴収法という別の科目で詳しく扱います。雇用保険法の中で学ぶのは国庫負担のほうです。
保険料の負担については、雇用保険の場合、事業主負担分と労働者負担分に分かれます。労災保険が全額事業主負担であったのと違う点です。ただし、政府が労働者から直接徴収することはなく、事業主が両方を合わせて納付し、労働者負担分は賃金から控除されます。
労災保険の費用負担と比べておきましょう。労災保険では、①事業主から特別に徴収される費用②通勤災害による療養給付の受給者から徴収される一部負担金③保険料④国庫補助、の4種類がありました。
雇用保険には、労災保険にあった費用徴収や一部負担金にあたるものが同じ形では置かれていません。そのぶん構成がシンプルです。
もっとも、雇用保険にも不正受給に対する返還命令と納付命令があり、これは実質的に事後の回収の仕組みといえます。ただし費用負担の章ではなく通則に置かれているという点で、条文上の位置づけが違います。
具体例
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育児休業等給付についても分かれます。育児休業給付には8分の1の国庫負担がありますが、出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金にはありません。同じ育児休業等給付の中でも扱いが違うということです。
試験では、高年齢求職者給付金の支給に要する費用は国庫の負担の対象とはならない、という記述が正しいものとして出題されています(法66条1項)。あわせて、就職促進給付、教育訓練給付、高年齢雇用継続基本給付金並びに高年齢再就職給付金についても国庫負担は行われないと解説されています。
具体例
再就職手当や教育訓練給付金の財源は保険料のみで賄われており、税金は投入されていません。
試験のポイント
国庫がお金を出すというのは、要するに税金を使うということです。民間の保険とは異なり、保険料だけで財政を保つのは難しいという事情があります。
具体例
ハローワークの職員の人件費や施設の維持費といった事務の執行に要する経費は、保険料ではなく国庫が負担しています。
試験のポイント
毎月の給与から天引きされる雇用保険料と、会社が負担する分、そして税金からの国庫負担。この3つが給付の原資になっています。
試験のポイント
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