就職を後押しする給付
基本手当をもらい続けるより、早く再就職したほうが得になる。そう思ってもらうための仕組みが就職促進給付です。
この節では、その中心である再就職手当と常用就職支度手当を扱います。要件が7つ並ぶ場面もありますが、2つの手当を並べて比較すると違いが見えてきます。似た言葉の使い分けに注意して読み進めてください。
簡単にいうと
早く再就職した人へのごほうびです。ハードルは6つ。順番に確認します。
再就職手当の支給を受けるためには、受給資格者が次のすべてを満たす必要があります。
・安定した職業に就いた者であって、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
・安定した職業に就いた日前3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
・1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就き、又は事業を開始したこと(事業については、それにより受給資格者が自立できると公共職業安定所長が認めたものに限る)
・離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
・待期期間が経過した後に職業に就き、又は事業を開始したこと
・離職理由による給付制限を受けた場合において、待期期間満了後1か月の期間内については、公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介により職業に就いたこと
数字が3つ出てきます。支給残日数が所定給付日数の3分の1以上、3年以内に受給していないこと、1年を超えて雇用されることが確実であること、です。
最初の要件が実質的な入口です。所定給付日数の3分の1以上を残して再就職しなければなりません。ぎりぎりまで基本手当を受け取ってから就職しても対象外になります。
4番目の要件は、いったん辞めてすぐ同じ会社に戻るような形での受給を防ぐためのものです。
最後の要件は、給付制限を受けた人への追加のしばりです。給付制限期間が明けて1か月の間は、公共職業安定所か職業紹介事業者等の紹介による就職でなければ再就職手当の対象になりません。自分で見つけた仕事ではだめ、ということです。
具体例
所定給付日数90日のうち40日を残して再就職した人は3分の1(30日)以上を残しているため、他の要件を満たせば再就職手当を受けられます。
試験のポイント
簡単にいうと
残日数が多いほど率が上がります。境目は3分の2です。
再就職手当の額は、基本手当日額に支給残日数に相当する日数を掛け、さらに10分の6を乗じて得た額です。早期再就職者の場合は10分の7になります。
式にすると次のようになります。
・通常 … 基本手当日額 × 支給残日数 × 10分の6
・早期再就職者 … 基本手当日額 × 支給残日数 × 10分の7
ここでいう早期再就職者とは、基本手当の支給残日数について、所定給付日数の3分の2以上を残して再就職した者を指します。
2つの分数が出てくるので整理しておきましょう。
・3分の1以上を残す … 再就職手当を受けられる(支給要件)
・3分の2以上を残す … 率が10分の7に上がる(早期再就職者)
1つ目が入口、2つ目が上乗せの条件です。早く決まるほど有利になる設計がはっきり見て取れます。
もう1つ、再就職手当が支給されたときは、雇用保険法の規定の適用については、その再就職手当の額を基本手当日額で除して得た日数に相当する日数分の基本手当が支給されたものとみなされます。再就職手当を受け取った分だけ、基本手当の残日数が減っていくということです。
簡単にいうと
再就職手当を受けた人への追加の給付です。前より給料が下がった場合に効きます。
就業促進定着手当は、安定した職業(契約期間1年超)に就いて再就職手当の支給を受けた者が、次の2つを満たす場合に支給されます。
・その就職から6か月雇用が継続したこと
・前職の給料水準を下回ること
つまり、早く再就職したものの賃金が下がってしまった人に、その差額分を補う給付です。
額は次のように計算します。
算定基礎賃金日額(前職の賃金)からみなし賃金日額(今の賃金)を減じて得た額に、同一の事業主の適用事業に就いた日から引き続いて雇用された6か月間のうち賃金の支払の基礎となった日数を乗じて得た額。
式の形は「(下がった日額)×(6か月間の賃金支払基礎日数)」です。日額の差に日数を掛ける、というシンプルな構造だと理解しておけば十分です。
申請手続きの期限が独特なので押さえてください。職業に就いた日から起算して6か月目に当たる日の翌日から起算して2か月以内に、就業促進定着手当支給申請書に賃金台帳、出勤簿等及び受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所の長に提出します。
6か月働いてから2か月以内、という二段の数え方です。再就職手当が「就職した日の翌日から1か月以内」であったのと比べると、起算点も期間も違います。
簡単にいうと
再就職手当と似ていますが、対象者も要件も違います。並べて比べるのが一番です。
常用就職支度手当は、安定した職業に就いた受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者(以下「受給資格者等」といいます)であって、身体障害者その他の就職が困難な者が、次の要件のいずれにも該当するときに支給されます。
・安定した職業に就いた日前3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
・1年以上引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就いたこと
・公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介により職業に就いたこと
・離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
・待期期間が経過した後に職業に就いたこと
・給付制限期間が経過した後に職業に就いたこと
・常用就職支度手当を支給することが受給資格者等の職業の安定に資すると認められるものであること
再就職手当との違いを3つ挙げます。
・対象者 … 再就職手当は受給資格者のみ。常用就職支度手当は4種類の受給資格者等で、かつ就職困難者
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申請手続きは、安定した職業に就いた日の翌日から起算して1か月以内に、再就職手当支給申請書に受給資格者証等を添えて管轄公共職業安定所長に提出します。
具体例
所定給付日数90日のうち70日を残して再就職した人は3分の2(60日)以上を残しているため早期再就職者にあたり、10分の7の率が適用されます。
試験のポイント
再就職手当と就業促進定着手当は親子の関係にあります。再就職手当を受けていなければ、就業促進定着手当を受けることはできません。
具体例
前職より月給が5万円下がった会社で6か月働き続けた人は、その差額に相当する額を就業促進定着手当として受け取れます。
試験のポイント
・紹介 … 常用就職支度手当は常に公共職業安定所等の紹介による就職であることが必要
2つ目の「1年を超えて」と「1年以上」の違いは細かいですが、そのまま問われることがあります。
額は、原則として、基本手当日額に90を乗じて、さらに10分の4を乗じて得た額です。支給を受ける者が受給資格者であり、かつ支給残日数が90日未満の場合には支給額が下がります。
申請手続きは、安定した職業に就いた日の翌日から起算して1か月以内に、常用就職支度手当支給申請書に一定の書類を添えて管轄公共職業安定所長に提出します。この期限は再就職手当と同じです。
具体例
障害者手帳を持つ人が公共職業安定所の紹介で1年契約の仕事に就いた場合、再就職手当の要件を満たさなくても常用就職支度手当の対象になり得ます。
試験のポイント
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