保険給付に共通するルール
交通事故で通勤中にけがをしたとき、被災した人は加害者に損害賠償を請求できますし、労災保険の給付も受けられます。しかし、同じ損害について二重に受け取るのは行き過ぎです。
そこで、労災保険と他の制度との間で調整が行われます。調整の相手は2つ。公的年金と、加害者である第三者です。ここでは求償と控除という2つの言葉と、5年・7年という2つの数字が要になります。
簡単にいうと
国民年金や厚生年金と重なることがあります。そのとき削られるのはどちらか、が問われます。
国民年金や厚生年金保険の年金給付は、業務上か業務外かに関係なく支給されます。障害基礎年金や遺族厚生年金は、原因が仕事であっても支給されるということです。
そのため、同一の事由について労災保険の保険給付と公的年金が併給される場合が出てきます。たとえば、業務上の事故で障害が残った人が、労災保険の障害補償年金と障害厚生年金の両方を受けるようなケースです。
このとき、それぞれを満額で支給してしまうと、合計額が働いていたときの賃金水準を上回ってしまうことがあります。それでは補償の域を超えてしまいます。
そこで調整が行われますが、減額されるのは労災保険側の保険給付です。公的年金のほうが減るのではありません。ここが出題ポイントです。
併給の調整は同一の事由について行われます。労災は業務上の障害に対する給付、公的年金は障害という状態に対する給付、というように対象が重なるからこそ調整されるという理屈です。
具体例
業務災害で重い障害が残ったひろみさんが障害補償年金と障害厚生年金の両方を受ける場合、障害厚生年金は満額のまま、障害補償年金の側が一定の率で減額されます。
試験のポイント
簡単にいうと
加害者がいる災害です。被災者は請求先を2つ持つことになります。
業務災害又は通勤災害が第三者の行為によって発生することがあります。第三者とは、たとえば交通事故の加害者のように、政府と被災労働者以外の者をいいます。
この場合、被災労働者や遺族は、同一の事由について2つの権利を持つことになります。
・第三者に対する損害賠償請求権
・労災保険の保険給付を受ける権利
ここでいう同一の事由とは、治療費や休業損害のように、両方でカバーされる同じ損害項目のことです。
両方を満額で受け取れば、実際の損害を超えて利得することになってしまいます。かといって、どちらか一方を選べというのも被災者に酷です。
そこで、どちらが先に行われたかに応じて、2つのパターンの調整が用意されています。先に保険給付が行われたときの求償と、先に損害賠償が行われたときの控除です。次のテーマから順に見ていきます。
なお、慰謝料のように労災保険の給付に対応する項目がないものは、同一の事由にあたらないため調整の対象になりません。
具体例
簡単にいうと
保険給付が先のパターンです。政府が被災者の代わりに取り立てにいきます。
受給権者に対して保険給付が先に行われた場合、政府はその給付の価額の限度で、本来受給権者が有するはずの損害賠償請求権を取得します。これを代位取得といいます。
そして、取得した権利に基づいて、政府が実際に第三者へ賠償を請求します。これが求償です。
流れを整理すると次のようになります。
・政府が被災労働者へ保険給付を行う
・政府が給付の価額の限度で損害賠償請求権を代位取得する
・政府が第三者(加害者)に対して求償する
被災労働者から見れば、先に労災保険から給付を受けた分については、もう加害者に請求できないということになります。二重取りを防ぐ仕組みです。
押さえるべき数字は、求償による調整期間の上限が5年であることです。災害発生後いつまでも求償が続くわけではありません。
具体例
簡単にいうと
損害賠償が先のパターンです。今度は政府が支払わない側にまわります。
第三者から先に損害賠償が行われた場合には、政府はその賠償額の限度で保険給付をしないことができます。これを控除といいます。
流れは求償の裏返しです。
・第三者(加害者)が被災労働者へ損害賠償を行う
・政府はその価額の限度で保険給付を行わない
こちらも二重取りを避けるための調整で、結果として被災労働者が受け取る総額は変わりません。
押さえるべき数字は、控除による調整期間の上限が7年であることです。求償の5年と数字が違うので、必ずセットで覚えてください。
覚え方としては、先に給付したときは政府が動いて取り立てるので求償で5年、先に賠償があったときは政府が支払を差し控えるので控除で7年、と結びつけます。
どちらのパターンでも共通しているのは、調整の対象が同一の事由に限られること、そして被災労働者が損をしないようにできている点です。
具体例
動画・テキスト・過去問・図解まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
通勤途中に自動車にはねられたゆうじさんは、加害者に治療費や休業損害を請求できると同時に、労災保険の療養給付や休業給付も請求できます。
試験のポイント
追突事故の被害者が先に労災保険から休業給付を受けた場合、その分については政府が加害者側に請求します。被害者が加害者から重ねて休業損害を受け取ることはできません。
試験のポイント
先に加害者側の保険から休業損害の賠償を受け取っていた場合、その額に相当する範囲では労災保険の休業給付が支給されません。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥7,800/ 購入日から1年間有効(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。