何が労災になるか
帰り道に寄り道をしたらどうなるのか。労災保険でもっとも身近で、もっとも出題されやすいのがこの論点です。
原則は「寄り道した後は通勤ではない」。例外は「日常生活に欠かせない用事なら、寄り道の間だけ外れて、道に戻れば通勤に復活する」。この2つの絵を頭に描けるようにするのがこの節のゴールです。
簡単にいうと
似た言葉ですが、意味が違います。「経路をそれる」のか「経路上で別のことをする」のかで分かれます。
労災保険法では、寄り道を2つの言葉で区別しています。
・逸脱
通勤の途中において、就業または通勤とは関係のない目的で合理的な経路をそれることをいいます。道そのものから外れる行為です。
・中断
通勤の経路上において、通勤とは関係のない行為を行うことをいいます。道からは外れていないけれど、通勤という行為を止めて別のことをしている状態です。
言い換えると、逸脱は「場所を外れる」、中断は「行為を止める」です。地図の上で線が横にそれるのが逸脱、線の上で立ち止まるのが中断だとイメージすると区別しやすくなります。
なお、経路の近くにある公衆トイレを使う、経路上の店で短時間だけ雨宿りをするといったごく短時間のささいな行為は、そもそも逸脱にも中断にもあたらないとされています。この場合はそのまま通勤が続いていると扱われます。
具体例
会社からの帰り道で、駅前の商店街へ入っていくのが逸脱、駅の改札前で友人と長話をするのが中断にあたります。
試験のポイント
簡単にいうと
いちばん怖いのがこの原則です。寄り道の後、道に戻っても通勤には戻りません。
労働者が通勤としての移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合、その逸脱または中断の間だけでなく、その後の移動も通勤とはされません。
つまり、寄り道をした瞬間からゴールまで、通勤の扱いが打ち切られてしまうということです。もとの経路に戻ったとしても、通勤に復活することはありません。
図で表すと、次のようになります。
・逸脱・中断に至るまでの移動 … 通勤とされる
・逸脱・中断の間 … 通勤とされない
・逸脱・中断の後の移動 … 通勤とされない
ここが「その間だけ通勤ではない」と誤って覚えられやすいところです。原則は、その後もずっと通勤ではないという厳しい扱いになっています。次のテーマで見る例外に当たらない限り、この原則が働きます。
具体例
退勤後に映画館へ立ち寄り、上映後にいつもの帰り道に戻ってから転倒したという場合、原則どおりであれば通勤災害とは認められません。
簡単にいうと
生活に欠かせない用事まで切り捨てるのは酷なので、例外が用意されています。
逸脱または中断であっても、日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合には、扱いが変わります。
この場合、当該逸脱または中断の間を除き、通常の経路に復した後は通勤と認められます。原則との違いは、寄り道の後にもう一度通勤が復活するという点です。
例外にあたるためには3つの条件がそろう必要があります。
・日常生活上必要な行為であること
・やむを得ない事由により行うものであること
・最小限度の範囲で行うものであること
注意したいのは、例外にあたっても逸脱・中断そのものの間は通勤にならないことです。スーパーの店内で転んだのであれば、それは通勤災害ではありません。例外が救うのは、あくまで買い物を終えて経路に戻った後の移動です。
原則と例外の違いを一言でいえば、「その後の移動が通勤に戻るかどうか」だけです。逸脱・中断の間が通勤でないことは、どちらでも共通しています。
具体例
簡単にいうと
例外に入れる行為は5つに限られています。ここは丸ごと覚えてしまうところです。
日常生活上必要な行為として認められるものは、次の5つです。
・日用品の購入その他これに準ずる行為
スーパーで惣菜を買う、独身の労働者が食堂に食事に立ち寄る、クリーニング店に立ち寄る、理美容院に立ち寄る、といった行為が含まれます。事業場間の移動の場合において、第2の就業の場所の始業時刻との関係から食事に立ち寄る場合や、図書館等において業務に必要な情報収集等を行う場合も、この類型で扱われます。
・職業訓練、学校教育法に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
働きながら学ぶ人のための類型です。
・選挙権の行使その他これに準ずる行為
各種選挙における投票がこれにあたります。
・病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
帰り道に通院する場合です。
・要介護状態にある一定の親族の介護
簡単にいうと
5類型のうち、介護だけは条件が細かく決まっています。ここは数字と親族の並びを正確に。
5つ目の介護については、対象となる親族の範囲が決まっています。要介護状態にある次の親族の介護が対象です。
・配偶者
・子
・父母
・孫
・祖父母
・兄弟姉妹
・配偶者の父母
血族側は上下に三代(子・孫/父母・祖父母)と兄弟姉妹まで、そこに配偶者と配偶者の父母が加わる形です。配偶者の祖父母や配偶者の兄弟姉妹は入っていません。
また、この介護は継続的に又は反復して行われるものに限定されています。たまたま一度だけ様子を見に行ったという場合は含まれません。
ここでいう要介護状態とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。2週間という数字がそのまま問われますので、正確に押さえてください。
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試験のポイント
帰宅途中にスーパーで夕飯の食材を買ったあゆみさんが、買い物を終えていつもの道に戻ってから車にはねられた場合は通勤災害になります。一方、スーパーの通路で滑って転んだのであれば通勤災害にはなりません。

逸脱・中断の原則と例外 ― 経路に復した後の扱いが違う
試験のポイント
継続的に又は反復して行われるものに限られます。
5つを短く並べると、買い物・教育訓練・選挙・通院・介護です。趣味や娯楽、友人との飲食は含まれていないことに注意してください。
具体例
退勤後に夜間の職業訓練校へ立ち寄って授業を受け、その後いつもの帰路に戻ったのであれば、経路に復した後は通勤として扱われます。
試験のポイント
具体例
毎週決まった曜日に、退勤後の帰り道で要介護状態の義母の介護に立ち寄っているさとしさんは、経路に復した後の移動が通勤として扱われます。
試験のポイント
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